火災保険で外壁・屋根は修理できる?|風災は対象・経年劣化は対象外、請求期限は3年【2026年】

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台風で屋根の板金がめくれた、雪の重みで雨樋が壊れた——こうした自然災害による損害なら、火災保険の「風災・雹災・雪災」補償で修理費用が支払われる可能性があります。一方で、経年劣化やサビによる損傷は対象外です。ここを混同させて「保険を使えば実質無料で直せる」と勧誘するのが、消費者庁も注意喚起している住宅修理トラブルの入口です。

結論はシンプルで、①保険会社への連絡は業者ではなく自分で行う、②請求期限は3年(保険法95条)、③申請サポート業者に保険金の30〜40%を払う必要はない——この3点を押さえれば、多くのトラブルは避けられます。この記事では公的機関の一次情報を根拠に、対象の線引きと正しい手順を整理します。

編集部の見解|火災保険は“自然災害由来”が前提

火災保険で外壁・屋根修理をまかなえるのは、台風・雪・飛来物など自然災害が原因の損傷に限られます。編集部は、経年劣化は対象外である点を正しく理解すべきだと考えます。

「保険で無料になる」と煽る業者には注意が必要です。虚偽申請は絶対に避け、正当な範囲で活用してください。

※本欄は公式情報をもとにした省エネ住宅ナビ編集部の分析・見解です。最終的な判断は各制度・メーカーの公式情報をご確認ください。

目次

火災保険で修理できるのは「自然災害による損害」だけ

日本損害保険協会は、自然災害による住宅の損害について「多くの場合、加入しているすまいの保険(火災保険、地震保険等)で補償されます」としたうえで、「自然の消耗もしくは劣化または性質によるさびなどによって生じた損害はお支払いの対象とはなりません」と明記しています。判断の分かれ目は「壊れているかどうか」ではなく、「何が原因で壊れたか」です。

区分具体例火災保険の扱い
風災台風・突風で屋根の棟板金がめくれた、飛来物が外壁に当たり破損した対象になり得る
雹災雹(ひょう)で屋根材やカーポート屋根が割れた対象になり得る
雪災積雪の重みで雨樋が変形・破損した対象になり得る
経年劣化年数の経過による塗膜の色あせ・チョーキング、コーキングのひび割れ対象外
サビ・自然消耗金属部のサビ、素材の性質による劣化対象外
地震・噴火・津波地震で屋根瓦がずれた火災保険では対象外(地震保険の領域)
補償対象の考え方(出典: 日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」2026年6月22日更新)

「風災なら必ず全額出る」わけでもありません。契約時に設定した免責金額(自己負担額)を超えない損害は支払われないためです。日本損害保険協会は免責金額を「損害の一定額部分について、契約者などが自己負担するものとして、契約時に設定する金額」と説明しています。自分の契約の免責金額は、保険証券か契約概要で確認できます。

写真で分かれ目を確かめる|「災害の傷」と「経年劣化の傷」を見分ける6つの着眼点

日本損害保険協会は、火災保険で保険金が支払われない例として「保険の対象の欠陥、自然の消耗、劣化、これらによる変色、さび、かび、腐食、ひび割れ等によって生じた損害」を挙げています。つまり分かれ目は「壊れているかどうか」ではなく「何がきっかけで壊れたか」です。保険会社は現地調査や提出された写真からこれを判断するため、申請を検討する前に、自分でも同じ視点で傷を見ておくと話が早く進みます。

着眼点災害由来と判断されやすい状態経年劣化と判断されやすい状態
破断面(傷口)の色割れた面が周囲より白く、明るく見える破断面まで黒ずみ、周囲の色と馴染んでいる
亀裂の縁の形縁が鋭く、角が立っている縁が丸く摩耗し、角が取れている
コケ・カビ・変色傷んだ部分にコケや変色が乗っていない傷んだ部分にもコケ・カビ・変色が広がっている
損傷の分布風上側や特定の面にまとまって出ている建物全体に同じ症状が均等に出ている
周囲の痕跡飛来物の当たり跡があり、近隣にも同種の被害がある衝撃の跡がなく、近隣に同じ被害が見当たらない
気づいた時期特定の台風・降雹の直後に発生しているいつからかは不明で、少しずつ進行してきた

一般に指摘される着眼点の整理。最終的な認定は保険会社および損害保険登録鑑定人の調査によります。

⚠ 自己判定は「申請を検討するかどうか」の目安まで

実際には災害の力と経年劣化が重なっている損害が少なくなく、その扱いは契約している商品や約款によって異なります。この表だけで支払いの可否を断定することはできません。逆に、現物も写真も見ないまま「必ず下ります」と言い切る業者がいたら、根拠となる約款の条文を示してもらってください。

申請に使う写真の撮り方(5つ)

  • 全景 → 中景 → 接写の3段階で撮り、どこの部位かが分かるようにする
  • 破断面や亀裂の縁は、影が出ない明るい時間帯に接写する
  • メジャーやコインを一緒に写し、傷の大きさが分かるようにする
  • 飛来物や落下した部材が残っていれば、片付ける前に撮っておく
  • スマホの日時設定を確認する(被害直後という撮影日そのものが材料になる)

