炊飯器の保温は何時間まで得か【2026年】1,561機種の公表値で計算|5.5合は9.8時間でもう一度炊くのと同じ

ふたを開けて炊きあがったごはんが見える炊飯器と、手前の茶碗としゃもじ

炊飯器の保温は1時間あたり0.52円です(5.5合クラス788機種の中央値16.7Wh/h、31円/kWhで計算)。

約9.8時間保温すると、もう一度炊くのと同じ電気を使います。つまり朝までの12時間保温は、朝に炊き直すより高くつきます。

そして資源エネルギー庁が言う「保温は4時間までが目安」の4という数字は、年間消費電力量から逆算すると5.5合クラスの測定条件そのものでした。1,561機種の公表データを集計して確かめます。

この記事の要点

  • 保温は1時間0.52円(5.5合の中央値16.7Wh/h)。3合なら0.38円、1升なら0.69円。
  • 炊飯1回は5.02円(5.5合の中央値161.9Wh)。保温約9.8時間で追いつく。
  • 年間消費電力量から逆算した保温時間は、3合1.07時間・5.5合4.03時間・1升6.48時間。国が言う「4時間」と5.5合クラスの測定条件が一致する。
  • 電子レンジで温め直すなら、茶碗1杯で保温2.2時間ぶん。だから4時間という目安は2杯前後を温める家庭の数字。
  • 同じ5.5合でも保温電力は2.24倍の開き(10.86〜24.3Wh/h)。全1,561機種では33倍
  • カタログの年間目安電気代は1kWhあたり27円で計算されている(1,561機種の中央値がちょうど27.00円)。いまの目安単価31円で引き直すと約15%増える。
目次

保温は1時間0.52円|1,561機種の公表値から出す

炊飯器は省エネ法のトップランナー制度の対象機器(ジャー炊飯器)です。そのため資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトに、全機種の消費電力量が登録されています。しかも「炊飯時(Wh/回)」と「保温時(Wh/h)」が別々の列で公表されているので、保温だけの電気代を単独で出せます。

同サイトの登録データを一括で取得すると、19ブランド・1,561機種ぶんの数値が揃いました(2026年8月29日時点)。これを容量別に集計したものが表1です。金額は資源エネルギー庁の金額換算係数31円/kWhで計算しています。

表1 容量別の保温と炊飯の消費電力量(中央値)と実額

最大炊飯容量機種数保温(Wh/h)保温1時間炊飯(Wh/回)炊飯1回
0.54L(3合)23412.2Wh0.38円111Wh3.44円
0.63L(3.5合)7614.9Wh0.46円118Wh3.66円
1.0L(5.5合)78816.7Wh0.52円161.9Wh5.02円
1.44L(8合)3017.6Wh0.55円193Wh5.98円
1.8L(1升)39922.2Wh0.69円225Wh6.98円
全機種1,56116.8Wh0.52円163.5Wh5.07円

資源エネルギー庁 省エネ型製品情報サイトの登録データ(ジャー炊飯器・2026年8月29日取得)を当サイトが集計。値はいずれも中央値です。金額は31円/kWhで換算しました。機種数が20未満の容量区分は表から省いています。

保温1時間は0.38円から0.69円。1回あたりで見るとごく小さな金額です。ここが判断を誤らせる原因で、保温は時間で積み上がるため、1日の合計と1年の合計で見ないと大きさが分かりません。

約9.8時間の保温で、もう一度炊くのと同じになる

炊飯1回の電力量を保温1時間の電力量で割ると、「何時間保温したら炊き直しと同じか」が機種ごとに出せます。5.5合クラス788機種で計算すると、中央値は9.84時間でした。四分位は8.86時間から11.09時間、最短は5.29時間、最長は16.66時間です。

表2 保温が「炊飯1回ぶん」に追いつく時間

最大炊飯容量中央値四分位範囲最短の機種
0.54L(3合)8.88時間7.83〜10.31時間5.29時間
0.63L(3.5合)8.39時間6.65〜9.07時間3.95時間
1.0L(5.5合)9.84時間8.86〜11.09時間5.29時間
1.44L(8合)10.63時間10.53〜10.67時間9.35時間
1.8L(1升)10.39時間9.37〜11.83時間7.26時間

