カセットガス発電機とポータブル電源はどっちを買う?停電3日に必要な電力量と法令で選ぶ

日本の戸建て住宅の庭に置かれた小型発電機と、掃き出し窓の内側に置かれたポータブル電源

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停電に備えて「カセットガス発電機」と「ポータブル電源」のどちらを買うか迷ったときは、価格や容量よりも先に屋内で使えるかどうかで分けるのが早いです。発電機はエンジンで発電するため排気に一酸化炭素が含まれ、公的機関が屋内使用を明確に禁じています。一方でポータブル電源は屋内で使えますが、家庭の電気をまるごと3日分まかなえる容量ではありません。

この記事の結論(用途別)

  • マンション・戸建てを問わず、まず1台目に買うならポータブル電源。屋内で使えるのはこちらだけです。
  • 発電機は「屋外に安全な設置場所を確保できる家」だけの選択肢。庭やカーポートがあり、窓・玄関・換気口から離せることが前提です。
  • 発電機を買うなら一酸化炭素警報器もセットで買う。屋外で正しく使っていても、風向きで排気が室内へ流れ込むことがあります。
  • 両方を持つ場合は「発電機で作って、ポータブル電源に貯めて、屋内で使う」という役割分担にします。

この記事の要点

  • 1世帯あたりの電気使用量は年間3,911kWh=1日およそ10.7kWh(環境省)。停電3日をふだんどおり過ごすには約32kWhが必要で、1kWh級のポータブル電源1台では原理的に足りません。
  • 東京都の実験では、居室内で携帯発電機を運転すると10分程度で一酸化炭素濃度が1,600ppmに達したとされています(消費者庁が引用)。1,600ppmは2時間の吸入で死に至る濃度です。
  • ポータブル電源の本体は電気用品安全法の規制対象外です(交流を出力するためリチウムイオン蓄電池に該当しない)。PSEマークの有無で優劣を判断できません
  • 消費者庁の集計では、ポータブル電源の事故29件はすべて火災で、約5割がリコール対象製品によるものでした。購入前後のリコール確認が実質的な安全対策になります。
目次

停電3日に必要な電力量を先に出す

どちらを買うかの前に、「3日間で何kWh要るのか」を出しておくと判断が早くなります。環境省の家庭部門CO2排出実態統計調査(令和5年度)によると、1世帯あたりの年間電気使用量は3,911kWhです。365日で割ると1日およそ10.7kWhになります。

想定1日あたり3日分根拠
ふだんどおりの生活をまるごと約10.7kWh約32.1kWh環境省 年間3,911kWh÷365日
照明・家電だけに絞る約5.0kWh約14.9kWh同統計の用途別内訳46.3%で按分
1kWh級ポータブル電源1台約1.07kWh一般的な1,000Wh前後の製品
上2行は環境省の公的統計から編集部が割り算した目安です。実際の必要量は季節・在宅人数・給湯や暖房の熱源(ガスか電気か)で大きく変わります。オール電化の住宅ではこれより多くなります。

図1|停電3日分の必要電力量と、ポータブル電源1台の容量

単位:kWh(横軸は0〜35kWh)まるごと3日分32.1照明・家電のみ3日分14.91kWh級の電源1台1.07017.535
ポータブル電源は「全部をまかなう道具」ではなく「必要な家電だけを選んで動かす道具」です。冷蔵庫・スマホ・照明・情報端末に絞れば1台でも数日もたせられますが、エアコンや電気給湯は別の話になります。

選び方の3基準|屋内可否・法令の適用範囲・保管コスト

基準1:屋内で使えるのはポータブル電源だけ

これが最大の分岐点です。発電機はガソリン・軽油・カセットボンベなどでエンジンを回して発電するため、排気に毒性の強い一酸化炭素が含まれます。消費者庁は「屋内では絶対に使用しないでください」と明記しており、同庁が引用した東京都の実験では、居室内で家庭用の携帯発電機を運転したところ10分程度で一酸化炭素濃度が1,600ppmに達したとされています。1,600ppmは20分の吸入で頭痛・めまい・吐き気、2時間の吸入で死に至る濃度です。

