洗濯乾燥機の電気代はヒートポンプ式とヒーター式で何倍違う?1回39.2円と78.4円・10.1年で14.5万円差【2026年】

日本の洗面脱衣所に置かれたドラム式洗濯乾燥機

洗濯~乾燥1回あたりの電気代+水道代は、ヒートポンプ式が約39.2円、ヒーター式が約78.4円です。

この差は1日1回使うと年14,308円。国の統計が示す洗濯機の平均使用年数10.1年で積むと約14.5万円になります。

つまり本体価格の差が約14.5万円以内なら、使い切るまでにランニングコストで取り返せる計算です(毎日使う場合)。

この記事の要点(2026年8月22日確認)

  • 1回あたりの実額はヒートポンプ式39.2円・ヒーター式78.4円。メーカー公表の6年間の実額から1回あたりに逆算した値です
  • 電力量そのものの比は800Wh対1,980Wh=40%。乾燥容量1kgあたりに直すと133Wh対396Wh=約3.0倍の開きがあります
  • メーカー試算の期間6年は補修用性能部品の保有年数に合わせたもの。実際の平均使用年数は10.1年(内閣府)なので、1.68倍に引き伸ばして考えます
  • 使用頻度で結論が変わります。週3回なら回収できる価格差は約6.2万円まで
  • 洗濯乾燥機は統一省エネラベルの対象外。店頭の★では比べられず、カタログの「洗濯~乾燥の定格消費電力量」を自分で見るしかありません
目次

1回あたりの実額は39.2円と78.4円|公表額から逆算する

洗濯乾燥機の電気代を調べると「月◯円」という数字が並びますが、前提の使用回数も単価もばらばらで比べられません。ここではパナソニックが公式サイトで公表している6年間の電気代・水道代の実額を出発点にして、1回あたりに割り戻します。同社は算出式(消費電力量×0.031円×365日×年数)と単価まで公開しているため、逆算すれば元のカタログ値まで復元できます。

単価は電気が31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の新電気料金目安単価・2022年7月改定)、水道が上下水道あわせて262円/立方メートル(日本電機工業会調べ・2021年7月現在)です。この2つは資源エネルギー庁の省エネポータルでも検算できます。同サイトの衣類乾燥機の節約額1,300円を削減量41.98kWhで割ると30.97円/kWh、12,230円を394.57kWhで割ると30.99円/kWhとなり、いずれも31円と一致しました。

表1 洗濯~乾燥1回あたりのコスト(定格容量で1回運転した場合)

項目ヒートポンプ式
おまかせ
ヒートポンプ式
省エネコース
ヒーター式
洗濯/乾燥容量12kg/6kg12kg/6kg10kg/5kg
消費電力量(逆算)800Wh620Wh1,980Wh
使用水量(逆算)55L55L65L
電気代24.8円19.2円61.4円
水道代14.4円14.4円17.0円
合計(1回)39.2円33.6円78.4円
パナソニック公表の6年間の実額(おまかせコース86,000円/省エネコース73,700円/ヒーター式171,800円)を、同社公表の算出式で1回あたりに割り戻したもの。逆算値を式に戻すと公表額と一致することを確認済みです。
図1 洗濯~乾燥1回あたりのコスト(円)電気代水道代ヒートポンプ式おまかせ39.2円ヒートポンプ式省エネ33.6円ヒーター式78.4円04080
電気31円/kWh・上下水道262円/立方メートルで算出。定格容量で1回運転した場合の値です。

差は1回あたり39.2円。ヒートポンプ式のおまかせコースとヒーター式が、ちょうど2倍の関係になっています。省エネコースで比べると差は44.8円に広がります。

メーカーは「約半分」と書くが、公表額を割ると40%になる

パナソニックは同じページで、ヒートポンプ式は「ヒーター式で使う電力量の約半分(当社比)」と説明しています。ところが同じページに載っている2機種の実額を割り算すると、800Wh÷1,980Wh=40.4%、つまり約2.5分の1でした。メーカー表現より実際の差のほうが大きいことになります。

ただしこの2機種は乾燥容量が6kgと5kgで違います。条件をそろえるため乾燥1kgあたりに割り戻すと、ヒートポンプ式が133Wh/kg、ヒーター式が396Wh/kg約3.0倍の開きになりました。洗濯~乾燥の値には洗濯工程の消費電力量も含まれており、それはどちらの方式でも大きくは変わりません。したがって乾燥だけを取り出せば、差はこの3.0倍よりさらに広がる方向です。

水量にも差が出ます。逆算値ではヒートポンプ式55Lに対しヒーター式が65Lで、1回あたり10L多く使います。ヒーター式は槽内の湿った空気を水道水で冷やして除湿する方式のため、乾燥のために水が要るからです。金額にすると1回2.6円、毎日使えば年956円です。