各機種の「炊飯時Wh/回 ÷ 保温時Wh/h」を計算し、容量区分ごとに集計したもの(当サイト算出)。データは資源エネルギー庁 省エネ型製品情報サイトの登録データ(2026年8月29日取得)。炊き直すと米と水も新しく必要になるため、これは電気だけを比べた値です。

図1 保温は約9.7時間で「もう一度炊く」に並ぶ(5.5合クラスの中央値)01002003004000h6h12h18h24h約9.7時間で並ぶ炊飯1回 161.9Wh24時間保温 400.8Wh消費電力量(Wh)
5.5合クラス788機種の中央値(保温16.7Wh/h、炊飯161.9Wh/回)で作図。交点は161.9÷16.7=9.69時間です。機種ごとの比の中央値は9.84時間で、代表値どうしの割り算とはわずかにずれます。データは資源エネルギー庁 省エネ型製品情報サイト(2026年8月29日取得)。

夜に炊いて翌朝まで、というのはだいたい10時間から12時間です。図1でいうと交点を越えているので、電気だけで見れば朝に炊き直したほうが安いことになります。もっとも、炊き直しには米と水と手間がかかるので、これは「保温がタダではない」ことを示す目安として読んでください。

国が言う「4時間」はどこから来たのか|年間消費電力量から逆算する

資源エネルギー庁の省エネポータルサイトには、炊飯器についてこう書かれています。

ごはんを炊飯器で保温するのは、4時間までが目安です。保温のためのエネルギーより、電子レンジで温め直すエネルギーの方が少なくなります。資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約|キッチン」より引用(2026年8月29日閲覧)

数字の根拠は書かれていません。そこで、同じ省エネ法の枠組みで公表されている年間消費電力量から逆算しました。

やり方は単純です。年間消費電力量を365で割って1日あたりに直し、そこから炊飯1回ぶんを引きます。残りを保温1時間ぶんで割れば、「その年間値は1日何時間の保温を前提にしているか」が出ます。炊飯は1日1回として計算しました。

表3 年間消費電力量から逆算した「1日あたりの保温時間」

最大炊飯容量機種数逆算した保温時間(中央値)四分位範囲
0.54L(3合)2341.07時間0.84〜1.37時間
0.63L(3.5合)761.38時間1.16〜1.69時間
1.0L(5.5合)7884.03時間3.95〜4.15時間
1.44L(8合)307.01時間7.00〜7.08時間
1.8L(1升)3996.48時間6.43〜6.55時間

当サイトの算出。各機種について(年間消費電力量÷365−炊飯時Wh/回)÷保温時Wh/h を計算し、容量区分ごとに集計しました。炊飯を1日1回と置いた仮定が入っています。タイマー予約時と待機時の電力は差し引いていないため、実際の前提時間は表の値よりわずかに短くなります。データは資源エネルギー庁 省エネ型製品情報サイトの登録データ(2026年8月29日取得)。

5.5合クラス788機種の中央値が4.03時間、四分位範囲が3.95時間から4.15時間。ばらつきがほとんどありません。1,561機種全体でも4時間付近に668機種が集中していました。省エネポータルが言う「4時間までが目安」と、家庭で最も普及している5.5合クラスの測定条件が一致します。

ここで見落とされがちなのは、この4時間は容量によって変わることです。3合クラスは1.07時間、1升クラスは6.48時間を前提に年間値が作られています。大きい炊飯器ほど長く保温する前提なので、「4時間」を全世帯共通の基準として使うと、3合の家庭には長すぎ、1升の家庭には短すぎることになります。

この逆算の限界
表3は「炊飯は1日1回」という仮定のうえに立っています。国が使っている測定手順そのものを公表資料で確認したわけではないので、これは公表値どうしの割り算から見えた一致であって、4時間の根拠が測定条件だと断定するものではありません。ただし788機種の四分位範囲が0.2時間しかない以上、偶然の一致とは考えにくい、というところまでは言えます。

