節電グッズと防災グッズは、売り場でも通販でも同じ棚に並びます。しかし「毎月の電気代を下げるもの」と「停電のときに暮らしを維持するもの」では、選ぶときに見る場所がまったく違います。このページは、当サイトがこれまで個別に検証してきた5つのカテゴリを1枚に並べ直し、どれを・どの順番で・何を確認して買うかを整理した総まとめです。
とくに安全性については、口コミや価格帯ではなく電気用品安全法(電安法)でその製品がどの区分に入るかを見れば、確認すべき表示が機械的に決まります。区分は製品カテゴリごとに法令(施行令の別表)で決められており、メーカーの姿勢とは無関係です。まずここから始めます。
このページの結論
- 買う順番は「切る → 回す → 遮る → 備える」。前の段ほど安く、毎月効きます。停電対策から入ると出費が大きいわりに普段の電気代は変わりません。
- 安全表示は3層で判定できます。電源タップ・携帯発電機は菱形PSEが必須、サーキュレーター・電気毛布・リチウムイオン蓄電池は丸形PSE、すだれや遮熱カーテン、そして交流出力のポータブル電源“本体”は電安法の対象外です。
- 「PSEが無い=粗悪品」ではありません。対象外の製品にはそもそもマークが付きません。カテゴリごとに何を見るべきかが変わる、という点がこのページの中心です。
安全性は「電気用品安全法のどの区分か」で確認できる
電気用品安全法は、家庭で使う電気製品を特定電気用品(116品目)と特定電気用品以外の電気用品(341品目)に分けています。前者は「構造や使い方から危険が生じるおそれが高いもの」で、登録検査機関の適合性検査を受けたうえで菱形のPSEマークと検査機関名を表示します。後者は丸形のPSEマークです。どちらの区分に入るかは製品カテゴリごとに施行令の別表で決まっており、同じ売り場に並んでいても求められる表示は違います。
そして、そもそも電気用品に当たらない製品にはマークが付きません。すだれや遮熱カーテンのような「電気を使わないグッズ」はもちろん、意外なところでは交流出力のポータブル電源の本体もこの扱いです。下の表が、このページで扱う5カテゴリを法令の区分に当てはめたものです。
| 法令上の区分 | 表示されるマーク | このページで扱う主な製品(施行令の品目名) |
|---|---|---|
| 特定電気用品 116品目 |
菱形PSE +登録検査機関名 |
マルチタップ(49)/コードリール(54)/延長コードセット(55)/携帯発電機(区分) |
| 特定電気用品以外の電気用品 341品目 |
丸形PSE | 扇風機(223)/サーキュレーター(224・定格消費電力300W以下に限る)/電気敷布・電気毛布(75・76)/電気ひざ掛け(72)/リチウムイオン蓄電池(341・単電池1個あたりの体積エネルギー密度400Wh/L以上に限る) |
| 電気用品安全法の対象外 | PSEマークなし | 交流出力のポータブル電源“本体”/すだれ・日よけシェード・遮熱カーテン(電気用品ではない) |
⚠ 「PSEマークが無いから危ない」とは限りません
消費者庁は、交流出力ができるポータブル電源について本体は電気用品安全法の対象外であり、付属のACアダプターと、体積エネルギー密度400Wh/L以上のリチウムイオン蓄電池(モバイルバッテリー等)が規制対象になると説明しています。つまりポータブル電源はPSEの有無で優劣を判断できません。この場合はリコール情報の有無や、電池の種類(リン酸鉄リチウムか三元系か)など別の軸で見る必要があります。
選び方の3基準|迷ったらこの順に決める
基準1:「平常時の節電」か「停電時の備え」かを先に決める
同じ売り場に並んでいても、この2つは目的が正反対です。平常時の節電グッズは毎月の使用量を少しずつ削るもので、1つあたりの効果は小さくても年間で積み上がります。停電時の備えは年に何度あるか分からない事態に対する保険で、普段の電気代はむしろ増えることさえあります(保管中の充電など)。予算を1つの財布で考えると、どちらも中途半端になりがちです。先に配分を決めてください。
基準2:その製品の区分に合った表示があるかを見る
区分が決まれば、見るべき表示も決まります。電源タップや携帯発電機は菱形PSE+登録検査機関名、サーキュレーターや電気毛布は丸形PSE、ポータブル電源やすだれはマークではなく別の情報で判断します。区分と表示がずれている製品(本来菱形が必要なのに丸形しかない電源タップなど)は、その時点で候補から外して構いません。
基準3:工事が要るものと、買って終わるものを混ぜない
このページで扱うのはすべて工事不要で、買えばその日から使えるものです。一方で、家庭用蓄電池・V2H・内窓(インナーサッシ)・断熱改修は工事と見積もりが必要で、補助金の対象にもなります。「停電のたびに困る」「夏も冬も窓が原因で光熱費が高い」という段階に来ているなら、グッズで粘るより設備側を検討したほうが結果的に安く済むこともあります。判断の分かれ目は次の図のとおりです。
5カテゴリの比較|何で選ぶか・いつ効くか・法令区分
