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結論から書きます。V2H(充放電設備)を住宅ローンに組み込めるのは、原則として「新築の工事請負契約または売買契約に、V2Hの費用が含まれている場合」だけです。すでに住んでいる家への後付けは住宅ローンの資金使途から外れるため、リフォームローンの領域になります。そして2026年8月時点では、全期間固定どうしで比べるとリフォームローンのほうが金利が低いという逆転が起きています。さらに金額のインパクトが最も大きいのは金利差ではなく、CEV補助金(上限130万円)の段取りです。
図1|この記事の要点(2026年8月22日時点)
- 新築で建てる:フラット35の借入対象は請負契約書の請負金額。V2Hは「請負金額外でも認められる費用」の一覧に無いため、請負契約に含めてもらうことが条件。
- 新築(建売)を買う:一覧に「新築住宅の内装変更、設備設置のための工事費用」があるため、売買金額と別契約でも借入対象になり得る。
- 中古を買う:同じ項目が「新築住宅の」に限定されており、中古単独では対象外。
- 後付け:グリーンリフォームローンの対象設備5種にV2Hは無い。太陽光発電などの対象工事と同時に行い、その他工事枠(省エネ工事費と同額まで)に収める必要がある。
- 金利(2026年8月):フラット35は年3.29%(21年以上・最頻)、グリーンリフォームローンは年1.98%。200万円の利息は137.0万円と20.6万円で約116万円差。
- 最大の分岐点:CEV補助金は発注も着工も交付決定日以降。新築の工程に巻き込むと130万円を落としかねない。
V2Hを住宅ローンに組み込めるのは4ケースのうち2つだけ
「V2Hは住宅ローンに入れられますか」という問いは、実際にはどの契約書の金額に入るかという問いです。住宅金融支援機構【フラット35】の資金使途は「新築住宅の建設・購入資金または中古住宅の購入資金」と定められており、借入額は「建設費または購入価額以内」です。つまり設備単体の資金を借りる商品ではありません。V2Hの費用が請負金額や売買金額の一部として認められるかどうかで、可否が決まります。
| 住まいの取得の仕方 | 住宅ローンに組み込めるか | 根拠(フラット35) |
|---|---|---|
| 注文住宅を建設する | 条件つきで可 | 請負契約書の請負金額に含まれていれば対象。請負金額外でも認められる費用の一覧にV2Hの記載は無い。 |
| 新築(建売・分譲)を購入する | 可 | 住宅を購入する場合の一覧に「新築住宅の内装変更、設備設置のための工事費用」があり、売買金額に含まれなくても書類で確認できれば対象。 |
| 中古住宅を購入する | 原則不可 | 上記の項目は「新築住宅の」に限定。【フラット35】リノベ(リフォーム一体タイプ)ならリフォーム工事の請負金額として扱う余地がある。 |
| いま住んでいる家へ後付け | 不可 | 資金使途(住宅の建設・購入)に当たらない。リフォームローンの領域になる。 |
🔌 V2Hの総額は見積もりを比べないと分かりにくい部分です
V2Hの費用は機器のグレードだけでなく、分電盤の位置や配線距離といった電気工事の内容、地域の施工単価によっても差が出やすい部分です。全国対応の「タイナビ蓄電池」は、蓄電池・V2Hを扱う複数の販売施工店の条件をまとめて無料で比較できる一括見積もりサービスです。見積もりの取得だけで契約する必要はありませんので、相場を把握する材料として利用できます。
太陽光は名指しされているのに、V2Hは書かれていない
フラット35には、請負金額や売買金額に含まれていなくても、書類で金額が確認できれば借入対象に加えられる費用の一覧があります。住宅を建設する場合は25項目、購入する場合は27項目です。この一覧を読むと、太陽光発電設備だけが名指しされていることが分かります。
建設の一覧には「住宅の屋根、外壁、住宅用カーポートに固定して設置される太陽光発電設備の設置費用」と「太陽光発電設備の工事費負担金」の2項目があります。一方でV2H、蓄電池、EV用充電設備に相当する記載はありません。つまりV2Hは、請負金額の外に置いた瞬間に借入対象から外れる設備です。逆にいえば、住宅会社が工事請負契約書の請負金額にV2H一式を含めてくれるかどうかが、注文住宅では唯一の分かれ目になります。
太陽光発電設備
一覧に名指しで記載あり。請負金額に含まれていなくても、請負契約書・注文書などで金額が確認できれば借入対象に加えられる。工事費負担金も別項目で対象。
V2H充放電設備