屋根に上っての撮影は転落の危険があります。高所は地上からのズーム撮影にとどめ、実際の確認は保険会社の調査や施工業者に任せてください。

請求期限は3年|保険法95条の消滅時効

「去年の台風の被害だから、もう遅い」と諦める必要はありません。日本損害保険協会は、保険金請求権について「保険法に基づき、3年を経過すると時効となります」と説明しています(保険法95条:保険給付を請求する権利は、これを行使することができる時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する)。

つまり被害から3年以内であれば請求できる可能性があります。ただし時間が経つほど「その被害が本当にその災害によるものか」の立証は難しくなり、協会も「時間が経過すると事故の調査などが困難となり、適切・迅速な保険金支払いができなくなるおそれがあります」として、速やかな連絡を求めています。被害に気づいたら、まず写真を撮って保険会社に連絡するのが最善です。

火災保険を使った修理の正しい5ステップ

順番を間違えないことが最大の防御になります。先に業者と工事契約を結んでしまうと、保険金が下りなかった場合に工事代金の自己負担だけが残ります

火災保険を使った修理の正しい順番(5ステップ) ① 被害の写真を撮る ② 保険会社・代理店に自分で連絡する ③ 請求書類を受け取る ④ 修理業者から見積書をもらう ⑤ 提出 → 鑑定人の調査→ 保険金の支払い ×やってはいけない:業者と契約してから保険会社に連絡する 保険金が下りなくても工事契約だけが残り、高額な解約手数料を請求されるトラブルの 典型例です

日本損害保険協会も「損害保険会社や代理店へ連絡する前に、問題のある住宅修理業者や保険金請求代行業者と契約してしまうと、保険金が支払われずに修理代金を自己負担することになったり、解約しようとすると高額な解約手数料を要求されるなどのトラブルに巻き込まれてしまうことがあります」と注意を促しています。①写真 → ②保険会社へ自分で連絡、この2つを業者より先に済ませてください。

「保険申請サポート業者」に保険金の30〜40%を払う必要はない

近年のトラブルの中心は、訪問販売の悪徳業者だけではありません。「申請の手伝いをする、完全成功報酬型」を名乗る保険金請求代行・申請サポート業者です。日本損害保険協会は、実際の相談事例として次の2件を公表しています。

  • 「当社で工事をしなかった場合は、保険金の4割を支払ってもらう」と言われ、契約書も手元にない(2018年受付・80歳代男性・関東地方)
  • 「完全成功報酬型で、保険金が支払われた時にのみ保険金の30%を請求する」と説明され契約。保険金100万円が下りたが、残る70万円では修理できないと住宅メーカーに言われた(2020年受付・40歳代男性・関東地方)
保険金100万円が下りたとき、修理に使える金額はいくら残るか ※手数料率は日本損害保険協会が公表するトラブル事例(30%・40%)に基づく試算 自分で申請(手数料0円) 100万円 申請サポート業者(手数料30%) 70万円 解約時に違約金40%を請求 60万円 0 100万円 保険金は「修理費用」として支払われるため、手数料を引かれると修理費が不足します

2件目が問題の本質を示しています。保険金は「修理に必要な費用」として算定されるため、そこから3〜4割を手数料として抜かれると、修理費が構造的に足りなくなります。そして日本損害保険協会は「保険金の請求は、加入者ご自身で!!」と明言しており、請求自体は保険会社・代理店に連絡すれば無料で案内してもらえます。手数料を払う必然性はありません。

相談件数も無視できない規模です。日本損害保険協会によると、住宅修理に保険金が使えると言って勧誘された事例の相談は、2010年度からの累計で11,261件(2020年8月時点)に達しています。また訪問販売によるリフォーム工事(屋根工事・壁工事・塗装工事など)の相談は、2007年度以降、毎年5,000件を超えています。消費者庁も2024年6月27日、「火災保険を使って実質的に無料で修理ができる」とうたう事業者への注意喚起を行いました。

訪問販売で来る業者の見極め方そのものについては、外壁塗装に補助金は使える?|「実質無料」営業の見抜き方でも「実質無料」トークの構造を解説しています。

すでに請求して「経年劣化のため対象外」と通知された場合は、再請求で判断が動く条件と、そんぽADRセンターの手続き、自費修理に切り替える判断の順に整理した火災保険が「経年劣化」で否認されたらもあわせて確認してください。

保険金が出ない部分は「適正価格の修理」で備える

自己負担になる部分の金額感は、外壁塗装の費用相場|坪数別の総額と内訳の見方で坪数別の総額と足場・下地補修の内訳を確認しておくと、保険金の不足分をいくら用意すればよいか判断しやすくなります。

保険が使えるのは災害由来の損害だけなので、経年劣化ぶんの工事費は自己負担になります。だからこそ工事の適正価格を自分で把握しておくことが、そのまま防御策になります。屋根まわりの費用相場は次のとおりです。