当サイトがこれまで個別に検証してきた5カテゴリを、判断軸ごとに並べたものが下の表です。価格は変動が大きいため、各カテゴリの参考価格と取得日は詳細記事のほうに置いています。
| カテゴリ | 効く場面 | いちばん大事な判断軸 | 法令区分 |
|---|---|---|---|
| 節電タップ・電力量計 | 通年 | 個別スイッチか一括スイッチか。「切る」だけで足りるか、「測る」まで必要か | 菱形PSE |
| サーキュレーター | 夏・冬 | 畳数表示ではなく「風が届く距離」。長時間つけるならDCモーター | 丸形PSE |
| 窓の遮熱グッズ すだれ・シェード・遮熱カーテン |
夏 | 窓の外側に付けられるか。付けられないなら室内側で妥協する | 対象外 |
| 窓の断熱シート | 冬 | 貼れる窓かどうか(網入り・Low-E・すりガラスは熱割れや剥離の注意が要る) | 対象外 |
| ポータブル電源 | 停電時 | 容量(Wh)より先に定格出力(W)。動かない家電は何Whあっても動かない | 本体は対象外 ACアダプター等は対象 |
| 携帯(カセットガス)発電機 | 停電時 | 屋外で使える環境があるか。無いなら候補から外す(一酸化炭素中毒) | 菱形PSE |
買う順番は「切る → 回す → 遮る → 備える」
限られた予算をどう配分するかを決めるとき、参考になるのがそのグッズが後押しする省エネ行動の効果です。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、エアコンの使い方ごとの年間節約額を公表しています。グッズ自体が電気代を下げるわけではなく、グッズは「その行動を続けやすくする道具」だと考えると、順番が決めやすくなります。
この効果の大きさと、必要な出費を突き合わせると、買う順番は次の4段階に落ち着きます。
切る|使っていない時間の電力をやめる
いちばん安く、季節に関係なく効きます。資源エネルギー庁は家庭の電力のうち待機電力が約6%を占めるとしており、同庁の平成24年度待機時消費電力調査では1世帯あたり年間228kWh(総消費電力量4,432kWhの5.1%)という実測値が示されています。まず「どこが食っているか」を測り、切れるところを切る段階です。
回す|冷暖房の設定温度をゆるめても我慢しないようにする
上のグラフのとおり、効果がいちばん大きいのは暖房の設定温度を1℃下げること(年約1,650円)です。ただし単に下げるだけでは寒いので、空気を撹拌して温度ムラを減らす道具が要ります。ここがサーキュレーターの役割です。
遮る|窓から出入りする熱を減らす
夏は外側で日射を止める、冬は室内側で熱の逃げを抑える、と対策の向きが逆になります。工事なしで手を付けられるのはこの段階までで、ここで物足りなければ内窓や断熱改修という設備の話になります。
備える|停電したときに何を動かすかを決めておく
ここだけは電気代が下がりません。保険として、どの家電を何時間動かしたいかを先に決め、その範囲で容量と出力を選びます。目的が決まらないまま容量だけ大きいものを買うと、重くて使わなくなります。
図5:買う順番の4段階。1〜3は毎月効き、4は備えです。
停電の備えは「どこまで賄うか」を先に決める
停電対策でいちばん多い失敗は、必要量を決めないまま容量を選ぶことです。環境省の家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和5年度)によれば、1世帯あたりの年間電気使用量は3,911kWhで、用途別では照明・家電製品等が46.3%を占めます。ここから単純に割ると1日あたり約10.7kWh、3日で約32.1kWhになります(当サイト算出)。
この32.1kWhは「家中の電気を平常時と同じように3日間使い続けた場合」の数字です。ポータブル電源1台で賄える量ではありませんし、賄う必要もありません。停電時に守りたい範囲を先に絞れば、必要な備えは一段ずつ小さくなります。
| 守りたい範囲 | 3日ぶんの電力量の考え方 | 現実的な手段 |
|---|---|---|
| 平常時と同じように家中で使う | 約32.1kWh 当サイト算出 |
家庭用蓄電池・V2H(いずれも工事と見積もりが必要) |
| 冷蔵庫を止めたくない | 冷蔵庫の年間消費電力量(本体表示)÷365×3日で概算 | 大容量のポータブル電源、または発電機との併用 |
| 灯り・スマホ・情報だけ確保する | スマホの充電回数と照明の点灯時間から積み上げる | 小容量のポータブル電源で足りることが多い |
買う前に確認したい注意点
⚠ 発電機を屋内・車内・テント内で使わない
消費者庁は、東京都の実験で携帯発電機を居室内で10分程度運転したところ一酸化炭素濃度が1,600ppm(2時間の吸入で死亡に至るとされる濃度)に達したと注意喚起しています。同庁がまとめた携帯発電機の事故31件のうち中毒が14件、死亡が5件で、屋内使用の4件中3件が死亡に至っています。製品評価技術基盤機構(NITE)も、屋外であっても車内やテント内は屋内と同等以上に危険だとしています。「窓を開ければ大丈夫」は成り立ちません。
⚠ ポータブル電源はリコール情報を先に確認する
