ホルムズ海峡リスクでLPガスはいつ値上がりするか【2026年】CPから検針票まで実測3か月・輸入コストは3月比+44%

ガスコンロのあるキッチン LPガスの値上がりが検針票に届くまでの遅れを解説する記事のアイキャッチ

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ホルムズ海峡の緊張がLPガス代に届くまでは、実測で約3か月です。サウジCPが4月に750ドルへ跳ね、全国平均の請求額(10立方メートル)が動いたのは5月末の調査から。2026年9月1日時点の公表値で試算しました。

情報基準日:2026年9月14日(サウジアラムコCPは2026年9月適用分、小売価格は2026年8月31日調査の速報値)

結論①:効いてくる経路は「供給不足」ではなく「価格指標」です。日本が輸入するLPガスのホルムズ依存度は約2%(2025年・資源エネルギー庁)。船が止まって足りなくなるのではなく、サウジアラムコが毎月末に通告するCPが上がることで、値段だけが先に動きます。

結論②:2026年の輸入コストは3月から6月で44.0%上がりました。CP・為替・フレートから当サイトが計算すると、3月の197.9円/立方メートルに対し6月は284.9円。小売の全国平均は3月9,259円から8月9,822円(10立方メートル・税込)へ563円上がっています。

結論③:上がった分のうち、小売に乗ったのはまだ約59%です。残りが後追いで転嫁される場合、10立方メートルの世帯で月およそ390円の上振れ余地が残る計算になります。ただし転嫁の度合いは販売店ごとに異なり、必ず上がると決まったものではありません。

この記事でわかること

  • CPの発表から検針票に反映されるまでの経路と、実測で何か月かかったか
  • 2026年のCP・為替・フレートを1立方メートルあたりの輸入コストに直した月次の表
  • 小売価格がどの月から動いたか(石油情報センターの調査値との突き合わせ)
  • ホルムズ依存度が約2%のLPガスが、それでも値上がりする仕組み
  • 値上げ通知が届いたときに、契約書と検針票のどこを見るか
目次

ホルムズ海峡のニュースは、どの経路でLPガス代に届くか

家庭のプロパンガス料金が上がるまでには、決まった順番があります。中東情勢が報じられた翌月に請求が増えるわけではなく、あいだに4つの段階が挟まります。順番に見ると、なぜ「ニュースから3か月」になるのかが分かります。

図1|CPの通告から請求書に届くまで(標準的な流れ) 1. CP通告 毎月末・サウジアラムコ 2. 船積み・輸送 フレートが運賃を左右 3. 元売りの仕切価格 適用月の初めに改定 4. 卸・販売店の仕入 在庫を消化しながら反映 5. 小売価格の改定 値上げ通知が届く 6. 検針・請求 改定月の使用分から 2026年の実測 CP4月適用分の通告は3月末 → 小売の全国平均が動いたのは5月末調査 → 請求は6月以降=約3か月

CPはサウジアラムコが毎月末に翌月分を通告する船積み価格で、日本の元売り各社はこれと米国のMB価格を組み合わせて仕切価格を決めます。プロパンガス料金消費者協会の解説では、その比率はおおむねCPが70%・MBが30%とされ、元売りごとに多少異なります。つまりCPが上がっても、その全額がそのまま仕入値に乗るわけではありません。

そのうえで、販売店は手元の在庫を消化してから改定に踏み切ることが多く、さらに料金改定は「通知した月の使用分から」適用されます。検針は月に一度なので、請求書に載るのはさらにその翌月です。この積み重ねが、体感としての「遅れ」の正体です。

2026年の輸入コストを月次で出す|CP・為替・フレートの3点

報道では「CPが◯ドル上がった」としか出ませんが、家計に効くのは円建ての輸入コストです。大阪ガスが毎月公表しているプロパンガス価格・為替情報には、合成CP(前月と当月の平均)・TTSの為替平均・当月適用フレート(海上輸送費)が並んで載っています。この3つを足すと、1キログラムあたりの輸入コストが出せます。

