九州電力エリアで乗り換えが効くのは、基本料金・300kWh超の1.10円・夜間単価の3か所だけです。西部ガスが安いのは基本料金だけでした。2026年9月4日時点の公式単価。
情報基準日: 2026-09-04(九州電力と西部ガスの公式料金表を同日に確認)
設備・世帯・地域で結論がどう入れ替わるかの全体像は電力会社の選び方 2026|省エネ設備・世帯・地域で選ぶ乗り換え完全ガイドにまとめています。この記事はそのうち「九州の電力会社おすすめ比較」に絞って掘り下げます。
九州電力エリアで料金表を並べ直すと、乗り換えで動くのは3か所しかありません。
第1に基本料金、第2に月300kWhを超えた分の1.10円、第3に夜間単価です。
とくに「電化でナイト・セレクト」の夜間14.59円は、昼夜の差が12.38円と大きく、太陽光・蓄電池・エコキュートを持つ家ほど効きます。
この記事の要点(2026年9月4日確認)
- 九州電力の従量電灯Bとスマートファミリープランは、違いが第3段階の1.10円と年777円の割引だけ。基本料金と第1・第2段階は完全に同じ。
- 西部ガスの「プラスでんきプラン1」は電力量料金がスマートファミリープランと1円単位まで同一で、安いのは基本料金だけ。差は月93.72円(30A)から415.44円(60A)。
- 年額に直すと西部ガスは年1,125円〜7,625円安い。ただし電気の供給エリアは福岡・熊本・長崎・佐賀の4県で、大分・宮崎・鹿児島では申し込めない。
- オール電化なら「電化でナイト・セレクト」。夜間14.59円は昼間(平日・夏冬)27.63円の52.8%で、従量電灯Bの第3段階との差は12.38円/kWh。
- ただし燃料費調整に上限がないメニューがある。従量電灯Bには上限があるため、燃料価格が上がった局面では順位が入れ替わりうる。
この記事の比較基準|公式単価のみ・アフィリエイト順位なし・情報基準日
- 料金は各社の公式サイトと供給約款に記載された単価だけを使って計算しています。実際の請求額は使用量・契約容量・燃料費調整額・再エネ賦課金で変わります。
- 紹介する順序や掲載の有無を広告の成果報酬で変えていません。提携のあるサービスを案内する場合は記事の冒頭にPR表記を置いています。
- 年額の差は前提の世帯像と使用量を本文に明記しています。契約容量・ガス使用量・セット割の条件で結果が変わるため「最安」「必ず安くなる」と断定する表現は使いません。
情報基準日: 2026-09-13(単価の改定を確認した場合は本文の表と基準日を更新します)
九州電力の2プランは「第3段階の1.10円」と「年777円」しか違わない
九州電力エリアの家庭向けは、規制料金の「従量電灯B」と、自由料金の「スマートファミリープラン」が入口になります。2つを同じ表に置くと、違いは2か所だけです。第3段階(月301kWh以降)の単価が26.97円と25.87円で1.10円違うことと、スマートファミリープランに年777円の2年契約割引があることです。基本料金も第1段階も第2段階も、円未満まで同じ数字でした。
逆に言えば、月300kWh以下しか使わない家ではこの2つは1円も変わりません(割引を除く)。「新電力より大手のほうが安心」という話以前に、九州電力の中でも選び分けの余地がほとんどない帯があるということです。
図1|九州電力の家庭向け2プランの料金単価(税込)
| 区分 | 従量電灯B | スマートファミリープラン |
|---|---|---|
| 基本料金 30A | 948.72円 | 948.72円 |
| 基本料金 40A | 1,264.96円 | 1,264.96円 |
| 基本料金 50A | 1,581.20円 | 1,581.20円 |
| 基本料金 60A | 1,897.44円 | 1,897.44円 |
| 電力量料金 〜120kWh | 18.37円/kWh | 18.37円/kWh |
| 電力量料金 121〜300kWh | 23.97円/kWh | 23.97円/kWh |
| 電力量料金 301kWh〜 | 26.97円/kWh | 25.87円/kWh |
| 最低月額料金 | 335.34円 | 335.34円 |
| その他 | 口座振替割引 月55円 | 2年契約割引 年777円 |
| 燃料費調整の上限 | あり | なし |
西部ガスの電気が安いのは「基本料金だけ」──電力量料金は九州電力と同一だった
九州エリアで大手電力に対抗する筆頭が、西部ガスの「プラスでんきプラン1」です。西部ガス自身が公式サイトに九州電力との比較表を載せており、そこを1行ずつ突き合わせると、値引きの正体がはっきりします。電力量料金は3段階とも九州電力スマートファミリープランと完全に同じ数字で、違うのは基本料金だけでした。
しかも基本料金の差は契約電流によって大きく変わります。10A・15A・20Aでは月1.24円〜2.48円しか違いませんが、30Aで93.72円、60Aでは415.44円まで開きます。アンペアが小さい家ほど乗り換えの効果が消える設計です。
図2|西部ガス「プラスでんきプラン1」と九州電力の単価差(税込)
