エアコンつけっぱなしは本当に安い?境界線は30分|ダイキン実験の実数値で検証【2026年】

エアコンの冷房運転を示す室内機。つけっぱなしが得になるのは不在30分までという記事のアイキャッチ

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ダイキン工業が京都市内のマンション2部屋で行った検証では、30分間隔で入り切りするより24時間つけっぱなしにした方が、すべての時間帯で消費電力量が小さくなりました。「30分程度の外出ならつけっぱなしが得」はメーカーの実測にもとづく話です。

ただし同じ実験で、2時間の外出をした夜間は「こまめに入り切り」の方が安くなりました。1日24時間で比べても、つけっぱなし12.7kWh・こまめに入り切り11.6kWhで、つけっぱなしの方が多く電力を使っています。「つけっぱなしは常に安い」は誤りです。

もっとも、24時間の差額は現行の目安単価31円/kWhで計算しても1日あたり約34円。境界線は「不在が30分以内かどうか」で、それを超えるなら切る、というのが実測から導ける結論です。

この記事の要点(30秒でわかる)

  • 境界線は「30分」。ダイキンの検証では30分間隔の入り切りより、つけっぱなしの方が全時間帯で消費電力量が小さかった。
  • 2時間の外出なら切った方が安い。夜間5時間の比較でつけっぱなし3.4kWh、こまめに入り切り2.4kWh。
  • 24時間で見るとつけっぱなしの方が多い(12.7kWh対11.6kWh)。ただし差は31円/kWh換算で1日約34円。
  • 実験は京都市・築15年マンション・14.1畳・暖房24℃の条件。断熱性能や外気温が違えば結果は動く。
  • 節電効果の大きさなら、暖房を21℃から20℃にする(年約1,650円)方がつけっぱなし論争より確実(資源エネルギー庁)。
目次

結論:境界線は「不在30分」。メーカー実測の中身

「エアコンはつけっぱなしの方が安い」という話の出どころは、ダイキン工業が行った2つの検証実験です。2016年夏に冷房で、2018年冬に暖房で、京都市内にあるほぼ同条件のマンション2部屋を使い、片方を「つけっぱなし」、もう片方を「こまめに入り切り」で運転して消費電力量を比べています。

2018年の暖房実験は、実験(1)30分間隔でON/OFFを繰り返した場合との比較と、実験(2)1日の生活スケジュールに合わせて外出時にOFFにした場合との比較の2本立てです。結論が分かれたのはこの2つで、ここを混同したまま「つけっぱなしが安い」だけが独り歩きしています。

比較の条件つけっぱなしこまめに入り切りどちらが安いか
30分間隔でON/OFF(実験1)――すべての時間帯でつけっぱなし
夜間18:00〜23:00(2時間の外出あり)3.4kWh/約105円2.4kWh/約74円こまめに入り切り
1日24時間(就寝8時間+外出を含む)12.7kWh/約394円11.6kWh/約360円こまめに入り切り(差は約34円)
ダイキン工業「30分の外出ならエアコン暖房はつけっぱなしがお得!」(2018年2月16日)の実測値をもとに作成。kWhは同社公表値、円は電力料金目安単価31円/kWh(税込)で当サイトが再計算。

円の金額は同社発表では27円/kWhで計算されていました。本記事では公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が定める現行の目安単価31円/kWh(税込・2022年7月22日改定)で計算し直しています。契約プランによって単価は上下するため、あくまで比較のための目安です。

図1 暖房の電気代比較(31円/kWh換算・ダイキン検証値)夜間5時間(18:00〜23:00・2時間の外出あり)つけっぱなし3.4kWh/約105円こまめに入り切り2.4kWh/約74円1日24時間(就寝・外出を含む生活スケジュール)つけっぱなし約394円こまめに入り切り約360円※京都市・築15年マンション14.1畳・4.0kW機・暖房24℃・風量自動での実測。条件が変われば結果も変わります。