当サイトの計算式

輸入コスト(円/kg)= 合成CP(ドル/トン)÷ 1,000 × 為替(円/ドル)+ フレート(円/kg)
輸入コスト(円/立方メートル)= 上の値 × 2.07

※ 体積換算はLPガス業界で広く使われる「1立方メートル=約2.07キログラム」(50キログラム容器=約24.2立方メートル)を用いました。輸入から先の充填・配送・保安費用は含まない、原料段階だけの金額です。

表1|2026年 プロパンの輸入コスト試算(適用月ベース)
適用月 合成CP
(ドル/t)
為替
(円/ドル)
フレート
(円/kg)
輸入コスト
(円/kg)

(円/立方m)
1月510156.959.689.6185.6
2月535157.789.794.1194.8
3月545156.1310.595.6197.9
4月647.5159.6815.6119.0246.3
5月750160.3317.0137.2284.1
6月755159.3817.3137.6284.9
7月670161.7716.9125.3259.3
8月600163.6018.3116.5241.1
9月622.5159.7418.0117.4243.1
出典:大阪ガス「2026年09月適用 プロパンガス価格・為替情報」(合成CP・TTS為替平均・当月適用フレート)。取得日 2026-09-14。輸入コストの列は当サイトが上記の式で計算した試算値で、公表値ではありません。黄色の行は比較の起点(3月)とピーク(6月)です。
図2|輸入コストの試算(円/立方メートル・2026年適用月別) 1月185.62月194.83月197.94月246.35月284.16月284.97月259.38月241.19月243.1 3月197.9円 → 6月284.9円(+87.0円・+44.0%)。7月以降はCPの急落で下がったが、フレートは高止まりしている。

見落とされがちなのがフレートです。1月の9.6円/kgから8月は18.3円/kgへと、ほぼ倍になっています。輸入コストの増加分87.0円/立方メートルのうち、フレートの上昇(10.5円→17.3円=6.8円/kg、立方メートル換算で約14.1円)が約16%を占めます。CPだけを追っていると、この分を見落とします。

小売価格はいつ動いたか|ラグは実測で約3か月

次に、石油情報センターが毎月末に調査している家庭用LPガスの全国平均価格(10立方メートル使用時・基本料金と消費税込み)を、先ほどの輸入コストと並べます。どの月から小売が動いたのかが、はっきり出ます。

表2|輸入コストの試算と、小売の全国平均(10立方メートル)の対応
輸入コスト試算
(円/立方m)
小売・全国平均
(円・税込)
前月差
1月185.69,230
2月194.89,237+7
3月197.99,259+22
4月246.39,281+22
5月284.19,489+208
6月284.99,697+208
7月259.3調査なし
8月241.19,822
出典:小売価格は石油情報センター「一般小売価格 LP(プロパン)ガス 速報(毎月調査)」の全国平均10立方メートル使用時(2026年8月31日調査)および同センター調査を集計した新電力ネットの月次系列。取得日 2026-09-14。7月は本稿執筆時点で公表系列に載っていないため空欄としました。輸入コスト列は当サイトの試算です。

CPが跳ねたのは4月適用分(通告は3月末)です。ところが小売の全国平均は4月末調査では前月から22円しか動かず、5月末調査で208円、6月末調査でさらに208円上がりました。CPの通告から小売価格が明確に動くまで、実測でおよそ2か月。そこから検針と請求が乗るので、家計に届くのは通告から約3か月後という計算になります。

逆に下がるときも同じ遅れが出ます。7月のCPは580ドルへ180ドル急落しましたが、8月末調査の小売は9,822円と、6月からさらに125円上がっています。値下がりは値上がりより遅く反映されるというのが、業界でよく指摘される点です。

上がった輸入コストのうち、いくらが小売に乗ったか

3月を起点にすると、輸入コストの試算は6月ピークで+87.0円/立方メートル(税抜)。一方の小売は3月の9,259円から8月の9,822円へ+563円で、1立方メートルあたりの税抜単価に直すと841.7円→892.9円の+51.2円です。転嫁できているのは約59%にとどまります。

