断熱等級4・5・6・7の違い一覧【2026年】UA値の全国基準と冷暖房費の削減目安

断熱等級(断熱等性能等級)は1〜7の7段階で、住宅の「熱の逃げにくさ」を表すUA値と「日射の入りにくさ」を表すηAC値の、低いほうの等級で決まります。

2025年4月からは新築住宅に省エネ基準への適合が義務づけられ、等級4が最低ラインになりました。等級5はZEH水準、等級6・7は戸建住宅だけに設定された上位等級です。

等級が上がると何が変わるのか。国土交通省は等級6を「暖冷房の一次エネルギー消費量が概ね30%削減」、等級7を「概ね40%削減」を目安に設定したと明記しています。数字の根拠と地域別の基準値を、公式資料からそのまま一覧にしました。

この記事の要点(30秒でわかる)

  • 等級はUA値とηAC値の「低いほう」で決まる。UA値だけ良くても等級は上がらない。
  • 6地域(東京など)のUA値基準は等級4が0.87、等級5が0.60、等級6が0.46、等級7が0.26。
  • 等級5=ZEH水準(2022年4月施行)、等級6・7は戸建住宅のみ(2022年10月施行)。8地域に等級7の設定はない。
  • 削減の目安は等級6で暖冷房エネルギー概ね30%減、等級7で概ね40%減(国土交通省)。
  • 2025年4月以降に着工する新築は等級4相当の適合が義務。国は2030年にZEH水準(等級5)への引き上げを目指す方針。
目次

断熱等級とは何か──UA値とηAC値の「低いほう」で決まる

断熱等性能等級は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづく日本住宅性能表示基準で定められた等級です。評価に使う指標は2つあります。

  • UA値(外皮平均熱貫流率、単位はW/(㎡・K)):室内外の温度差を1度としたとき、建物内部から外へ逃げる単位時間あたりの熱量を外皮面積で割った値。小さいほど熱が逃げにくい
  • ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率):日射により建物内部が受け取る熱量を冷房期間で平均し、外皮面積で割った値。小さいほど日射が入りにくい

重要なのは評価の仕方です。国土交通省の省エネ性能表示制度の解説では、UA値とηAC値をそれぞれ地域区分に応じた等級で評価し、いずれか低いほうの等級を表示すると定められています。つまりUA値で等級5に届いていても、ηAC値が等級4なら表示は等級4です。断熱材を厚くするだけでなく、庇や日射遮蔽型のガラスなど夏の対策も必要になる理由がここにあります。

もう一点、混同されやすいのが一次エネルギー消費量等級です。こちらは設備(暖房・冷房・換気・給湯・照明)まで含めたエネルギー消費量の少なさを示す別の等級で、断熱等級とセットで表示されます。「等級5の家」と言われたとき、どちらの等級なのかを確認してください。

等級別UA値の全国一覧(地域区分1〜8)

日本は南北に長いため、全国を8つの地域に区分し、地域ごとに基準値が定められています。以下は国土交通省の資料に示された外皮平均熱貫流率(UA値)の基準値です。数値は「この値以下であること」を意味します。

等級1地域
夕張等
2地域
札幌等
3地域
盛岡等
4地域
会津若松等
5地域
水戸等
6地域
東京等
7地域
熊本等
8地域
沖縄等
等級7(戸建のみ)0.200.200.200.230.260.260.26設定なし
等級6(戸建のみ)0.280.280.280.340.460.460.46設定なし
等級5(ZEH水準)0.40.40.50.60.60.60.6設定なし
等級4(省エネ基準)0.460.460.560.750.870.870.87設定なし
等級30.540.541.041.251.541.541.81設定なし
等級20.720.721.211.471.671.672.35設定なし
単位はW/(㎡・K)。出典:国土交通省「省エネ性能に係るさらなる上位等級(戸建住宅の断熱等級6・7)の基準(評価方法)」。8地域は暖房需要がほとんどないためUA値の基準を設けず、ηAC値のみで評価します。

あわせてηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)の基準も押さえておきます。等級4・5では5地域3.0/6地域2.8/7地域2.7/8地域6.7、等級6・7では5地域3.0/6地域2.8/7地域2.7(8地域は等級6のみ5.1)で、1〜4地域には設定がありません。

表を横に見ると、同じ等級でも寒冷地ほど求められるUA値が小さいことが分かります。6地域の等級6(0.46)は、1・2地域の等級4(0.46)と同じ数値です。「等級6の家」と言われても、どの地域での話かで難易度がまったく違います。