同じ注意喚起で、ポータブル電源の事故29件はすべて火災であり、うち15件(約5割)がリコール対象品だったと報告されています。本体がPSEの対象外である以上、マークの有無ではなくリコール情報の確認が実質的な安全確認になります。
⚠ 電源タップの定格(多くは1,500W)を超えない
タップの数を増やすほど合計の消費電力は上がります。電気ストーブや電気ケトルのような高出力の家電を同じタップにまとめないでください。タップは特定電気用品なので、菱形PSEと定格の表示は必ず本体で確認できます。
買う前のチェックリスト
この7つが埋まれば、買い物を失敗しにくくなります
- 目的は「毎月の電気代を下げる」か「停電に備える」か、どちらか決めた
- その製品が電気用品安全法のどの区分か(菱形PSE/丸形PSE/対象外)を把握した
- 区分に合った表示が実物にあることを確認した(対象外の製品はマークがなくても正常)
- 電源タップは定格(多くは1,500W)と、そこにつなぐ家電の合計を確認した
- サーキュレーターは畳数ではなく「風を届けたい距離」で選んだ
- 窓のグッズは、外側に付けられるかどうかを先に確認した
- 停電対策は「何を・何時間動かすか」を決めてから容量を選んだ
図7:購入前チェックリスト。
よくある質問
Q. PSEマークが付いていないポータブル電源は買っても大丈夫ですか?
マークが無いこと自体は問題になりません。消費者庁は、交流出力ができるポータブル電源の本体は電気用品安全法の対象外で、付属のACアダプターと体積エネルギー密度400Wh/L以上のリチウムイオン蓄電池が規制対象になると説明しています。つまり本体にはそもそもPSEマークを付ける義務がありません。判断はマークではなく、リコール情報の有無、電池の種類、定格出力の表示が明確かどうかで行ってください。
Q. 結局どれから買えばいいですか?
普段の電気代を下げたいなら、いちばん安く始められる「切る」(節電タップ・電力量計)からです。冷暖房の効きに不満があるなら次に「回す」(サーキュレーター)、夏の暑さや冬の寒さが窓由来だと感じるなら「遮る」(遮熱グッズ・断熱シート)へ進みます。停電対策は毎月の電気代を下げないので、家計の余裕と地域のリスクを見て別枠で考えるのが現実的です。
Q. サーキュレーターや電気毛布にもPSEマークは必要ですか?
必要です。ただし菱形ではなく丸形です。経済産業省の「特定電気用品以外の電気用品(341品目)一覧」では、サーキュレーターは品目224として「扇風機及びサーキュレーター(定格消費電力が300W以下のものに限る)」、電気毛布は品目76として掲げられています。丸形PSEは製造・輸入事業者による自主検査で表示されるもので、菱形のように登録検査機関の検査は必要ありません。
Q. すだれや遮熱カーテンにPSEマークが無いのはなぜですか?
電気を使わない製品なので、そもそも電気用品ではないからです。この場合は法令の表示では選べないため、生地の性能表示(遮蔽率・遮光等級など)と、窓のどちら側に取り付けられるかで判断することになります。夏の日射は窓の外側で止めるほうが効きますので、外に付けられるかどうかを最初に確認してください。
Q. 停電対策はポータブル電源と家庭用蓄電池のどちらがいいですか?
用途が違います。ポータブル電源は工事不要で持ち運べる代わりに、家全体を賄うほどの容量はありません。家庭用蓄電池やV2Hは分電盤につないで家の回路を動かせますが、工事と見積もりが必要で、補助金の対象にもなります。まずポータブル電源で「灯り・通信・情報」を確保し、それでも足りないと感じたら設備側を検討する、という順序が無理がありません。
出典
- 経済産業省「特定電気用品(116品目)一覧」(電気用品安全法施行令 別表第一。2026年8月17日確認)
- 経済産業省「特定電気用品以外の電気用品(341品目)一覧」(同 別表第二。最終更新日2016年8月10日/2026年8月17日確認)
- 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約|空調」省エネ行動と省エネ効果(2026年8月17日確認)
- 資源エネルギー庁「平成24年度 待機時消費電力調査」(1世帯あたり年間228kWh・総消費電力量4,432kWhの5.1%)
- 環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和5年度)」1世帯あたり年間電気使用量3,911kWh・用途別 照明家電製品等46.3%(2026年8月17日確認)
- 消費者庁「携帯発電機やポータブル電源の事故に注意!」(令和3年8月25日)
- 製品評価技術基盤機構(NITE)発電機・ポータブル電源に関する注意喚起(令和5年8月29日)
本記事は制度・法令の一次情報をもとに当サイトが整理したものです。製品の仕様や価格は変わりますので、購入前に必ずメーカーおよび販売ページの最新情報をご確認ください。
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