注意|「残り41%が必ず乗る」わけではありません

未転嫁分は計算上10立方メートルあたり月およそ390円(税込)ですが、LPガスは販売店が料金を自由に決められる自由料金です。仕入価格が上がっても価格を据え置く販売店もあれば、7月以降のCP下落を先に反映する販売店もあります。ここでの数字は「上振れ余地の目安」であって、予測値ではありません。

ホルムズ依存度が約2%のLPガスが、なぜ値上がりするのか

ここが、報道と実態がいちばんずれる部分です。資源エネルギー庁が2026年6月に公表した資料によると、2025年の日本のLPガス輸入は米国が83.3%、カナダが8.5%、豪州が5.5%。中東依存度・ホルムズ依存度はいずれも約2%です。原油の94.0%・93.0%とは、まるで事情が違います。

表3|日本の化石燃料の中東依存度とホルムズ依存度(2025年)
燃料 中東依存度 ホルムズ依存度 輸入量
原油94.0%93.0%約236万バレル/日
LNG10.8%6.3%約6,498万トン
LPガス約2%約2%約990万トン
石炭0%0%約1億6,195万トン
出典:資源エネルギー庁 資源・燃料部 燃料流通政策室「中東情勢を受けた経済産業省の対応について」(2026年6月・資料1)。原データは財務省貿易統計。取得日 2026-09-14。LPガスの輸入先内訳は米国83.3%・カナダ8.5%・豪州5.5%・カタール1.1%・UAE0.7%・韓国0.2%・サウジアラビア0.2%・その他0.5%。

つまり、日本のプロパンガスはほぼ米国産です。それなのに値段の指標はサウジアラムコのCPで、しかも元売りの仕切価格はCP約70%・米国MB約30%の組み合わせで決まります。実際に運んでくる国と、値段を決める指標の国が一致していない——これがホルムズのニュースでLPガス代が上がる理由です。

言い換えると、2026年3月に起きたホルムズ海峡の通航見合わせでLPガスが物理的に不足したわけではありません。原油価格が上がり、原油に連動するCPが4月適用分で545ドルから750ドルへ跳ね、その指標が日本の仕入値に伝わった、という順序です。輸送ルートの迂回でフレートが上がった分は、こちらは実費として直接効いています。

これから何が起きるか|2026年秋の見通しと確認すべき時期

直近のCPは8月が620ドル(前月比+40ドル)、9月が625ドル(+5ドル)と2か月連続で上がっています。プロパンガス料金消費者協会は8月の上昇について、米国とイランを巡る情勢とホルムズ海峡周辺の供給不安を背景に挙げています。ここまでの実測ラグをあてはめると、この分が家庭の請求に出るのは10月から11月の検針分あたりです。

ただし輸入コストの試算自体は、8月が241.1円・9月が243.1円で、6月のピーク284.9円からは40円あまり下がった水準です。上げ要因と下げ要因が同時にある局面なので、「これから必ず上がる」とも「もう下がる」とも言えません。確認すべきなのは次の3つの時期です。

図3|これから見るべき3つのタイミング

毎月末サウジアラムコが翌月のCPを通告。ここが起点で、家計に届くのは約3か月後。
翌月初石油情報センターが前月末調査の小売価格(速報)を公表。全国・地域別の平均が分かる。
随時販売店からの料金改定通知。液石法の制度上、改定の理由と新単価が示される。

なお、国の電気・ガス料金支援はLPガスを対象にしていません。LPガス世帯への支援は、自治体が重点支援地方交付金を使って独自に行う形が中心です(2026年5月には、LPガス利用者への支援を含む追加措置が表明されています)。お住まいの市区町村で実施されているかは、自治体のサイトで確認してください。

値上げ通知が届いたときに確認する4つのこと

ここまでの数字は全国平均です。実際にいくら上がるかは販売店ごとに違うので、通知が来たら自分の契約で確かめるのが確実です。順番に見ていきます。

図4|値上げ通知が来たときのチェックリスト

1. 上げ幅は1立方メートルあたり何円か

総額ではなく従量単価で見ます。2026年3月から8月の全国平均の上げ幅は、税抜で1立方メートルあたり51.2円でした。これを大きく超えるなら理由を尋ねる根拠になります。

