東京ガスの都市ガスエリアで30A・月300kWh・ガス月30立方メートルの家なら、電気とガスを1社にまとめるより「電気は東京ガス・ガスは東京電力」に分けたほうが年453円安い。2026年9月16日時点の各社公式単価で試算した。
情報基準日: 2026年9月16日
電気の選び方の全体像は電力会社の選び方 2026、ガス側はガス代を下げる完全ガイド 2026にまとめています。
セット割の正体は「電気料金の割引」で、東京の2社とも月100円前後にとどまる。
一方で電気とガスそれぞれの単価差は合計で月289円あり、割引額より大きい。
だから「まとめて割引をもらう」より「それぞれ安いほうを選ぶ」ほうが安くなる。
この記事の要点
- 東京ガスのセット割は電気料金の0.5%引き(基本プランの場合)。月300kWhなら月54円。
- 東京電力のガスセット割は電気料金が月102円引き。年1,224円。
- 電気の単価差は月139円、ガスの単価差は月149円で、合わせて月289円。
- 4通りの組み合わせで最も安いのは「電気は東京ガス・ガスは東京電力」。
- ただし分けると支払いが2本になり、原料費調整と燃料費調整の上限もなくなる。
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この記事の比較基準
各社が公表している料金表の単価だけで計算しています。広告の成果報酬で順位を変えることはしません。金額は2026年9月16日に各社公式サイトで取得した税込単価にもとづく本体料金(基本料金+従量料金)で、原料費調整額・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金・政府支援の値引きは含みません。これらはどの組み合わせでも同じように加減されるため、比較の結論は変わりませんが、実際の請求額とは一致しません。「最安」と断定はしません。
セット割は「ガスが安くなる」のではなく「電気が安くなる」
電気とガスをまとめると安くなる、という案内は各社が出しています。ただし実際に割り引かれるのは、どちらの会社でも電気料金のほうです。ガス料金そのものは、まとめても1円も変わりません。まずこの構造を押さえると、割引の大きさを冷静に測れます。
東京ガスの「ガス・電気セット割」は、契約している電気メニューによって2種類に分かれます。現在申し込める「基本プラン」では定率Bが適用され、電気の基本料金と電力量料金の合計額から0.5%を引きます。旧メニューの「ずっとも電気3」では定額Aが適用され、電気の基本料金から月275円を引きます。適用には、ガスと電気の使用場所と契約者が同じで、料金を合算して支払えることが条件です。
東京電力エナジーパートナーの「ガスセット割」は定額で、ガス料金プランと対象の電気料金プランを両方契約すると、電気料金が毎月102円(税込)安くなります。同社は公式サイトで年間約1,200円おトクと案内しています。
| 図1 セット割の内容 | 割引の対象 | 割引額 | 月300kWhでの額 |
|---|---|---|---|
| 東京ガス 定率B(基本プラン) | 電気の基本料金+電力量料金の合計 | 合計額の0.5%(小数点以下切り捨て) | 月54円 |
| 東京ガス 定額A(ずっとも電気3) | 電気の基本料金 | 月275円 | 月275円 |
| 東京電力 ガスセット割 | 対象の電気料金プラン | 月102円 | 月102円 |
30A・月300kWh・ガス30立方メートルで4通りを年額試算する
前提をそろえます。東京ガスの都市ガス供給エリア(東京地区等)にある家で、電気は契約電流30A・月300kWh、ガスは月30立方メートル。電気もガスも一般的な使い方の目安で、家族2〜3人の世帯にあたります。使うのは各社の公表単価だけです。
| 図2 単価と月額(本体) | 基本料金 | 従量単価 | 月額 |
|---|---|---|---|
| 電気: 東京電力 従量電灯B(30A) | 935.25円 | 29.80/36.40/40.49円 | 11,063.25円 |
| 電気: 東京ガス 基本プラン(30A) | 935.22円 | 29.70/35.69/39.50円 | 10,923.42円 |