| 区分 | 西部ガス プラスでんき1 | 九州電力 スマートファミリー | 差(月) |
|---|---|---|---|
| 基本料金 10A | 315.00円 | 316.24円 | -1.24円 |
| 基本料金 20A | 630.00円 | 632.48円 | -2.48円 |
| 基本料金 30A | 855.00円 | 948.72円 | -93.72円 |
| 基本料金 40A | 1,070.00円 | 1,264.96円 | -194.96円 |
| 基本料金 50A | 1,310.00円 | 1,581.20円 | -271.20円 |
| 基本料金 60A | 1,482.00円 | 1,897.44円 | -415.44円 |
| 〜120kWh | 18.37円/kWh | 18.37円/kWh | 0.00円 |
| 121〜300kWh | 23.97円/kWh | 23.97円/kWh | 0.00円 |
| 301kWh〜 | 25.87円/kWh | 25.87円/kWh | 0.00円 |
世帯別に年額を積み上げる|西部ガスは年1,125円〜7,625円安い
単価表だけでは家計に効く額が見えないので、契約電流と使用量をそろえて年額を計算しました。燃料費等調整額と再エネ賦課金はどのプランにも同じように乗るため除いています。九州電力スマートファミリープランは2年契約割引(年777円)を差し引いた後の値です。
図3|世帯別の年間電気料金(税込・燃調と賦課金を除く)
| 条件 | 九電 従量電灯B | 九電 スマートファミリー | 西部ガス プラスでんき1 |
|---|---|---|---|
| 一人暮らし 30A・月200kWh | 60,849円 | 60,072円(-777円) | 59,724円(-1,125円) |
| 2人 40A・月300kWh | 93,408円 | 92,631円(-777円) | 91,068円(-2,340円) |
| 4人 50A・月400kWh | 129,566円 | 127,469円(-2,097円) | 124,992円(-4,574円) |
| 5人以上 60A・月500kWh | 165,725円 | 162,308円(-3,417円) | 158,100円(-7,625円) |
太陽光・蓄電池・エコキュートがある家は「電化でナイト・セレクト」が本命
九州エリアの時間帯別メニューが「電化でナイト・セレクト」です。夜間時間を21時〜翌7時/22時〜翌8時/23時〜翌9時の3パターンから選べ、夜間単価は一律14.59円。従量電灯Bの第3段階26.97円との差は12.38円/kWhあります。
この12.38円という数字は全国で見ても大きい部類です。東京電力エナジーパートナーのスマートライフSは昼35.76円・夜27.86円で差は7.90円(当サイトが2026年8月27日に同社公式で確認)。九州の昼夜差は東京の約1.57倍で、しかも夜間単価そのものが東京の27.86円に対して14.59円と、ほぼ半分です。夜に電気を移す機器を持っている家ほど、九州では得が大きくなります。
図4|電化でナイト・セレクトの料金単価(税込)
| 区分 | 単位 | 料金単価 |
|---|---|---|
| 基本料金(契約電力10kW以下) | 1契約 | 1,888.80円 |
| 基本料金(11kW〜15kW) | 1契約 | 4,758.20円 |
| 平日昼間(夏・冬) | 1kWh | 27.63円 |
| 平日昼間(春・秋) | 1kWh | 24.74円 |
| 休日昼間(夏・冬) | 1kWh | 22.01円 |
| 休日昼間(春・秋) | 1kWh | 18.61円 |
| 夜間 | 1kWh | 14.59円 |
損益分岐の夜間比率は「使用量が多いほど下がる」
時間帯別プランは基本料金が高いかわりに夜が安いので、「夜にどれだけ寄せられるか」で勝ち負けが決まります。そこで、従量電灯Bと同額になる夜間使用比率を2つの前提で解きました。A:昼間をすべて最も高い平日・夏冬27.63円と置いた最も不利な条件と、B:休日を年125日、春・秋を183日として4つの昼間単価を加重平均した24.17円です。実際の分岐点はこのAとBの間に入ります。
| 月使用量(契約) | A:最も不利な条件 | B:昼間を加重平均 |
|---|---|---|
| 月200kWh(30A相当) | 89.9% | 86.2% |
| 月300kWh(40A相当) | 61.2% | 47.2% |
| 月400kWh(50A相当) | 41.1% | 19.8% |
| 月500kWh(60A相当) | 29.0% | 3.4% |
| 月600kWh(60A相当) | 25.0% | 夜間0%でも安い |
エコキュートを1台入れると、夜間にどれだけ寄るのかを当てはめてみます。資源エネルギー庁の省エネ性能カタログにあるエコキュートのラベル例は年間消費電力量1,389kWhで、月に直すと115.7kWhです。沸き上げはほぼ夜間に入るので、これがそのまま夜間使用量になります。
エコキュート1台(月115.7kWh)で届く夜間比率