一覧に記載なし。請負金額(建設)または売買金額に含まれている場合に限り、その一部として借入対象になる。別契約にすると外れる。
建売を買う場合だけ、別契約でも道が残っている
「住宅を購入する場合」の一覧には、建設の一覧に無い項目が入っています。「新築住宅の内装変更、設備設置のための工事費用」です。留意事項欄に制限が付いていないため、新築の建売住宅を買うときに、売買契約とは別にV2Hの設置を発注しても、注文書・注文請書などで金額が確認できれば借入対象に含められる余地があります。同じ一覧でも「住宅の改修時における石綿の…」や「既存住宅売買瑕疵保険」は中古購入限定と明記されており、項目ごとに適用範囲が書き分けられています。設備設置の項目は新築住宅に限る書き方なので、中古住宅を買ってV2Hを付ける場合には使えません。
なお、一覧の注意事項には「カーテン、エアコン、照明器具などの費用で建設する住宅の請負金額や購入する住宅の売買金額に含まれるものは対象になります」とも書かれています。設備であることが問題なのではなく、どの契約書のどの金額に載っているかが判断基準だという設計が読み取れます。
🏠 新築と同時にV2Hを入れたい方へ
V2Hを請負金額に含めてくれるか、そして補助金の交付決定を待って着工する工程を組めるかは、住宅会社によって対応が分かれやすい部分です。全国対応で入力3分、複数のハウスメーカー・工務店のカタログをまとめて無料請求できる「持ち家計画」なら、希望条件を入れるだけで対応する会社を絞り込めます。カタログ請求だけで契約する必要はありません。
後付けはグリーンリフォームローン。ただしV2H単体では申し込めない
すでに住んでいる家にV2Hを付ける場合、住宅金融支援機構の選択肢は【グリーンリフォームローン】になります。融資限度額は2025年10月(令和7年10月)の申込分から500万円が1,000万円へ引き上げられ、抵当権の設定も火災保険の加入も融資手数料も不要という、住宅ローンより手続きの軽い商品です。
ただし対象工事の要件は明確です。省エネ設備設置工事として認められる設備は高効率給湯機・太陽光発電設備・太陽熱利用設備・高断熱浴槽・コージェネレーション設備の5種類で、V2Hも蓄電池も含まれていません。断熱改修工事のほうも窓・ドア・断熱材が対象なので、V2Hだけを理由に申し込むことはできません。
それでも道が閉ざされているわけではありません。融資限度額の注記に「省エネリフォーム工事以外のその他のリフォーム工事の融資額の限度額は、省エネリフォームに係る工事費の金額までです」と書かれているためです。太陽光発電設備(システム容量1kW以上・全量売電は対象外)などの対象工事を同時に行えば、V2Hは「その他の工事」として、対象工事費と同じ額まで借入対象に入れられます。
この3つの上限を同時に当てはめると、組み合わせによって借りられる額がどう変わるかを機械的に計算できます。V2Hの費用を200万円(機器+工事の総額の目安。当サイトのV2Hの価格・設置費用と設置工事費の内訳の記事で扱っている水準)と置いた場合が次の表です。
| 同時に行う省エネ工事 | V2Hの費用 | CEV補助金 | 借入対象になる額 |
|---|---|---|---|
| 太陽光 150万円 | 200万円 | 使わない | 300万円 |
| 太陽光 150万円 | 200万円 | 130万円 | 220万円 |
| 太陽光 100万円 | 200万円 | 使わない | 200万円 |
| なし | 200万円 | – | 申込不可 |
2行目が重要です。補助金を受け取ると、その分だけ借りられる額が減ります。融資限度額の計算にあたって補助金交付額をリフォーム工事費全体から差し引く決まりがあるためで、借入申込時には「補助金に関する申出書(参考書式18号)」の提出も求められます。補助金と融資枠を単純に足し算できると考えていると、資金計画がずれます。
2026年8月は「住宅ローンのほうが金利が高い」逆転が起きている
「設備はリフォームローンより住宅ローンに入れたほうが金利が安い」という説明をよく見かけます。同じ住宅金融支援機構の全期間固定どうしで確かめると、2026年8月時点ではこれが逆になっています。
【フラット35】の2026年8月の金利は、返済期間21年以上で年3.29%〜5.57%(最頻3.29%)、15年〜20年で年2.97%〜5.25%(最頻2.97%)です。これに対して【グリーンリフォームローン】の令和8年8月の融資金利は、新機構団信に加入する場合で年1.98%、一定の断熱基準を満たすSなら年1.68%です。差は1.31ポイントあります。