実験(1)で30分間隔の入り切りが負けた理由を、ダイキンは「運転を開始した直後、室内温度と設定温度の差が大きいときにエアコンは電力を多く消費するため」と説明しています。立ち上げのたびに大きな電力を使うので、切る回数が多いほど不利になるという構造です。

一方で実験(2)では、13時間も停止している「こまめに入り切り」が24時間つけっぱなしに勝ちました。ただし勝ち幅はわずかです。半日以上止めても差が約34円にしかならないのは、つけっぱなしの部屋では天井・床・壁が蓄熱され、少ない電力で運転を維持できる状態になっているからだとされています。

24時間つけっぱなしにすると1か月でいくらか

「安いかどうか」以前に、実額を把握しておくと判断しやすくなります。上の検証値をそのまま1か月に伸ばすと次のようになります。あくまで14.1畳・4.0kW機・暖房24℃という、比較的負荷の大きい条件での数字です。

運転の仕方1日30日換算ひと冬(169日)換算
24時間つけっぱなし12.7kWh/約394円381kWh/約11,810円2,146kWh/約66,530円
生活スケジュールで入り切り11.6kWh/約360円348kWh/約10,790円1,960kWh/約60,770円
差約34円約1,020円約5,760円
ダイキンの1日実測値を単純に日数倍したもの。実際は外気温の変動で日々ぶれます。169日はエネルギー庁が「ひと冬」の試算に使う日数。

1日34円の差は小さく見えますが、ひと冬通せば約5,800円です。「快適さを買う金額」として納得できるかどうかが判断の分かれ目になります。逆にいえば、日中ほとんど在宅していて外出が短い家庭なら、つけっぱなしを選んでも家計へのダメージはこの程度に収まる、とも読めます。

つけっぱなしが「損」になる4つの条件

ダイキン自身も「やみくもにつけっぱなしにするのではなく、室温・設定温度・外気温の3つを意識して使い分けを」と結んでいます。次のどれかに当てはまる家庭では、つけっぱなしは分が悪くなります。

図2 つけっぱなしが不利になるチェックリスト

  • 2時間以上の不在が毎日ある/通勤・通学で日中まるごと空く家。実験(2)で負けた条件そのものです。
  • 断熱・気密が低い住まい/止めた瞬間に室温が落ちる家では蓄熱の恩恵が小さく、つけっぱなしの負荷だけが残ります。
  • 設定温度が高すぎる(暖房)・低すぎる(冷房)/外気温との差が大きいほど消費電力は増えます。暖房は20℃、冷房は28℃が国の目安です。
  • フィルターが目詰まりしている/目詰まりしたまま24時間回すと、無駄が丸ごと24時間ぶんに膨らみます。

とくに2つ目は見落とされがちです。ダイキンの検証はRC系(SRC造)マンションの14.1畳という、比較的熱の逃げにくい条件で行われています。木造で断熱等級が低い戸建てでは、停止中の室温低下も、再稼働時の負荷も大きくなるため、同じ結果になるとは限りません。

迷ったらこれだけ:外出時間で決める判断フロー

図3 部屋を離れるときの判断フロー部屋を離れる不在の時間は?30分以内(ゴミ出し・買い物・送迎)→ つけっぱなし。切ると再稼働の立ち上げでかえって食う。30分〜2時間(グレーゾーン)→ 断熱が良い家はつけっぱなし、寒い(暑い)家は切る。2時間以上・就寝・外泊→ 切る。実験でも「こまめに入り切り」が勝った領域。※ダイキン工業の検証結果(2016年冷房・2018年暖房)にもとづく整理。住宅の断熱性能により境界は前後します。

夏の冷房も考え方は同じです。ダイキンが2016年夏に行った冷房の実験でも「日中30分程度の外出であれば、つけっぱなしの方が電気代は安くなる」という結果が出ています。なお冷房より暖房の方が消費電力量は大きくなります。夏は外気35℃と設定27℃で差が8℃なのに対し、冬は外気7℃と設定20℃で差が13℃になるためです。

つけっぱなし論争より確実に効く節電(公式データ順)