6年ではなく10.1年で引き直す|メーカー試算の期間は部品保有年数

メーカーのシミュレーションが6年で区切られているのには理由があります。同じページに「パナソニックのドラム式洗濯乾燥機の補修用性能部品の保有年数は製造打ち切り後6年間です。6年を目安に計算ください」と書かれており、部品が手に入る期間に合わせた設定だからです。

しかし実際に人が使う年数は違います。内閣府の消費動向調査(令和8年3月実施)によれば、買い替えた世帯の電気洗濯機の平均使用年数は10.1年。部品保有年数の1.68倍です。この10.1年で引き直すと、毎日使う家庭の差額は約14.5万円になります。

もうひとつ、この調査には見逃せない数字があります。電気洗濯機の買い替え理由は「故障」が76.2%で、調査対象の11品目のなかで最も高いのです。テレビ70.8%、電気掃除機69.0%、ルームエアコン66.6%、電気冷蔵庫63.8%と比べても突出しています。洗濯機は「調子が悪くなったから計画的に」ではなく、止まってから慌てて買う家電の代表だということです。壊れてからでは方式を比べる時間はありません。判断の材料は、動いているうちに持っておく価値があります。

同じ調査は冷蔵庫についても平均使用年数13.1年・故障63.8%という数字を出しています。買い替え時期の考え方は冷蔵庫の買い替え目安は平均13.5年|65.7%は故障後、電気代の差で回収できるかで扱っており、同じ「部品保有期間と実際の使用年数のずれ」が起きています。1世帯あたりの電気代の水準そのものは世帯人数別の電気代は月いくら?で確認できます。

表2 使用頻度別の差額と、回収できる本体価格差の上限

使う頻度年間の回数年間の差額10.1年の累計=回収できる価格差の上限
毎日1回365回14,308円約14.5万円
週5回260回10,192円約10.3万円
週3回156回6,115円約6.2万円
週1回52回2,038円約2.1万円
1回あたりの差39.2円(おまかせコース基準)に回数を掛け、平均使用年数10.1年で積み上げたもの。省エネコースを常用する場合は差が44.8円になり、毎日1回で約16.5万円まで上限が上がります。

この表の右端が判断の物差しです。ヒートポンプ式とヒーター式の本体価格差が、この金額より小さければ電気代と水道代で取り返せます。逆に、乾燥を週に数回しか使わない家庭では上限が6万円台まで下がるため、価格差が10万円を超えるなら「乾燥は方式で選ばない」という判断も十分に成り立ちます。ネット上の比較記事は毎日1回を前提にした年間差額だけを示しがちですが、頻度が変われば結論も変わります。

方式を変えるより効く行動がある|自然乾燥の併用は年12,230円

買い替えを勧める前に、正直に書いておきたいことがあります。資源エネルギー庁の省エネポータルによると、自然乾燥を8時間おこなってから未乾燥のものだけを補助的に乾燥させる使い方は、乾燥機だけで乾かす場合に比べて年間394.57kWh、金額にして約12,230円の削減になります(2日に1回使用の場合)。

この12,230円は、ヒートポンプ式に買い替えたときの年間差額14,308円に迫る大きさです。しかも本体の買い替え費用はかかりません。同じページには、まとめて乾燥して回数を減らす方法(年41.98kWh・約1,300円)も載っています。

ただし注意点があります。この394.57kWhという数字は「乾燥機だけで乾かす場合」を基準にした削減量で、もともとの消費量が大きいヒーター式相当の前提です。すでにヒートポンプ式を使っている家庭では、もとの消費量が4割程度なので、同じ行動をとっても効果は年5,000円前後にとどまると見込まれます(当サイトの試算)。また、この削減量を年間の使用回数182.5回で割ると1回あたり2.16kWh。これは補助乾燥ぶんを差し引いた差なので、乾燥機だけで乾かしたときの消費量の下限にあたります。

部屋干しと除湿機を組み合わせる方法もあります。除湿機は水1Lを抜くコストで比べると方式ごとに数倍の開きがあり、選び方の考え方は除湿機の選び方2026|コンプレッサー式とデシカント式を「1Lあたり」で比べるにまとめています。乾燥機にかける量そのものを減らせるかどうかが、金額に一番効きます。

数値を読むときの前提

  • 本記事の1回あたりの実額は特定の2機種の公表値から復元したもので、すべてのヒートポンプ式・ヒーター式に当てはまる平均値ではありません
  • 電気31円/kWhは2022年7月改定の目安単価です。契約中のプランの単価が違えば、差額はその比で増減します
  • 乾燥容量が6kgと5kgで異なります。容量をそろえた比較は本文の1kgあたりの値をご覧ください
  • 衣類の量や乾き具合、室温によって実際の消費量は変わります