| ガス: 東京ガス 一般料金 B表 | 1,056.00円 | 130.46円 | 4,969.80円 |
| ガス: 東京電力 とくとくガスプラン B | 1,024.32円 | 126.54円 | 4,820.52円 |
この4つの単価を組み合わせると、取りうる契約は次の4通りになります。セット割は同じ会社で電気とガスの両方を契約したときだけ付くので、分けて契約した場合は割引が0円になります。
| 図3 4通りの年額 | セット割 | 月額 | 年額 | 最安との差 |
|---|---|---|---|---|
| 分ける(電気は東京ガス・ガスは東京電力) | なし | 15,743.94円 | 188,927円 | 0円 |
| 東京電力にまとめる | 月102円 | 15,781.77円 | 189,381円 | 454円 |
| 東京ガスにまとめる | 月54円 | 15,839.22円 | 190,071円 | 1,143円 |
| そのまま(従量電灯B+一般料金) | なし | 16,033.05円 | 192,397円 | 3,469円 |
分けたほうが安いのは、割引額より単価差のほうが大きいから
理由は単純です。東京ガスの基本プランは、東京電力の従量電灯Bより電力量料金が3段階とも0.10〜0.99円安く、30A・月300kWhでは月139.83円の差になります。基本料金は30Aで935.22円と935.25円なので、実質的に同額です。一方ガス側では、東京電力のとくとくガスプランが東京ガスの一般料金より月149.28円安くなります。合わせて月289.11円、年3,469円です。
これに対してセット割は、東京電力で月102円、東京ガスで月54円。どちらも単価差の合計289円より小さいので、片方の会社にまとめると「もう片方の単価差」を丸ごと手放すことになります。手放す額のほうが、もらえる割引より大きいわけです。
東京ガスの電気は、ガスを契約していなくても単独で申し込めます。東京電力のガスも同じで、電気を他社にしたままガスだけ切り替えられます。つまり「分ける」は制度上ふつうに選べる選択肢で、特別な裏技ではありません。
それでもまとめたほうがよい人はいる|年454円で買えるもの
最安との差は年454円です。金額だけを見れば分けるほうが得ですが、まとめることで得られるものもあります。年454円の差をどう評価するかは、次の3点で決まります。
- 支払いが1本になる。東京電力は電気とガスを一括で支払えば紙の検針票の発行手数料110円と振込用紙の手数料220円を無料にすると明記しています。振込用紙を使っている人なら、この1点だけで年454円の差は逆転します。
- 問い合わせ先が1つになる。引っ越しや名義変更のときの連絡が半分で済みます。
- 切り替えの手間が1回で済む。分ける場合は電気とガスで別々に申し込みが必要です。
注意: 調整額の上限がなくなる組み合わせがある
東京ガスの一般料金には原料費調整額の上限があり、東京電力の従量電灯Bには燃料費調整額の上限があります。しかし東京ガスの基本プランは「燃料費調整の上限の設定はありません」と公式に明記しており、東京電力のとくとくガスプランも「当社ガス料金プランにおいては上限がありませんので、原料価格が高騰した場合には、当社ガス料金プランの方が原料費調整額が高くなる可能性があります」と自社サイトで注意を促しています。つまり最安の組み合わせは、上限のない2つを選ぶことでもあります。原料価格が高騰した局面では、この試算の差は縮むか逆転することがあります。
関西ではセット割引そのものが廃止された
セット割の形は地域によって違います。関西電力は2017年4月から、電気と関電ガスをセットで契約した人のガス料金を3%割り引く「電気セット割引(特約料金表)」を実施していましたが、2025年11月30日をもって廃止しました。同社は同時に、2025年12月1日から関電ガスの基本料金と従量料金の単価を3%相当引き下げています。
関西電力はこの見直しの理由を「お客さまに分かりやすい料金体系に見直すことにより、より多くのお客さまに関電ガス料金メニューをお選びいただけるよう」と説明しています。結果として関西では、電気をどこで契約していても関電ガスの単価は同じになりました。関西にお住まいなら「セット割があるからまとめる」という判断は、すでに前提を失っています。