入り切りの最適化で動くのは1日数十円です。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトが公表している「省エネ行動と省エネ効果」を年間節約額の大きい順に並べると、優先すべきものがはっきりします。いずれも2.2kW(6畳用)エアコンを1日9時間使う前提の試算です。

省エネ行動条件年間の削減電力量年間の節約額
暖房の設定温度を21℃→20℃外気温6℃・9時間/日53.08kWh約1,650円
暖房を1日1時間短縮設定20℃40.73kWh約1,260円
フィルターを月1〜2回清掃目詰まり時との比較31.95kWh約990円
冷房の設定温度を27℃→28℃外気温31℃・9時間/日30.24kWh約940円
冷房を1日1時間短縮設定28℃18.78kWh約580円
資源エネルギー庁「省エネポータルサイト 無理のない省エネ節約/空調」より。節約額は同庁が31円/kWhで算出した公表値。
図4 省エネ行動別の年間節約額(資源エネルギー庁の試算)暖房 21℃→20℃1,650円暖房 1日1時間短縮1,260円フィルター清掃(月1〜2回)990円冷房 27℃→28℃940円冷房 1日1時間短縮580円※2.2kW(6畳用)エアコンを1日9時間使用した場合。31円/kWhで算出された同庁の公表値。

暖房の1℃と冷房の1℃で節約額が倍近く違うのは、冬の方が外気温との差が大きく、エアコンの負荷が高いからです。冬の節電は「設定温度」から手を付けるのが最短、と数字が示しています。

運転の工夫で足りないなら、電気の「買い方」を変える

ここまでの施策を全部積み上げても、年間で動くのは数千円の単位です。エアコンの使用量そのものが大きい家庭や、在宅時間が長くつけっぱなしが避けられない家庭では、運転の工夫だけでは頭打ちになります。その次の一手が、太陽光で自家消費する、蓄電池を入れて安い夜間電力に寄せる、といった電気の調達側の見直しです。

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国も適正価格の目安を示していますが、実際の提示額は事業者ごとに開きがあります。まず複数社の金額を並べてから判断してください。

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よくある質問

Q. 24時間つけっぱなしにすると電気代はいくらになりますか?

A. ダイキンの暖房検証(14.1畳・4.0kW機・設定24℃)では1日12.7kWhでした。目安単価31円/kWhなら約394円、30日で約11,810円です。6畳用の2.2kW機や設定温度20℃ならこれより小さくなります。部屋の広さ・機種・設定温度・外気温で大きく変わるため、自宅の値はスマートメーターの使用量データで確認するのが確実です。

Q. 夏の冷房もつけっぱなしの方が安いのですか?

A. ダイキンが2016年夏に行った冷房の実験では、日中30分程度の外出であればつけっぱなしの方が安いという結果でした。境界線は冬とほぼ同じ「30分」です。ただし冷房は暖房より外気温との差が小さいぶん消費電力量も小さく、金額の差は冬ほど大きくなりません。

Q. 「つけっぱなしで電気代が下がった」という体験談は嘘ですか?

A. 嘘とは限りません。入り切りの回数が非常に多かった家庭がつけっぱなしに切り替えれば、実験(1)と同じ理屈で下がります。一方、まとまった時間の不在があるのにつけっぱなしにすれば上がります。どちらの体験談も条件次第で成立するため、自宅の不在パターンに当てはめて判断してください。

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出典・参考

  • ダイキン工業「<参考資料>京都市内・築15年・マンション2部屋での検証結果 30分の外出ならエアコン暖房は「つけっぱなし」がお得!」(2018年2月16日)
  • 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「家庭向け省エネ関連情報/無理のない省エネ節約 空調」
  • 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問Q&A」電力料金目安単価31円/kWh(税込・令和4年7月22日改定)

本記事の金額はいずれも目安単価による試算です。契約中の料金プラン・燃料費調整額・再エネ賦課金によって実際の請求額は変わります(2026年8月12日時点の情報)。

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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