屋外なら安全というわけでもありません。製品評価技術基盤機構(NITE)は、屋外であっても自動車内やテント内で使用すると屋内と同等以上の危険性があると注意喚起しています。消費者庁は屋外でもベランダなどの窓や玄関の近く、テントの近く、車庫・ガレージの近く、温室・ハウスの近くでの使用を避けるよう求めています。集合住宅のベランダしか屋外スペースがない場合、発電機は現実的な選択肢になりません。

図2|どちらを買うかの判断フロー

  1. 1屋外に、窓・玄関・換気口・隣家から離せる場所があるか
    無い(マンションのベランダのみ等)→ ポータブル電源のみを検討します。ここで判断は終わりです。
  2. 23日分でどれだけの電力量が要るかを出す
    冷蔵庫・照明・スマホ・情報端末に絞れるなら1kWh級で足ります。医療機器や電気給湯を止められないなら発電機の併用を検討します。
  3. 3燃料を安全に保管できるか
    ガソリン・軽油は消防法令上の危険物、カセットボンベは高圧ガスを使用した可燃性の製品です。保管場所を確保できないなら発電機は見送ります。
  4. 4発電機を選ぶなら、一酸化炭素警報器を同時に用意する
    屋外設置でも風向きで排気が屋内へ流れ込むことがあります。警報器は数千円で、購入の前提条件として扱います。

基準2:PSEマークの有無で優劣を判断しない

ポータブル電源を比較していると「PSE認証」を売り文句にした製品と、そうでない製品が混在していて戸惑います。消費者庁の資料には、その理由がはっきり書かれています。電気用品安全法の規制対象である「リチウムイオン蓄電池」は出力が原理上直流に限られるため、交流100Vを出力できるポータブル電源は同法の規制対象ではありません。つまり本体にPSEマークが無いこと自体は違法でも異常でもありません。

一方で、付属のACアダプターは電気用品安全法の規制対象です。また持ち運び用のモバイルバッテリーは、内蔵する単電池1個あたりの体積エネルギー密度が400Wh/L以上のものが規制対象となり、PSEマークと届出事業者名の表示が無い製品は国内で販売できません。「ポータブル電源」「モバイルバッテリー」「ACアダプター」で扱いが違うことを押さえておくと、広告の表現に振り回されずに済みます。

対象電気用品安全法の扱い確認の観点
ポータブル電源の本体規制対象外(交流出力のためリチウムイオン蓄電池に該当しない)製造・販売元、型式、リコール歴、回収・リサイクル対応
付属のACアダプター規制対象PSEマークと届出事業者名の表示
モバイルバッテリー規制対象(単電池の体積エネルギー密度400Wh/L以上)PSEマーク(丸形)と届出事業者名の表示
カセットガス発電機電気用品安全法の対象ではない(内燃機関)本体の安全ラベル、取扱説明書の離隔距離
出典:消費者庁「携帯発電機やポータブル電源の事故に注意!」(令和3年8月25日)の記載を編集部が表に整理しました。

基準3:置いておくコストは「自然放電」と「燃料の保管」で違う

どちらも普段は使わない道具なので、置いておく手間が続けられるかどうかが実際の分かれ目になります。ポータブル電源は使わなくても自然放電するため、消費者庁は残量を定期的に確認して適宜充電しておくよう求めています。保管場所は夏場なら風通しのよい日陰、冬場は極端に気温が下がらない場所が適し、車の中は保管に適していません

発電機は燃料の保管が課題になります。カセットボンベは高圧ガスを使用した可燃性の製品で、直射日光の当たる場所や火気の近くに置けません。ガソリン・軽油は消防法令で定められた危険物で、ガソリン携行缶以外のポリタンクでの運搬は禁止されています。カセットガス式が家庭向けに選ばれやすいのは、この保管と運搬のハードルが相対的に低いためです。