図1 6地域(東京等)のUA値基準 ※棒が短いほど高性能等級4(省エネ基準)0.87等級5(ZEH水準)0.60等級6(戸建のみ)0.46等級7(戸建のみ)0.26等級4→等級7でUA値は約3分の1。同じ室温を保つのに必要な暖房エネルギーもその分小さくなります。出典:国土交通省の基準値表をもとに作成。棒の長さはUA値に比例。

等級が上がると何が変わるのか(冷暖房費と室内環境)

暖冷房エネルギーの削減幅は国が目安を示している

等級6・7を新設した際の国土交通省の資料には、水準の決め方がそのまま書かれています。「暖冷房にかかる一次エネルギー消費量の削減率(概ね30%削減、概ね40%削減)を目安として水準を設定」――つまり等級4(省エネ基準)を基準にしたとき、等級6で約30%減、等級7で約40%減が想定されている、ということです。

また8地域(沖縄等)に等級7を設けなかった理由も、「等級6を上回る現実的な日射遮蔽対策が想定されないため」と明記されています。等級は青天井に上げられるものではなく、地域の気候に対して意味のある範囲で区切られています。

冷暖房費の削減率イメージ(鳥取県の公表値)

国交省の同じ資料には、自治体の先行事例として鳥取県の「とっとり健康省エネ住宅(NE-ST)」の基準が参考掲載されています。県が公表したUA値と冷暖房費削減率の対応は、等級のイメージをつかむのに便利です。

図2 断熱水準と冷暖房費削減率の目安(鳥取県公表値)国の省エネ基準(UA 0.87)0%ZEH水準(UA 0.60)約10%T-G1(UA 0.48)約30%T-G2(UA 0.34)約50%T-G3(UA 0.23)出典:国土交通省資料に参考掲載された鳥取県「とっとり健康省エネ住宅 NE-ST」の性能基準表。T-G2は約70%のT-G3に次ぐ水準。約70%

鳥取県のT-G2(UA値0.34)は、地域区分でいえば4地域の等級6(0.34)と同じ値です。ZEH水準からもう一段上げると、冷暖房費の削減率は約10%から約50%へ大きく伸びる――この非線形さが、等級6が注目される理由です。

体感差は「室温そのもの」より「部屋間の温度差」に出る

断熱性能の違いは、光熱費よりも先に体感で分かります。国土交通省が支援した「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」(実施:日本サステナブル建築協会)の第3回中間報告では、改修前4,131人(2,307軒)・改修後1,194人(679軒)のデータから次の知見が示されました。

  • 室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧の季節差が顕著に小さい
  • 居住者の血圧は、部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で有意に高い
  • 断熱改修後に、起床時の最高血圧が有意に低下
  • 室温が低い家では、コレステロール値が基準範囲を超える人・心電図の異常所見がある人が有意に多い
  • 床近傍の室温が低い住宅では、さまざまな疾病・症状を有する人が有意に多い

ここで効いているのは「暖房で何度まで上げたか」ではなく、暖房を切った後も温度が落ちにくいか、廊下や脱衣所との差が小さいかです。断熱等級を上げる価値は、まさにこの部分にあります。

なお民間の基準として、住宅の高断熱化を推進する団体HEAT20が定めるG1・G2・G3グレードもよく参照されます。同団体は冬期間の室内最低体感温度の目安(G1で概ね10℃、G2で概ね13℃など)を示していますが、これは国の等級とは別の民間基準です。契約書や性能評価書に書かれるのは国の等級のほうなので、混同しないよう注意してください。

2025年4月から「等級4が最低ライン」になった

改正建築物省エネ法により、2025年4月1日以降に着工する原則すべての新築住宅・非住宅に、省エネ基準への適合が義務づけられました。住宅の場合、求められるのは断熱等性能等級4かつ一次エネルギー消費量等級4以上です。

それ以前は、300㎡未満の住宅は「建築士から建築主への説明義務」にとどまっていました。つまり2025年3月までに着工した住宅には、等級4を下回るものが合法的に存在します。中古住宅を検討するときは、築年(正確には着工時期)が2025年4月をまたいでいるかどうかが最初の目安になります。

そのうえで国は、2030年度以降に新築される住宅についてZEH水準(断熱等級5相当)の省エネ性能を確保する方針を示しています。今から建てるなら、義務化ラインの等級4ではなく等級5以上を出発点に考えるほうが、将来の資産価値の面でも整合します。

注意:UA値が良くても「寒くない家」になるとは限らない

断熱等級はUA値とηAC値だけで決まり、気密性能(C値)は評価対象に含まれません。すき間が多い家は、計算上のUA値が良くても暖気が漏れます。また日射取得を考えない南面の設計では、冬に得られるはずの熱を捨てることになります。等級は必要条件であって十分条件ではない、と理解しておいてください。