- 月400kWhの家:夜間比率は28.9%。加重平均前提(19.8%)は超えるが、最も不利な条件(41.1%)には届かない。
- 月500kWhの家:23.1%。加重平均前提(3.4%)を大きく超え、最も不利な条件(29.0%)にもあと5.9ポイント。
- 月600kWhの家:19.3%。加重平均前提なら夜間0%でも安く、実質的に迷う必要がない。
洗濯乾燥機や食洗機を夜に回す、蓄電池やEVを夜間に充電する、といった上乗せがあれば、月400kWhの家でも不利な条件側の分岐点を超えられます。
蓄電池やEVを持っている場合は、1kWhを夜へ動かすたびに12.38円が浮く計算になります。10kWhの蓄電池を毎日1回フル稼働させた場合の理論上限は年45,187円(12.38円×10kWh×365日)。同じ計算を東京電力エリアの7.90円で行うと年28,835円なので、差は年16,352円です。実際には充放電のロスと使い切れない日があるので上限として読んでください。
申し込む前に必ず見る3つの条件
注意:ここを外すと試算が崩れます
- 西部ガスの電気は九州全域では申し込めない。供給エリアは福岡県・熊本県・長崎県・佐賀県(一部離島を除く)で、大分県・宮崎県・鹿児島県は対象外です。沖縄県はそもそも九州電力エリアではありません。
- 燃料費調整に上限がないメニューがある。九州電力は公式に「従量電灯B、従量電灯Cには燃料費調整に上限がある一方、スマートファミリープランと電化でナイト・セレクトには上限がない」と明記しています。燃料価格が上がった局面では、上の試算で安かったプランが逆転しうるということです。
- 電化でナイト・セレクトは実量制。契約電力はスマートメーターが計る30分ごとの実績値の、当月と前11か月の最大値で決まります。一度でも大きな同時使用があると、その後11か月は基本料金が下がりません。
もうひとつ、スマートファミリープランの2年契約割引は、2年未満で解約すると既に受けた割引分を精算されることがあります。年777円のために解約の自由度を落とす価値があるかは、上の表で自分の使用量の欄を見てから決めてください。月300kWh以下の家では、この777円が唯一の差です。
どれを選ぶか|4つの質問で決まる
図6|九州エリアのプラン選びチェックリスト
- オール電化、またはエコキュート・蓄電池・EVがある? → はい:電化でナイト・セレクトを最初に試算する(月400kWh以上なら特に)。
- いいえの場合、住所は福岡・熊本・長崎・佐賀? → はい:西部ガス プラスでんきプラン1。30A以上なら年1,125円〜7,625円下がる。
- 大分・宮崎・鹿児島で、月301kWh以上使う? → はい:スマートファミリープラン。第3段階1.10円と年777円のぶんだけ従量電灯Bより安い。
- 月300kWh以下で、燃料価格の変動が気になる? → 従量電灯Bのままでよい。単価差は年777円しかなく、燃料費調整に上限が残る利点のほうが大きい。
市場連動型(電源料金が30分ごとに動くタイプ)や基本料金0円型は九州エリアでも申し込めますが、判断の軸が上の4つとは別になります。仕組みと向き不向きは市場連動型プランとは何かで整理しています。
よくある質問
Q. 九州電力から新電力に替えると停電しやすくなりますか?
いいえ。電線と配電設備は九州電力送配電が管理しており、小売会社を替えても電気が通る経路は変わりません。西部ガスも公式に「送配電事業者の送電線を利用して電気を届ける」と説明しています。停電時の対応窓口も送配電会社です。
Q. 月300kWh以下なら、乗り換えても意味がないということですか?
九州電力の2プラン間では年777円しか変わりません。ただし西部ガスのプラスでんきプラン1は基本料金が下がるので、30Aで年1,125円、40Aなら年2,340円の差が出ます。効果が消えるのは10A〜20Aの契約で、この帯では月1.24円〜2.48円しか違いません。
Q. 太陽光を載せている家は、どの単価を見ればよいですか?
買う電気は夜に集中するので、見るのは夜間単価です。電化でナイト・セレクトの14.59円は、2026年度認定の売電単価(10kW未満の1〜4年目24円)より9.41円安いため、昼に自家消費するより夜間に買うほうが安い時間帯が生まれます。設備がある家の選び方は太陽光がある家の電力会社の選び方で詳しく扱っています。
出典
- 九州電力「従量電灯B」料金単価表(2026年9月4日確認)
- 九州電力「スマートファミリープラン」料金単価表・2年契約割引(2026年9月4日確認)
- 九州電力「電化でナイト・セレクト」料金単価表・夜間時間の3パターン・実量制の説明(2026年9月4日確認)
- 西部ガス「電気料金プラン(プラスでんきプラン1・九州電力との料金比較表)」(2026年9月4日確認)
- 西部ガス「電気小売事業のしくみ・電気供給エリア」(2026年9月4日確認)
- 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ」エコキュートの年間消費電力量ラベル例
- 東京電力エナジーパートナー「スマートライフS」料金単価(当サイトが2026年8月27日に確認)