東京のように電気側を割り引く地域と、関西のように割引を単価に織り込んだ地域がある以上、「セット割はお得か」は全国共通の答えを持ちません。自分の地域の料金表を開いて、電気とガスの差額をそれぞれ計算するのが唯一の確かめ方です。
よくある質問
| 先に答えると | 結論 |
|---|---|
| まとめると安くなるのか | 東京では逆。30A・月300kWh・ガス30立方メートルなら、電気は東京ガス・ガスは東京電力に分けたほうが年453円安い。 |
| なぜ分けたほうが安いのか | セット割は電気料金の割引で月100円前後(東京ガス0.5%=月54円、東京電力は月102円)。一方、電気とガスの単価差は合計で月289円あり割引額より大きい。 |
| まとめたほうがよい人は | 振込用紙で払っている人。東京電力は一括払いで検針票110円と振込用紙220円の手数料が無料になるため、この1点で年453円の差は逆転する。 |
電気とガスを別の会社にすると、災害のときに不利になりますか
いいえ。都市ガスの導管は東京ガスネットワーク、電線は東京電力パワーグリッドが管理しており、どこと契約しても復旧作業を行う会社は変わりません。ガス漏れや停電の緊急連絡先も導管会社・送配電会社が窓口です。
使う量が多い家でも「分ける」ほうが安いですか
差は広がる方向です。電気は300kWhを超えると東京ガスの第3段階39.50円と東京電力の40.49円で0.99円の差がつき、ガスも従量単価の差3.92円が使用量に比例します。ただし東京電力のガスセット割は月102円で固定なので、使う量が増えるほど割引の相対的な効き目は小さくなります。
この試算に政府の値引きや燃料費調整は入っていますか
入っていません。原料費調整額・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金・政府支援の値引きは、どの組み合わせでも使用量に応じて同じように加減されるため、比較の順位には影響しにくいからです。ただし調整額の上限の有無はプランごとに違うため、高騰局面では順位が変わることがあります。
出典
- 東京ガス「ガスと電気をまとめておトクな ガス・電気セット割」(2026年9月16日取得)
- 東京ガス「電気料金単価計算表」(2026年9月16日取得)
- 東京ガス「ガス料金表 東京地区等 一般料金等」(2026年9月16日取得)
- 東京電力エナジーパートナー「とくとくガスプラン(関東エリア)」(2026年9月16日取得)
- 関西電力「電気セット割引(特約料金表)廃止に伴うガス料金の見直しについて」2025年8月1日(2026年9月16日取得)
- 関西電力「関電ガス なっトクプラン」(2026年9月16日取得)
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関西や中部など、東京以外でも分けたほうが安いですか
エリアごとに結論が変わります。関西電力は電気セット割引(特約料金表)を2025年11月30日で廃止し、2025年12月1日から関電ガスの単価を3%相当引き下げたため、「セット割があるからまとめる」という前提自体が成り立ちません。割引の金額と単価差のどちらが大きいかを、自分のエリアの公式単価で計算し直してください。
この試算に政府の値引きや燃料費調整は入っていますか
入っていません。基本料金と従量料金だけの本体料金で比較しています。燃料費調整額と原料費調整額は契約先によって単価が変わるうえ毎月動くため、順位を安定して比べるには本体料金でそろえるのが確実です。ただし、まとめるか分けるかで調整額の上限の有無が変わる点は別途確認が必要です。
分けると調整額の上限がなくなるというのはどういう意味ですか
東京ガスの一般料金には原料費調整額の上限が、東京電力の従量電灯Bには燃料費調整額の上限があります。一方で東京ガスの基本プランは「燃料費調整の上限の設定はありません」と明記し、東京電力のとくとくガスプランも原料費調整額が高くなる可能性があると自社で注意を促しています。最安の組み合わせは上限のない2つを選ぶことでもあるため、原料価格が高騰した局面では差が縮むか逆転することがあります。