店頭の★では比べられない|カタログのどこを見るか

エアコンや冷蔵庫を買うとき、店頭で★の数と「年間の目安電気料金」を見比べた経験がある方は多いと思います。あれは省エネ法にもとづく統一省エネラベルですが、洗濯機と洗濯乾燥機はこの制度の対象になっていません。経済産業省が運営する省エネ型製品情報サイトの製品検索カテゴリを見ると、エアコン・テレビ・電気冷蔵庫・電気冷凍庫・照明器具・電球・電気便座・ジャー炊飯器・電子レンジ・エコキュート・ガス温水機器・石油温水機器などは並んでいますが、洗濯機の項目はありません(2026年8月22日確認)。

つまり、洗濯乾燥機の省エネ性能は第三者がそろえた物差しでは比べられないということです。メーカーのカタログにある「消費電力量 定格洗濯乾燥時」または「洗濯~乾燥」の欄と、「標準使用水量 定格洗濯乾燥時」の欄を自分で拾い、31円と0.262円を掛けて自分で並べるしかありません。この記事の表1は、その手順を1つ実演したものです。

図2 乾燥の使用頻度から方式を決める

乾燥機能を週に何回使うか週5回以上週3回前後ほとんど使わない回収の上限は約10〜14万円価格差がこれ以内ならヒートポンプ式が有利回収の上限は約6万円これを超える価格差なら乾燥以外の条件で選ぶ方式の差は電気代に出ない洗濯のみの水量と本体価格で選んでよい回収の上限=1回あたりの差39.2円×年間回数×平均使用年数10.1年
価格差が上限を下回っていれば、使い切るまでにランニングコストで取り返せるという意味です。

乾燥は「別置き」から「洗濯機一体」へ移っている

もうひとつ、内閣府の調査から読み取れる変化があります。二人以上の世帯の衣類乾燥機の普及率は2025年3月末の54.8%から2026年3月末で56.5%へ上がりました。ただし内訳を見ると動きは一様ではありません。

区分2025年3月末2026年3月末前年差
衣類乾燥機(全体)54.8%56.5%+1.7pt
うち洗濯機一体型38.8%40.8%+2.0pt
うちその他(浴室乾燥機を含む)27.8%26.3%▲1.5pt
内閣府「消費動向調査」令和8年3月実施調査結果 第3表より。二人以上の世帯の普及率です。

洗濯機一体型が1年で2.0ポイント増えた一方で、浴室乾燥機などの別置きは1.5ポイント減っています。100世帯あたりの保有台数でも、洗濯機一体型は39.7台から41.8台へ増え、その他は29.1台から27.3台へ減りました。乾燥の担い手が別置きの機器から洗濯機の中へ移っている、という構図です。だからこそ「どちらの乾燥方式を選ぶか」の判断が、以前より多くの家庭に関わるようになっています。

カタログを見るときのチェックリスト

  1. 「消費電力量 定格洗濯乾燥時」(洗濯~乾燥)のWhを書き出す
  2. 「標準使用水量 定格洗濯乾燥時」のLを書き出す
  3. Wh×0.031円+L×0.262円で1回あたりの金額を出す
  4. 乾燥容量で割って1kgあたりに直し、容量の違う機種と並べる
  5. 1回あたりの差×年間の使用回数×10.1年で回収できる価格差の上限を出す
  6. 候補機種の実売価格差が、その上限より小さいかを確認する

よくある質問

洗濯乾燥機の電気代は1か月でいくらですか?

洗濯~乾燥を1日1回使う場合、電気代だけでヒートポンプ式は月約754円、ヒーター式は月約1,867円です(1回24.8円・61.4円を30.4日分で計算)。水道代を含めると月約1,192円と約2,384円になります。乾燥を使わず洗濯のみで運転すれば、この金額はさらに下がります。

ヒートポンプ式は本当に元が取れますか?

使う頻度で変わります。毎日1回使う家庭なら平均使用年数10.1年で約14.5万円の差がつくので、本体価格差がそれ以内なら取り返せます。一方で週3回程度なら上限は約6.2万円まで下がるため、価格差が10万円を超える場合は電気代だけを理由にヒートポンプ式を選ぶ根拠は弱くなります。

洗濯乾燥機に省エネラベルの★はありますか?

ありません。経済産業省が運営する省エネ型製品情報サイトの対象カテゴリに洗濯機・洗濯乾燥機は含まれておらず、統一省エネラベルの多段階評価は表示されません(2026年8月22日確認)。省エネ性能を比べるには、メーカーのカタログにある洗濯~乾燥の定格消費電力量と標準使用水量を自分で拾う必要があります。

出典

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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