2つの違いを一覧で比べる

比べる点カセットガス発電機ポータブル電源
屋内での使用不可(公的機関が明確に禁止)
動かせる時間燃料を足せば継続できる内蔵容量の分だけ
エンジン音がある(近隣配慮が必要)ほぼ無音
排気一酸化炭素を含むなし
主な事故一酸化炭素中毒(死亡事故あり)火災(リコール品が約5割)
普段の手入れ燃料の保管・期限管理残量確認と定期的な充電
集合住宅での適性低い(安全な設置場所を確保しにくい)高い
電気用品安全法対象外(内燃機関)本体は対象外/ACアダプターは対象
事故の件数は消費者庁の事故情報データバンクに令和3年7月までに寄せられたもの(携帯発電機31件・ポータブル電源29件)に基づきます。製品ごとの仕様は必ず取扱説明書で確認してください。

図3|買う前に確認するチェックリスト

  • 屋外の設置予定地から、窓・玄関・換気口・隣家の開口部が十分に離れている
  • 燃料(カセットボンベ)を直射日光と火気から離して置ける場所がある
  • 一酸化炭素警報器を寝室と、発電機に近い部屋に置ける
  • ポータブル電源は製造・販売元と型式が明記され、回収・リサイクルに対応している
  • 購入前に消費者庁リコール情報サイトまたはNITEのSAFE-Liteで型番を検索した
  • 半年に一度など、残量確認と充電のタイミングを決めた

用途別のおすすめ|まず1台、発電機を選ぶなら警報器とセットで

ここからは用途別に、工事なしで買ってすぐ使える製品を挙げます。価格は変動しますので、必ずリンク先の最新価格をご確認ください。発電機は屋内で使えないという前提を必ず守ったうえでお選びください。

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屋内で使う主力として:1kWh級のポータブル電源

まず1台目に選ぶならこちらです。1,070Whあれば、冷蔵庫・照明・スマートフォンの充電・情報端末といった「止められないもの」に絞れば数日もたせられます。リン酸鉄リチウムイオン電池を採用した製品は充放電サイクルの寿命が長く、防災用に長く置いておく用途と相性がよいです。

  • 容量1,070Wh・定格出力1,500W
  • リン酸鉄リチウムイオン電池
  • 純正弦波出力・UPS機能
  • 消費者庁が求める「製造・販売元と型式が明確」「回収・リサイクル対応」を満たすメーカー製品

参考価格:119,800円(2026年8月16日時点・楽天市場の掲載価格)

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屋外で「作り続ける」ために:カセットガス式の発電機

庭やカーポートなど、窓・玄関・換気口から十分に離せる屋外スペースがある家だけの選択肢です。カセットボンベを燃料にするため、ガソリンのように消防法令上の危険物を家に置かずに済むのが家庭向けに選ばれる理由です。ポータブル電源へ充電しながら屋内で使う、という役割分担にすると停電が長引いても回せます。

  • カセットボンベ式・インバーター発電機
  • 定格出力0.7kVA/1.5kVAの2機種展開
  • 正弦波出力・防音型
  • 屋内・車内・テント内では絶対に使用しないでください

参考価格:49,900円〜(2026年8月16日時点・楽天市場の掲載価格)

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発電機を買うなら同時に:一酸化炭素の警報器

屋外に正しく設置していても、風向きや建物の形状で排気が室内へ流れ込むことがあります。一酸化炭素は無色・無臭で発生に気づけないため、検知は機械に任せるしかありません。数千円で買えるので、発電機の購入条件として扱うことをおすすめします。寝室と、発電機に近い部屋の2か所に置くと安心です。

  • 一酸化炭素の濃度表示と警報
  • 85dBのアラーム
  • 温度・湿度の表示付き
  • 電池式で工事不要・置くだけ

参考価格:3,280円(2026年8月16日時点・楽天市場の掲載価格)

