断熱カーテンで冬の暖房費はいくら下がるのか|国の省エネ基準は熱貫流率にカーテンを算入しない【2026年】

冬の夕方、厚手のドレープカーテンが掛かった日本の住宅の掃き出し窓

結論①:冬のカーテンが相手にしている金額は、アルミサッシ+単板ガラスの掃き出し窓1枚で年3,287円、腰高窓1枚で年1,740円です(エアコン暖房・電気31円/kWh換算)。

結論②:国の省エネ基準の熱性能表は、付属部材(紙障子・外付けブラインド)の効果を「日射熱取得率」にしか反映しません。熱貫流率はガラスと建具だけで決まる扱いで、カーテンを掛けても数値は1ミリも動きません。

結論③:カタログの「断熱効果率○%」は、赤外ランプで温めた試験槽の温度上昇をどれだけ抑えたかの比率です。暖房費が同じ割合で下がるという意味ではありません。

この記事の要点(2026年8月23日確認)

  • 暖房期に窓から逃げる熱の実額は、資源エネルギー庁が公表する暖房の算出条件(外気6℃・室温20℃・1日9時間・年169日)と、平成28年省エネ基準の窓の熱貫流率から計算できる。
  • アルミサッシ+単板ガラスの家で掃き出し窓2枚・腰高窓4枚なら、窓が捨てる熱は年13,534円ぶん。カーテンはこの金額の「一部」を取りに行く道具。
  • 省エネ基準の熱性能表で付属部材の欄があるのは日射熱取得率だけ。紙障子を付けるとηは0.70から0.30へ57.1%下がるが、熱貫流率6.51W/㎡Kは変わらない。
  • カーテンの断熱性は日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の2つの試験で測る。夏向けの「断熱効果率」と冬向けの「保温効果率」は別物で、公表サンプルでは冬の数字が夏の51〜64%にとどまる。
  • カーテンで窓の熱損失を仮に10%減らせたとしても、掃き出し窓1枚あたり年329円。窓そのものを替える工事とは桁が違う。
目次

冬のカーテンが相手にしている金額|窓が捨てる熱を円に直す

カーテンの効果を語る前に、そもそも冬の窓がいくらぶんの熱を捨てているのかを確定させます。ここが決まらないと「○%削減」という表現がいくらの話なのか誰にも分かりません。

計算に使う条件は、すべて公表資料からそのまま持ってきます。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、エアコン暖房の省エネ効果を算出するときの前提を明示しています。外気温度6℃、設定温度21℃を20℃にする、使用時間は1日9時間、暖房期間は5.5か月(10月28日から4月14日)の169日です。ここから暖房の運転時間は169日×9時間=1,521時間、室内外の温度差は20℃−6℃=14Kと置けます。

窓の熱貫流率は、平成28年省エネ基準の住宅用開口部の熱性能表の値を使います。アルミサッシ(金属製)+単板ガラスが6.51W/㎡K、アルミサッシ+複層ガラス(中空層6mm以上10mm未満)が4.65W/㎡K、樹脂と金属の複合サッシ+Low-E複層ガラス(中空層10mm以上)が2.33W/㎡Kです。

もうひとつ必要なのがエアコンの実効COPです。省エネポータルサイトの「暖房を1日1時間短縮した場合」の年間削減量は、エアコンが電気40.73kWh、石油ファンヒーターが灯油15.91Lと電気3.89kWhです。169時間ぶんの短縮なので1時間あたりに直すと、エアコンは電気0.241kWh、石油ファンヒーターは灯油0.094Lです。灯油の発熱量36.71MJ/L(省エネ法の原油換算係数から復元した値)で熱量に直すと1時間あたり0.960kWhの熱になり、これを同じ部屋で賄っているエアコンの電気0.241kWhで割ると実効COPは約4.0になります。ついでに、温度差14Kで960Wを失っているので、この部屋の熱損失係数は約69W/Kです。