| 借り方 | 金利 | 期間 | 毎月返済 | 総返済額 | 利息 |
|---|---|---|---|---|---|
| フラット35に上乗せ | 年3.29% | 35年 | 8,024円 | 337.0万円 | 137.0万円 |
| フラット35に上乗せ | 年2.97% | 15年 | 13,782円 | 248.1万円 | 48.1万円 |
| グリーンリフォームローン | 年1.98% | 10年 | 18,384円 | 220.6万円 | 20.6万円 |
| グリーンリフォームローンS | 年1.68% | 10年 | 18,117円 | 217.4万円 | 17.4万円 |
試算の正しさは公式資料で検算できます。グリーンリフォームローンの金利のお知らせには「100万円当たりの返済額(めやす)」の表が付いており、年1.98%・返済期間10年・元利均等返済の欄は9,192円です。同じ条件を元利均等返済の式で自前計算すると9,192円となり一致しました。年1.68%の欄9,058円も同様に一致します。表3はこの計算方法を200万円に当てはめたものです。
ただし、これは全期間固定どうしの比較である点に注意が必要です。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査結果(2026年1月調査)」では、実際に利用された金利タイプは変動型が75.0%、固定期間選択型が14.9%、全期間固定型が10.1%でした。多数派である変動型の住宅ローンは金利水準そのものが異なるため、同じ表では比べられません。比べるべきなのは「商品の名前」ではなく、自分が実際に提示された金利と返済期間です。同じ調査で、今後1年間の金利見通しを「現状よりも上昇する」と答えた人は73.7%と、前回調査から8.0ポイント増えています。
金利差より大きいのは、補助金130万円を落とさない段取り
ここまでの金利差は最大で約116万円でした。それと同じか、それ以上の金額が動くのがCEV補助金の段取りです。V2H充放電設備の導入補助金(令和7年度補正予算)は、個人宅の場合、機器が購入費(税抜)の2分の1以内かつ型式ごとの上限額、工事が上限55万円という構成になっています。工事側の内訳は基礎3.5万円・据付8万円・搬入1.5万円・電気関連30万円・諸費用12万円で、合計55万円です。
そして応募要領の申請要件には、次の2つが並んでいます。「V2H充放電設備の発注は交付決定日以降であること」と「設置工事の施工開始日、ならびにV2H充放電設備および設置工事の代金の支払は、交付決定日以降であること」です。しかも「設置工事の施工開始」は、本体の搬入や基礎工事などの準備を含むと定義されています。交付決定は不備のない申請を受け付けてからおおむね1〜2か月かかります。
図5|CEV補助金(V2H)の流れと期限
- 交付申請(オンライン)/受付期間は令和8年7月17日〜令和8年9月30日17時。申請額の累計が予算額を超える見込みになれば期間中でも終了。
- 受付・審査/書類に不備があると受付されず、修正が終わるまで審査は進まない。
- 交付決定通知/不備のない申請の受付からおおむね1〜2か月。
- 発注・着工/ここより前に発注も搬入も基礎工事もできない。
- 工事完了・支払完了/個人が個人宅に設置する場合は、割賦・ローン契約・クレジット契約の締結をもって支払完了として扱われる。
- 実績報告/期限は令和9年1月29日。完了日から30日以内が目安。
- 補助金の交付(指定口座へ振込)/その後5年間の保有義務。
図6|⚠ 新築同時にしたい人が最も踏みやすい落とし穴
- V2Hを工事請負契約に含めて住宅と一緒に着工すると、V2H部分の準備工事が交付決定前に始まってしまうおそれがある。V2Hの基礎工事や搬入だけは交付決定後にずらす工程が組めるか、契約前に住宅会社へ確認する。
- 交付決定まで1〜2か月かかるため、9月に申請すると着工可能になるのは10〜11月以降になり得る。引渡し時期から逆算して申請時期を決める。
- 個人宅で申請するには、設置場所を使用の本拠とする電気自動車等が必要(購入の発注が済んでいれば実績報告で報告可)。設置場所が転居先の場合、住所の一致は実績報告時に確認される。
- 国の他の補助金との重複申請は不可。自治体の制度は併用できる場合があるため、各自治体に確認する。
- 補助金の交付を受けたV2Hには、設置完了日から5年間の保有義務がある。
この記事で「確認できなかったこと」
数値や要件は一次情報で裏取りしていますが、公表資料の範囲では確定できなかった論点があります。断定を避けて明示しておきます。