何級を狙うか──判断の順序とチェックリスト

等級は高いほど良いものの、上げるほど工事費も上がります。地域・予算・住み方から順に絞るのが現実的です。

図3 目標等級の決め方自分の地域区分を確認する新築か、既存住宅の改修か新築等級5を下限、等級6を基本線に既存住宅の改修まず窓、次に天井・床の順で見積もりに目標UA値・ηAC値を明記してもらう

見積もり・契約時に確認するチェックリスト

  • 目標とする断熱等性能等級が契約書・仕様書に数字で書かれているか
  • UA値とηAC値の設計値が示されているか(「等級6相当」だけで済ませていないか)
  • その地域区分での基準値と照らして、実際に基準を満たしているか
  • 気密性能(C値)の目標値と、実測するかどうかが明記されているか
  • 住宅性能評価書を取得するのか、自社計算のみなのか
  • 一次エネルギー消費量等級もあわせて何級を狙うのか
  • 窓の仕様(樹脂サッシか/ガラス構成/日射取得型か遮蔽型か)が方位ごとに決まっているか

改修の場合は、費用対効果の順序がはっきりしています。熱の出入りが最も大きいのは開口部なので、内窓や高性能サッシへの交換を最優先にし、その次に天井・床という順で進めるのが定石です。国や自治体の補助制度も窓の断熱改修を重点的に支援してきた経緯があります。

自分の地域区分を調べる(都道府県では決まらない)

地域区分は都道府県単位ではなく市区町村単位で定められています。同じ県内でも標高や気候で区分が分かれるため、「〇〇県は6地域」といった大づかみな理解は誤りのもとです。

おおまかな傾向は次の通りです。1・2地域は北海道、3地域は東北の内陸や長野県の高地、4地域は東北南部・北関東の山間部や中部の高地、5〜6地域は関東から近畿の平野部、7地域は九州・四国の平野部や南九州、8地域は沖縄と奄美です。長野県や山梨県のように、同一県内で3地域から6地域まで分かれるケースもあります。

正確な区分は国土交通省告示の別表で市区町村ごとに指定されており、住宅性能評価の実務でも必ずこの表を参照します。工務店やハウスメーカーの提案書に地域区分が書かれていない場合は、「うちの地域区分は何番ですか」と最初に聞いてください。区分が違えば、同じ等級でも必要なUA値が変わります。

なお、隣接する区分の境目に住んでいる場合は、上位区分(数字が小さいほう)の基準で設計しておくと安全側に振れます。追加費用がそれほど大きくないなら、寒い側に合わせておくほうが後悔は少ないはずです。

よくある質問

Q. 断熱等級6と7では、どのくらい違いますか?

A. 6地域(東京等)のUA値基準で比べると、等級6が0.46、等級7が0.26です。国土交通省は等級6・7の水準を「暖冷房にかかる一次エネルギー消費量の削減率が概ね30%削減、概ね40%削減」を目安に設定したと説明しています。等級4を基準にしたときの差なので、等級6と等級7の間の差はおよそ10ポイント分と読めます。なお8地域には等級7の設定がありません。

Q. 自分の家の断熱等級はどうやって調べますか?

A. 住宅性能評価書またはBELS評価書があれば、そこに断熱等性能等級と地域区分が記載されています。評価書がない場合は等級として確定していないため、図面(断熱材の種類と厚み、窓の仕様)をもとに設計者や工務店にUA値を計算してもらう必要があります。着工時期も手がかりになり、2025年4月1日以降の着工なら等級4以上が義務です。

Q. 断熱等級5(ZEH水準)で十分ではありませんか?

A. 国が2030年度以降の新築で確保を目指す水準がZEH水準(等級5相当)なので、最低限としては妥当です。ただし鳥取県の公表値では、ZEH水準の冷暖房費削減率が約10%であるのに対し、UA値0.34(4地域の等級6と同値)の水準では約50%とされています。予算が許すなら等級6を基本線に置き、届かない場合に等級5へ落とす、という順序で検討するのが合理的です。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 国土交通省「住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設/省エネ性能に係るさらなる上位等級(戸建住宅の断熱等級6・7)の基準(表示方法・評価方法)」
  • 国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度/ラベル項目の解説・断熱性能」
  • 国土交通省 報道発表「住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響とは?(断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告 第3回)」(平成31年1月24日)
  • 鳥取県「とっとり健康省エネ住宅 NE-ST」性能基準(上記国土交通省資料に参考掲載)

基準値は2026年8月16日時点で公表されている内容にもとづきます。実際の設計・申請にあたっては、最新の告示および所管行政庁の運用をご確認ください。

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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