2. 基本料金も一緒に上がっていないか

輸入コストの上昇は従量部分の話です。基本料金(設備・保安・配送の固定費)まで同時に上がっている場合は、輸入価格とは別の理由があるはずです。

3. 適用は何月の使用分からか

通知した月の使用分からなのか、翌月分からなのかで、請求に出るタイミングが1か月ずれます。検針票の「使用期間」と照らして確認します。

4. 自分の地域の平均と比べてどうか

石油情報センターは地域ブロック別の平均も公表しています。2026年8月調査の10立方メートル平均は、関東9,238円・近畿9,455円に対し北海道11,663円・東北10,770円と、地域差が2,400円あります。

確認した結果、地域平均から大きく離れているようなら、販売店に単価の根拠を尋ねるか、他社の見積もりを取って比べるのが現実的な手段です。プロパンガスは自由料金なので、同じ地域でも会社によって単価が違います。

いまの従量単価が地域平均より高いなら、比較して確かめる価値があります

図2の地域平均より自分の従量単価が高いなら、値上げの前に他社の提示を取って比べる価値があります。エネピは、プロパンガスの料金を地域の複数社で比較できる無料のサービスです。相談したうえで切り替えない選択もできます。

プロパンガス料金を無料で比較する【エネピ】

利用は無料です。見積もりを見たうえで断ってもかまいません。

よくある質問

ホルムズ海峡のニュースからLPガス代が上がるまで、何か月かかりますか。

2026年の実測ではおよそ3か月です。CPが4月適用分で545ドルから750ドルへ上がり(通告は3月末)、小売の全国平均が明確に動いたのは5月末の調査からでした。そこから検針と請求が乗るため、家計に届くのは通告から約3か月後という順序になります。

日本のLPガスは米国産が8割なのに、なぜ中東情勢で値上がりするのですか。

運んでくる国と、値段を決める指標の国が違うためです。2025年の日本のLPガス輸入は米国83.3%・カナダ8.5%・豪州5.5%で、ホルムズ依存度は約2%です(資源エネルギー庁)。一方で元売りの仕切価格はサウジアラムコのCPと米国のMB価格をおおむね7対3で組み合わせて決まるため、中東情勢で原油とCPが上がると、物理的な不足がなくても仕入値が上がります。

2026年はLPガスの輸入コストがどれくらい上がりましたか。

当サイトの試算では、3月の197.9円/立方メートルから6月の284.9円へ87.0円(44.0%)上がりました。内訳は合成CPの上昇が大部分ですが、海上輸送費であるフレートも3月の10.5円/kgから6月の17.3円/kgへ上がっており、増加分の約16%を占めます。小売の全国平均は3月9,259円から8月9,822円(10立方メートル・税込)へ563円上がりました。

出典

  • 大阪ガス「2026年09月適用 プロパンガス価格・為替情報」(合成CP・TTS為替平均・当月適用フレートの月次実績)取得日 2026-09-14
  • 資源エネルギー庁 資源・燃料部 燃料流通政策室「中東情勢を受けた経済産業省の対応について」2026年6月・資料1(化石燃料の輸入先と中東・ホルムズ依存度。原データは財務省貿易統計)取得日 2026-09-14
  • 石油情報センター「一般小売価格 LP(プロパン)ガス 速報(毎月調査)」2026年8月31日調査 取得日 2026-09-14
  • 新電力ネット「LP(プロパン)ガス価格の推移」(石油情報センター調査を月次系列化したもの。2026年9月2日更新)取得日 2026-09-14
  • 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会「CP速報」2026年8月31日更新(CPとMBの連動比率、8月CP上昇の背景)取得日 2026-09-14
  • 株式会社TOKAI 産業用本部「2026年9月 サウジアラムコCPおよびMB価格発表のお知らせ」2026年9月1日 取得日 2026-09-14
  • 内閣官房・経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保」2026年3月24日・資料4 取得日 2026-09-14

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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