温め直しと比べる|1杯なら2.2時間、3杯なら6.5時間で逆転する

「保温より電子レンジのほうが少ない」と言うためには、電子レンジ1回の消費電力量が要ります。ところが国はごはんの温め直しの数値を公表していません。省エネポータルにある電子レンジの実額は、野菜の下ごしらえのものだけです。

そこにある葉菜(ほうれん草・キャベツ)100gの下ごしらえは、年間13.21kWh・約410円(365日・1日1回)。1回に直すと36.2Whです。生の野菜に火を通す加熱なので、炊けているごはんを温め直すよりは重いはずで、温め直し1回の上限として使えます。この36.2Whを5.5合クラスの保温16.7Wh/hで割ったのが表4です。

表4 温め直す茶碗の数と、保温何時間ぶんに相当するか(5.5合クラス)

温め直す杯数電子レンジの消費電力量(上限)電気代保温何時間ぶんか目安の世帯
1杯36.2Wh1.12円2.2時間一人暮らし
2杯72.4Wh2.24円4.3時間国の目安「4時間」はここ
3杯108.6Wh3.37円6.5時間3人世帯
4杯144.8Wh4.49円8.7時間4人世帯

電子レンジ側は資源エネルギー庁 省エネポータルサイトの葉菜100gの下ごしらえ(年13.21kWh・365日1日1回)から1回36.2Whとして計算した上限値です。実際のごはんの温め直しはこれより軽いと考えられるため、表の時間は上限側になります。保温側は5.5合クラス788機種の中央値16.7Wh/h。金額は31円/kWh。

国の「4時間」は、ちょうど2杯を温め直す家庭の数字にあたります。一人暮らしなら2時間、4人世帯なら8時間が同じ理屈での分岐点です。ひとつの数字で全世帯に当てはめると、一人暮らしは損をし、大家族は必要以上に急いで電源を切ることになります。

同じ5.5合でも保温の電力は2.24倍違う|買うときに見る欄

5.5合クラス788機種の保温時消費電力量は、最小10.86Wh/hから最大24.3Wh/hまで2.24倍の開きがあります。1,561機種全体では最小2.31Wh/hから最大76Wh/hで、実に33倍です。同じ「保温」という言葉でも、中身はまったく違います。

1日6時間保温する家庭で最小と最大を比べると、5.5合クラスでも年間で約910円の差になります(24.3と10.86の差13.44Wh/h×6時間×365日=29.4kWh、31円/kWhで912円)。本体価格の差ほどではありませんが、10年使えば無視できません。

もうひとつ確認しておきたいのが、カタログや店頭ラベルにある「年間目安電気代」の前提単価です。1,561機種すべてで年間電気代を年間消費電力量で割ったところ、中央値はちょうど27.00円/kWh、範囲も26.87円から27.12円と、四捨五入の幅しかありませんでした。統一省エネラベルの表示は27円で統一されています。

いま資源エネルギー庁が省エネ効果の換算に使っているのは31円/kWhです。店頭で見た年間電気代に1.15を掛けたものが現在の実額の目安になります。全機種の年間消費電力量の中央値84.9kWhなら、表示は約2,290円ですが31円では2,632円です。同じことは電気ポットと電気ケトルでも起きています。

保温だけで年いくらか|1日の保温時間別の早見表

最後に、保温にかかる年間額を1日の保温時間別にまとめます。ここに炊飯そのものの電気代(5.5合で年1,832円)は含みません。保温をやめれば減る、その部分だけの金額です。

表5 保温だけの年間電気代(1日の保温時間別・31円/kWh)

1日の保温時間3合(12.2Wh/h)5.5合(16.7Wh/h)1升(22.2Wh/h)
2時間276円378円502円
4時間552円756円1,005円
6時間828円1,134円1,507円
8時間1,104円1,512円2,010円
12時間1,657円2,268円3,014円
24時間3,313円4,535円6,029円