ここまでの前提を1枚にまとめます。

項目出所
暖房期間169日(10月28日〜4月14日)資源エネルギー庁 省エネポータルサイト
1日の運転時間9時間(年1,521時間)同上
室内外の温度差14K(室温20℃・外気6℃)同上
エアコンの実効COP約4.0同ポータルの機器別データから逆算
電気料金の目安単価31円/kWh全国家庭電気製品公正取引協議会(同ポータルが採用)
腰高窓の面積1.62㎡(幅1.8m×高さ0.9m)本サイトの共通前提
掃き出し窓の面積3.06㎡(幅1.8m×高さ1.7m)本サイトの共通前提
表1:暖房費の試算に使った前提(2026年8月23日確認)

逃げる熱は「熱貫流率×面積×温度差」で求まります。これは熱量なので、エアコンで暖めている場合は実効COPの4.0で割ってから電気代に直します。ここを割らずに金額化すると4倍の過大評価になります。

窓とサッシ熱貫流率逃げる熱量エアコンの電気年間の電気代
掃き出し窓・アルミ+単板6.51424kWh106.0kWh3,287円
掃き出し窓・アルミ+複層4.65303kWh75.7kWh2,348円
掃き出し窓・複合+Low-E複層2.33152kWh38.0kWh1,177円
腰高窓・アルミ+単板6.51225kWh56.1kWh1,740円
腰高窓・アルミ+複層4.65160kWh40.1kWh1,243円
腰高窓・複合+Low-E複層2.3380kWh20.1kWh623円
表2:窓1枚が暖房期に捨てる熱の実額(熱貫流率の単位はW/㎡K)
図1:窓1枚が暖房期に捨てる熱の年額(エアコン暖房・31円/kWh) 掃出窓・アルミ単板 3,287円 掃出窓・アルミ複層 2,348円 掃出窓・複合Low-E 1,177円 腰高窓・アルミ単板 1,740円 腰高窓・アルミ複層 1,243円 腰高窓・複合Low-E 623円 算出=熱貫流率×面積×温度差14K×1,521時間÷COP4.0×31円/kWh。前提は表1のとおり。

アルミサッシ+単板ガラスの家で掃き出し窓が2枚、腰高窓が4枚あるとすると、窓が捨てている熱は年13,534円ぶんです。カーテンはこの13,534円の全部ではなく、その一部を取りに行く道具だと考えてください。

国の省エネ基準は、カーテンの断熱を熱貫流率に算入していない

ここが、カーテンの記事でほとんど触れられない部分です。平成28年省エネ基準の住宅用開口部の熱性能表は、縦に「建具の仕様×ガラスの仕様」を並べ、横に「日射熱取得率」と「熱貫流率」を置いた表になっています。そして付属部材(なし/紙障子/外付けブラインド)で数字が枝分かれするのは日射熱取得率の欄だけで、熱貫流率の欄は建具とガラスの組合せひとつにつき1つの値しか持ちません。

つまりこの枠組みでは、窓の内側に紙障子を立てても、厚手のカーテンを掛けても、熱貫流率は6.51W/㎡Kのまま動きません。動くのは日射熱取得率のほうで、金属製サッシ+単板ガラスなら0.70が紙障子で0.30へ、57.1%も下がります。木製・樹脂サッシ+単板ガラスでも0.63が0.27へ、やはり57.1%の低下です。

窓まわりに足すもの日射熱取得率への反映熱貫流率への反映
紙障子あり(0.70→0.30/57.1%減)なし(6.51のまま)
外付けブラインドあり(0.70→0.15/78.6%減)なし(6.51のまま)
カーテン表に区分そのものがないなし(6.51のまま)
内窓の設置・ガラス交換ありあり(窓の仕様そのものが変わる)
図2:平成28年省エネ基準の熱性能表における付属部材の扱い(金属製サッシ+単板ガラスの場合)

この表がそのまま示しているのは、「カーテンで暖房費が下がらない」ではなく「国の計算ルールではカーテンの保温効果を評価する枠が用意されていない」ということです。住宅の省エネ性能を評価する制度は、施工後に取り外せて、開け閉めの仕方も住む人次第という部材を、性能値として数えない立て付けになっています。逆に言えば、カーテンの効果を数値で語りたければ、公的な性能値以外のところから持ってくるしかありません。