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買う前・使う前に確認したい注意点

⚠ 発電機は屋内で絶対に使わない

  • 室内・車内・物置・倉庫・テント内では、運転の始めと終わりを含めて使用しないでください。
  • 屋外でも、ベランダなどの窓や玄関の近く、テントの近く、車庫やガレージの近く、温室・ハウスの近くは避けます。
  • 本体に貼られた安全ラベルは剥がさないでください。取扱説明書に製品ごとの離隔距離が書かれています。
  • 消費者庁の集計では、携帯発電機の中毒事故14件のうち5件が死亡事故で、屋内使用中の4件のうち3件が死亡事故でした。

ポータブル電源で気をつけること

  • 事故29件はすべて火災で、約5割がリコール対象製品によるものでした。購入前に型番でリコール情報を検索してください。
  • ぶつけた・落としたなどの衝撃で内蔵電池が破損した場合、時間が経ってから発火するおそれがあります。
  • 就寝中や外出中の充電は避け、燃えやすいものの上や近くに置かないようにします。
  • 一般ゴミ・粗大ゴミとして捨てられません。処分は製造・販売元に問い合わせて回収・リサイクルに出します。
  • 防水性能のレベルを確認し、それを超える状況では使わないでください。水害で水に浸かったものは特に危険です。

本記事は一般的な情報の整理であり、特定の製品の安全性を保証するものではありません。使用前に必ず製品の取扱説明書をお読みください。価格や仕様は変動しますので、購入時はリンク先の最新情報をご確認ください。

よくある質問

カセットガス発電機は玄関の外やベランダなら使えますか?

使えません。消費者庁は屋外であってもベランダなどの窓や玄関の近く、テントの近く、車庫やガレージの近く、温室・ハウスの近くでの使用を避けるよう求めています。排気が屋内へ流入するおそれがあるためです。安全に離隔できる屋外スペースが確保できない住まいでは、発電機ではなくポータブル電源を選んでください。

ポータブル電源にPSEマークが無いのは危険ですか?

マークの有無だけでは判断できません。交流100Vを出力できるポータブル電源の本体は、電気用品安全法の規制対象である「リチウムイオン蓄電池」に該当しないため、そもそも同法の対象外です。一方で付属のACアダプターは規制対象です。本体は製造・販売元と型式が明確か、リコール歴が無いか、回収・リサイクルに対応しているかで選びます。

停電3日を1台のポータブル電源で乗り切れますか?

ふだんどおりの生活をまるごとまかなうことはできません。1世帯あたりの電気使用量は環境省の統計で年間3,911kWh、1日およそ10.7kWhなので、3日分は約32kWhになります。1,000Wh級の製品は約1.07kWhなので、冷蔵庫・照明・スマートフォン・情報端末に絞る前提で使うことになります。

発電機とポータブル電源の両方を買う意味はありますか?

屋外に安全な設置場所がある住まいなら意味があります。発電機は燃料を足せば作り続けられ、ポータブル電源は屋内で静かに使えます。「屋外の発電機で作って、ポータブル電源に貯めて、屋内で使う」という役割分担にすると、停電が長引いたときに動かせる家電の範囲が広がります。

ポータブル電源は買ってから何をしておけばいいですか?

内蔵電池は使わなくても自然放電するため、残量を定期的に確認して適宜充電しておきます。保管は夏場なら風通しのよい日陰、冬場は極端に気温が下がらない場所が適しており、車の中は保管に適していません。半年に一度など点検の頻度を決めておくと切らさずに済みます。

出典

  • 消費者庁「携帯発電機やポータブル電源の事故に注意!-発電機は屋内で絶対に使用しないでください。死亡事故も発生しています。-」(令和3年8月25日・2026年8月16日確認)
  • 独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)「停電時の発電機による CO 中毒や、復旧後の通電火災に注意!」(令和5年8月29日・2026年8月16日確認)
  • 環境省「令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査」1世帯あたり年間電気使用量3,911kWh、用途別内訳(照明・家電46.3%)(2026年8月16日確認)
  • 消費者庁 リコール情報サイト/NITE「SAFE-Lite」(2026年8月16日確認)

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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