工法費用相場(30坪目安)主な用途
屋根塗装40〜60万円塗膜の劣化・色あせ
カバー工法120〜180万円既存屋根の上に新しい屋根材を重ねる
葺き替え120〜260万円下地まで傷んでいる場合
屋根リフォーム3工法の費用相場(30坪目安)。出典: リショップナビ/神清/鈴木美装(当サイト屋根塗装・屋根リフォームの費用相場で詳説)

相場を知らないまま「保険金でまかなえます」と言われると、その金額が高いのか安いのかを判断できません。保険会社に連絡したうえで、複数社から見積もりを取れば、金額の妥当性は自然に見えてきます

見積もりを依頼する先は、訪問してきた業者ではなく、自分で選んだ複数社にしてください。以下は加盟店審査のある一括見積もりサービスで、利用は無料・その場で契約する必要はありません。

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ヌリカエは加盟店審査を実施しており、依頼後のしつこい営業を受けた場合の相談窓口もあります。見積もりを取るだけの利用でも問題ありません。

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外壁塗装をあわせて検討する場合は、塗装専門の窓口から相見積もりを取ると、工事範囲ごとの内訳を比較しやすくなります。

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外壁塗装の窓口は、加盟店を審査したうえで最大3社を無料で紹介します。「一式」ではなく内訳が出た見積書どうしを比べれば、適正価格が判断できます。

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サービスごとの違いは無料一括見積もりサービス比較ナビで整理しています。工事のタイミングそのものを見直したい場合は外壁塗装のベストなタイミングもあわせてご覧ください。

困ったときの相談窓口

窓口電話番号内容
保険金に関する災害便乗商法 相談ダイヤル(日本損害保険協会)0120-309-444「申請サポート業者から勧誘を受けた」「契約を解除したい」など。平日9〜12時、13〜17時
消費者ホットライン(国民生活センター)188最寄りの消費生活センターにつながる。契約トラブル全般
そんぽADRセンター(日本損害保険協会)03-4332-5241保険会社との間のトラブル。平日9時15分〜17時
公的・業界団体の相談窓口(出典: 日本損害保険協会、国民生活センター)

訪問販売や電話勧誘で契約してしまった場合は、特定商取引法のクーリング・オフ(法定書面の受領日から8日間)が使える可能性があります。不安を感じた時点で、契約前でも上記の窓口に相談して構いません。

よくある質問

去年の台風の被害でも火災保険を請求できますか?

請求できる可能性があります。日本損害保険協会は保険金請求権について「保険法に基づき、3年を経過すると時効となります」と説明しており、被害から3年以内であれば請求は可能です。ただし時間の経過とともに災害との因果関係の立証が難しくなるため、早めに保険会社へ連絡してください。

経年劣化の外壁も火災保険で直せますか?

できません。日本損害保険協会は「自然の消耗もしくは劣化または性質によるさびなどによって生じた損害はお支払いの対象とはなりません」と明記しています。経年劣化を災害由来だと偽って請求すれば保険金詐欺にあたり、依頼した消費者自身が加担することになります

「保険金の30%で申請を代行します」という業者は使うべきですか?

使う必要はありません。日本損害保険協会は「保険金の請求は、加入者ご自身で!!」としており、請求手続きは保険会社や代理店に連絡すれば無料で案内を受けられます。実際に、保険金100万円に対し30%=30万円の報酬を取られ、残る70万円では修理できなかったという相談事例が公表されています。

すでに修理を終えていても請求できますか?

3年の時効内であれば請求自体は可能ですが、被害状況を示す写真や修理前の見積書などの資料が残っているかが鍵になります。損害の程度を保険会社の鑑定人が確認できない場合、支払いの判断が難しくなります。まずは加入先の保険会社に、手元の資料を伝えて相談してください。

火災保険を使うと保険料は上がりますか?

火災保険には自動車保険のような等級制度がないため、保険金を受け取ったことを理由に次年度の保険料が上がる仕組みはありません(出典: ソニー損保)。自動車事故と違い、自然災害は契約者の過失で発生頻度が変わるものではないためです。ただし保険金額の全部が支払われた場合(全損)は契約が終了します。また保険料率が全契約者共通で改定されることはありますが、これは個別の請求の有無とは無関係です。

出典

  • 日本損害保険協会「損害保険Q&A 問50 火災保険は、どのような保険ですか。」(自然の消耗・劣化・変色・さび・かび・腐食・ひび割れ等による損害は支払対象外)https://soudanguide.sonpo.or.jp/home/q050.html
  • 日本損害保険協会「風水雪災等による損害を補償する損害保険」(2025年10月6日更新)https://www.sonpo.or.jp/insurance/shizen/index.html
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    この記事の執筆・編集方針について

    本記事は省エネ住宅ナビ編集部が執筆・編集しています。補助金・制度に関する記述は、経済産業省・環境省・国土交通省および各自治体の公式サイト・公式資料を確認したうえで作成し、記事内に出典を明記しています。特定のメーカー・施工会社に属さない中立な立場で情報を整理しています。

    制度の受付状況・要件・予算の消化状況は変動します。申請の最終判断は必ず各事業の公式サイトでご確認ください。記載内容の誤りにお気づきの場合は、お問い合わせフォームよりご連絡いただければ、確認のうえ速やかに訂正します。

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    この記事を書いた人

    省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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