もうひとつ見落とせないのが、日射熱取得率のほうは確実に下がるという事実です。冬の日中に南向きの窓のカーテンを閉め切ると、せっかく入ってくる日射熱を紙障子と同じ理屈で半分以上捨てることになります。カーテンは「閉めれば閉めるほど得」という道具ではありません。日射をどれだけ止められるかを方位別に円で示した試算は、エアコンの電気代を「窓」から下げるにまとめています。

カタログの「断熱効果率○%」は暖房費の削減率ではない

カーテンの断熱性・保温性は、一般財団法人日本繊維製品品質技術センター(QTEC)が公開しているQTEC法という試験で測られます。公開されている試験方法を読むと、これは熱貫流率を測る試験ではないことがはっきり分かります。

夏向けの「遮熱性(断熱性)」は赤外ランプ60℃法です。部屋と窓を模した装置にカーテンを取り付け、ガラス面から約50cm離した赤外ランプを60分照射し、5分ごとに温度を測ります。カーテンを付けない空試験も行い、断熱効果率(%)=(空試験の最大上昇温度−試験片試験の最大上昇温度)÷空試験の最大上昇温度×100で算出します。

冬向けの「保温性」は冷気法です。冷気槽を60分冷却し、試験槽内の温度低下を測って、保温効果率(%)=(空試験の最大下降温度−試験片試験の最大下降温度)÷空試験の最大下降温度×100で算出します。

どちらも「温度がどれだけ動かなかったか」の比率であって、「1シーズンで何kWh減ったか」ではありません。60分間の温度変化を見る試験なので、暖房を9時間つけ続ける実際の使い方とも時間の尺度が違います。ここを暖房費の削減率として引用してしまうと、根拠のない金額が独り歩きします。

QTECが公開している試験結果のサンプルを、夏と冬で並べてみます。同じ試料でも、冬向けの保温効果率のほうが小さく出ています。

試料断熱効果率(夏・赤外ランプ60℃法)保温効果率(冬・冷気法)冬÷夏
試料A28.3%14.5%51.2%
試料B41.5%26.7%64.3%
図3:QTECが公開する試験結果サンプル(冬÷夏は本サイトによる計算)

サンプルは2点だけなので、これを業界全体の傾向だと断定はできません。ただ、少なくとも試験を提供している機関自身が示す例では、同じカーテンでも冬の数字は夏の数字の51〜64%にとどまっています。カタログに大きな数字が1つだけ載っているときは、それが夏の断熱効果率なのか冬の保温効果率なのかを必ず確認してください。

仮に○%減らせたらいくら戻るか|前提を明示した上限試算

公的な性能値がない以上、断定的な削減額は出せません。そこで発想を逆にして、「窓の熱損失を何%減らせたら年いくら戻るか」という感度表を作ります。実際の削減率が分かったとき、この表を見れば自分で金額に直せます。

窓の熱損失の削減率掃き出し窓1枚(年)腰高窓1枚(年)掃出2+腰高4の家(年)
5%164円87円676円
10%329円174円1,353円
20%657円348円2,707円
30%986円522円4,060円
100%(物理的にあり得ない上限)3,287円1,740円13,534円
図4:アルミサッシ+単板ガラスの場合の感度表(表2の金額に削減率を掛けたもの)

この表の読み方で大事なのは最終行です。カーテンを窓に貼り付けて完全に密閉し、窓の熱損失をゼロにできたとしても、掃き出し窓1枚で年3,287円。実際には布1枚では窓との間の空気が上下に対流し、上端の隙間から冷気が室内側へ落ちてくるので、削減率が数十%に届くことは考えにくい水準です。数千円の厚手カーテンで年数百円が戻るなら悪い買い物ではありませんが、「暖房費が半分になる」という話とは桁が違います。

カーテンで冬に効かせるための4手順

削減率を少しでも上げるには、生地の性能より「窓とカーテンの間の空気を閉じ込められているか」が効きます。上が開いていれば暖かい空気が入り込み、冷やされて下から出ていく循環が止まりません。

図5:冬にカーテンを効かせる手順(上から順に効果が大きい)