- 抵当権と処分制限の関係:CEV補助金の管理規程は、処分制限期間中に取得財産を「譲渡し、交換し、貸し付け、廃棄又は担保に供すること」を禁じています。一方でフラット35は、借入対象の住宅とその敷地に第1順位の抵当権を設定します。V2Hを請負金額に含めて建物価格の一部とした場合にこの関係がどう整理されるのかは、公開されている応募要領・交付規程・管理規程の本文からは読み取れませんでした。新築同時で両方を使う予定なら、契約前にセンターと取扱金融機関の双方へ確認してください。
- 民間の住宅ローンでの取扱い:付帯設備をどこまで資金使途に含められるかは各金融機関の商品説明書によります。要件が一般に公表されている商品に限る方針のため、この記事ではフラット35とグリーンリフォームローンの2つに絞っています。
- 税制上の取扱い:V2Hの費用が住宅ローン控除の対象となる家屋の取得対価に含まれるかどうかは、国税庁の公表資料で確認できませんでした。金額の判断は税務署または税理士に確認してください。当サイトの住宅ローン控除の記事では制度の枠組みのみを扱っています。
よくある質問
V2Hだけを住宅ローンで借りることはできますか?
できません。フラット35の資金使途は「新築住宅の建設・購入資金または中古住宅の購入資金」で、借入額は建設費または購入価額以内と定められています。設備単体の資金を借りる商品ではないため、新築の工事請負契約または売買契約の金額にV2Hが含まれていることが前提になります。
後付けのV2Hにグリーンリフォームローンは使えますか?
V2H単体では申し込めません。省エネ設備設置工事として認められる設備は高効率給湯機・太陽光発電設備・太陽熱利用設備・高断熱浴槽・コージェネレーション設備の5種類で、V2Hと蓄電池は含まれていないためです。ただし対象工事と同時に行う場合は、その他のリフォーム工事として、省エネリフォーム工事費と同額を上限に借入対象へ含められます。
CEV補助金を受けながらローンで支払っても大丈夫ですか?
個人が個人宅に設置する場合は問題ありません。応募要領は補助対象経費の支払方法を原則として金融機関による振込としたうえで、申請者が個人かつ個人宅に設置する場合は割賦販売・ローン契約・クレジット契約による支払いを可としています。実績報告でも、これらの契約の締結をもって支払完了として扱われます。
新築と同時に入れるとき、いちばん注意することは何ですか?
発注と着工の時期です。V2Hの発注も、搬入や基礎工事を含む設置工事の開始も、交付決定日より前に行うことはできません。交付決定は不備のない申請の受付からおおむね1〜2か月かかるため、住宅本体の工程とV2H部分の工程を分けて管理できるかを、契約前に住宅会社と確認してください。交付申請の受付は令和8年9月30日17時までですが、予算に達した時点で早期終了する可能性があります。
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出典・参考
- 住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」(2026年4月1日現在)
- 住宅金融支援機構 よくある質問「対象となる住宅の建設費・購入価額とはどのようなものですか?」(Q&A番号338)
- 住宅金融支援機構「【フラット35】」金利情報(2026年8月現在)
- 住宅金融支援機構「【グリーンリフォームローン】ご利用条件」
- 住宅金融支援機構「【グリーンリフォームローン】工事の要件」
- 住宅金融支援機構「【グリーンリフォームローン】金利のお知らせ」(令和8年8月)
- 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2026年1月調査)」(令和8年2月20日)
- 一般社団法人次世代自動車振興センター「令和7年度補正予算 クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金 応募要領 V2H充放電設備」(令和8年7月)
- 一般社団法人次世代自動車振興センター「V2H充放電設備への補助ご案内」
本記事の数値・要件は2026年8月22日に各公式ページで確認したものです。制度の内容や金利は変更されることがあるため、申込前に必ず最新の公表資料と取扱金融機関でご確認ください。当サイトは金融商品の推奨や投資助言を行うものではありません。
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