各容量区分の保温時消費電力量の中央値に、1日の保温時間と365日と31円/kWhを掛けた当サイトの算出。炊飯そのものの電気代(5.5合で161.9Wh×365日×31円=年1,832円)は含みません。データは資源エネルギー庁 省エネ型製品情報サイトの登録データ(2026年8月29日取得)。

図2 容量別の保温時消費電力量(Wh/h)の範囲と中央値帯が機種の幅、濃い縦線が中央値3合(0.54L)12.23.5合(0.63L)14.95.5合(1.0L)16.78合(1.44L)17.61升(1.8L)22.207142128
資源エネルギー庁 省エネ型製品情報サイトの登録データ(ジャー炊飯器1,561機種・2026年8月29日取得)を当サイトが集計。帯の左右は各区分の最小値と最大値、縦線は中央値です。容量が大きいほど保温の電力も大きくなりますが、区分どうしの重なりが大きく、容量だけでは決まりません。

保温を切る前に押さえておきたい4点

1

保温を切るなら、冷ますより先に小分けにする

炊きたてを一膳ずつ容器に移して粗熱をとってから冷凍するのが基本です。保温したまま長時間置くと、電気代とは別に風味も落ちます。メーカーも保温の推奨時間を機種ごとに定めているので、取扱説明書の数字を優先してください。

2

冷凍しても冷凍庫の電気代はほとんど増えない

冷凍庫は庫内が詰まっているほど温度が安定します。資源エネルギー庁も冷蔵庫については詰め込みすぎを戒めていますが、冷凍室は逆で、隙間が少ないほうが効率的です。ごはんを凍らせても月々の電気代が目に見えて上がることはありません。

3

「保温時Wh/h」はカタログに載らないことがある

メーカーの商品ページには年間消費電力量しか出ていない機種もあります。その場合は省エネ型製品情報サイトで型番を検索すると、炊飯時と保温時が分けて表示されます。買う前に必ずここを見てください。

4

年間目安電気代は27円前提

店頭ラベルの金額は1kWhあたり27円で計算されています。31円で見るなら1.15倍してください。この差は容量が大きい機種ほど金額として開きます。

よくある質問

炊飯器の保温は1時間いくらですか?

5.5合クラス788機種の中央値は16.7Wh/hなので、31円/kWhで0.52円です。3合クラスは12.2Wh/hで0.38円、1升クラスは22.2Wh/hで0.69円。ただし同じ5.5合でも機種によって10.86Wh/hから24.3Wh/hまで2.24倍の幅があります。お使いの機種の値は、資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトで型番を検索すると「保温時(Wh/h)」の欄で確認できます。

保温と電子レンジの温め直しはどちらが安いですか?

温め直す杯数で変わります。電子レンジ1回を上限36.2Whとすると、茶碗1杯は保温2.2時間ぶん、2杯なら4.3時間ぶん、4杯なら8.7時間ぶんです。資源エネルギー庁が示す「4時間までが目安」は2杯前後を温め直す場合にあたります。一人暮らしなら2時間、4人世帯なら8時間が同じ理屈での分岐点になります。

一晩保温するのと朝に炊き直すのはどちらが安いですか?

電気だけで見れば、5.5合クラスでは約9.8時間で並びます。夜に炊いて翌朝までが10時間から12時間だとすると、炊き直したほうがわずかに安い計算です。ただし炊き直しには米と水が別に必要で、金額差も1日あたり1円前後にとどまります。実務的には「一晩の保温は炊飯1回分に相当する」と覚えておき、それが許容できるかで判断するのが現実的です。

出典

すべて2026年8月29日に閲覧・取得して確認しました。集計対象は同サイトに登録されている19ブランド1,561機種のうち、最大炊飯容量・炊飯時消費電力量・保温時消費電力量がそろっているものです。金額は税込、電気の金額換算係数31円/kWhは令和4年7月・公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会の新電力料金目安単価によります。

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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