  1. 上端をふさぐ:カーテンボックスを付ける、またはレールの上に板や布を渡して、窓とカーテンの間の空気が天井側へ抜けないようにする。
  2. 丈を床まで届かせる:掃き出し窓は床すれすれ、腰高窓は窓台より20cm以上下まで垂らす。裾が浮いていると冷えた空気がそこから室内へ流れ出す。
  3. 幅を左右に余らせる:窓枠より左右各10cm以上広く取り、壁側の端が壁に触れる状態にする。左右の隙間は上端の次に大きい抜け道。
  4. 日中は南面だけ開ける:日射熱取得率は紙障子で57.1%も落ちる。晴れた日の南向きの窓は、日が当たっている間は開けて熱を入れ、日没前に閉める。

1と2と3はいずれも「隙間をなくす」話で、生地を高級品に替えるより先に手を付けるべき順序です。3,000円のカーテンでも上端と裾と左右が閉じていれば、10,000円のカーテンをレールに掛けただけの状態より効きます。

カーテンでは足りないと分かったときの次の一手

表2をもう一度見てください。アルミサッシ+単板ガラスの掃き出し窓(年3,287円)を、複合サッシ+Low-E複層ガラス相当(年1,177円)にできれば、その1枚だけで年2,110円が減ります。カーテンで10%を削る329円とは、取りに行っている桁が違います。

そして窓そのものの工事には国の補助があります。環境省の先進的窓リノベ2026事業は、ガラス交換・内窓設置・外窓交換・ドア交換を対象に、1戸あたり5万円から最大100万円を補助します(令和7年度補正予算1,125億円)。カーテンやカーテンレールはこの4つの対象工事のどれにも当たらないため、補助の対象外です。申請は事業者登録をしたリフォーム事業者が行い、住宅の所有者が自分で申請することはできません。

この記事で「書かなかったこと」

  • カーテンの熱貫流率(W/㎡K):公的な規格値が存在しないため、数値を作らず感度表に置き換えました。
  • 「暖房費が○%下がる」という断定:QTECの効果率は温度の抑制率であり、エネルギー削減率として使えません。
  • 特定の商品の性能:メーカーが公表する効果率は試験条件が製品ごとに異なるため、横並び比較はしていません。

よくある質問

遮熱カーテンと断熱カーテンと保温カーテンは何が違いますか?

試験の向きが違います。QTEC法では、赤外ランプ60℃法で測る「遮熱性(断熱性)」が夏の日射に対する性能、冷気法で測る「保温性」が冬の室温低下に対する性能です。売り場の呼び名は統一されていないので、名称ではなくどちらの試験の数値が載っているかで判断してください。

冬は日中もカーテンを閉めたままのほうが暖かいですか?

南向きで日が当たっている窓は開けたほうが有利になりやすいです。平成28年省エネ基準の熱性能表では、金属製サッシ+単板ガラスの日射熱取得率は0.70ですが、紙障子を立てると0.30まで57.1%下がります。カーテンも同じ理屈で日射を遮るため、日が差している間は開けて熱を取り込み、日没前に閉めるのが基本です。北面や日の当たらない窓は閉めたままで構いません。

カーテンを厚くすると結露は減りますか?

むしろ増えることがあります。カーテンで窓ぎわを室内から切り離すと、ガラス面の温度は下がる方向に動きます。ガラス表面温度が室内空気の露点を下回れば結露は発生するので、閉め切ったカーテンの内側で結露が悪化する例は珍しくありません。結露は温度と湿度の両面から見る必要があります。

出典

  • 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約|空調」(暖房の算出条件・機器別の年間削減量・電気の目安単価31円/kWh)2026年8月23日確認
  • 平成28年省エネ基準 住宅用開口部仕様 熱性能表(AGC 旭硝子プラザ 掲載版。建具×ガラス別の熱貫流率と、付属部材別の日射熱取得率)2026年8月23日確認
  • 一般財団法人日本繊維製品品質技術センター(QTEC)「カーテンの遮熱性(断熱性)・保温性試験(QTEC法)」(試験方法・算出式・試験結果サンプル)2026年8月23日確認
  • 環境省 先進的窓リノベ2026事業 公式サイト「事業概要」「対象工事の詳細」(対象工事の種類・補助額・申請主体・予算額)2026年8月23日確認

金額はすべて上記の公表値から本サイトが計算したものです。熱貫流率と日射熱取得率は基準の表の値、暖房条件と単価は省エネポータルサイトの値をそのまま使い、掛け算と割り算以外の推定は加えていません。

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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