電気代は運用・設備・建物のどこで下がるか【2026年】運用は国の公表値でも年15,360円が上限

電気代が下がるのは運用・設備・建物の三つの層という記事のアイキャッチ

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電気代を下げる手は、使い方を変える「運用」、機器を替える「設備」、家そのものを直す「建物」の3層に分かれます。
国が公表している削減額を全部足しても、運用でできるのは年15,360円までで、そこで打ち止めになります。
設備と建物はそこから先を担当しますが、年間の削減額と受け取れる補助金の大小が逆転するため、順番を間違えると損をします。

情報基準日:2026年9月14日(資源エネルギー庁 省エネポータルサイトの金額換算係数=電気31円/kWh・ガス162円/立方メートルを当日確認)

この記事の要点

  • 資源エネルギー庁が公表する省エネ行動12項目を全部実行したときの合計は年15,360円(電気449.37kWhとガス8.80立方メートル、電気31円/kWh換算)。
  • 照明を蛍光灯器具からLED照明器具に替えると1台あたり年2,108円。6台で年12,648円と、運用12項目の8割に届く。
  • 給湯器を潜熱回収型に替えると熱効率が約80%から約95%へ上がり、同じ湯量なら燃料が15.8%減る。
  • 窓は年間の削減額がいちばん小さい。腰高窓1か所の暖房費は熱貫流率6.0で年1,584円、1.5に下げても年396円しか減らない。
  • それでも補助金は建物と設備がほぼ同じ桁で出る。給湯省エネ2026事業は最大10万円/台、先進的窓リノベ2026事業は内窓中サイズ34,000円/か所。
  • だから順番は「運用で上限まで取り切る→設備を補助金のあるうちに替える→建物は補助金と快適性で判断する」になる。
目次

電気代の話が噛み合わない理由は「層」が混ざっているから

電気代を下げる方法を調べると、設定温度を1℃変える話と、エコキュートに替える話と、断熱リフォームの話が同じページに並んでいることがよくあります。この3つは費用も効果も桁が違うのに、同じ「節約術」として並んでいるので比べようがありません。

そこでこの記事では、電気代を下げる手を次の3層に分け、国が公表している数値だけを使って、同じ物差し(年間の削減額)で並べ直しました。金額換算はすべて資源エネルギー庁 省エネポータルサイトと同じ1kWhあたり31円、ガスは1立方メートルあたり162円です。

運用 設定温度・使用時間・置き方を変える。費用0円。

設備 照明・給湯器・エアコンなど機器そのものを替える。数万円〜数十万円。

建物 窓や断熱材など家の外皮を直す。数十万円〜。

なお、電力会社やプランの切り替えはこの3層のさらに手前にある「第0層」です。使う量が1kWhも変わらないまま単価だけが動くため、性質が違います。プラン選びについては別の記事にまとめています。

運用層|国の公表値を全部足すと年15,360円で打ち止め

資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、家庭でできる省エネ行動ごとに年間の削減量と金額を公表しています。エアコン・冷蔵庫・給湯・電気ポットの12項目を、公表値のまま金額順に並べたのが図1です。

省エネ行動(国の公表値)年間の削減量年間の節約額
電気ポットの保温をやめて都度沸かす107.45kWh3,330円
冷蔵庫の設定を「強」から「中」へ(周囲温度22℃)61.72kWh1,910円
エアコン暖房を21℃から20℃へ(外気6℃・9時間/日)53.08kWh1,650円
食器の手洗いで給湯を40℃から38℃へガス8.80立方メートル1,430円
冷蔵庫を壁から離して置く(3面接→1面接)45.08kWh1,400円
冷蔵庫に詰め込む量を半分に43.84kWh1,360円
エアコン暖房を1日1時間短縮(20℃)40.73kWh1,260円
エアコンのフィルターを月1〜2回清掃31.95kWh990円
エアコン冷房を27℃から28℃へ(外気31℃・9時間/日)30.24kWh940円
エアコン冷房を1日1時間短縮(28℃)18.78kWh580円
冷蔵庫の開閉回数を半分に10.40kWh320円
冷蔵庫を開けている時間を20秒から10秒へ6.10kWh190円
12項目の合計電気449.37kWh+ガス8.80立方メートル15,360円
図1 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」の公表値(2026年9月4日確認)。金額換算は電気31円/kWh・ガス162円/立方メートル、暖房期間169日・冷房期間112日は同サイトの算出根拠による。
運用でできること 金額の大きい6項目(年間) 電気ポットの保温をやめる 3,330円 冷蔵庫を強から中へ 1,910円 暖房を21℃から20℃へ 1,650円 食器洗いの給湯を2℃下げる 1,430円 冷蔵庫を壁から離す 1,400円 冷蔵庫の詰め込みを半分に 1,360円 出典:資源エネルギー庁 省エネポータルサイト(電気31円/kWh・ガス162円/立方メートルで換算)
図2 運用層の上位6項目。1位の電気ポットは、保温をやめて必要なときに再沸騰させる使い方に変えた場合の値。

ここで大事なのは、この15,360円が上限だということです。12項目を全部やり切ってしまえば、翌年に積み増せる運用はもうありません。しかも上位の項目ほど「やめる」「下げる」という我慢を伴います。運用層は最初に取り切る価値がありますが、続きは別の層に頼るしかない、というのが国の公表値から出る結論です。

もうひとつ注意したいのが、この12項目には前提条件が付いていることです。冷蔵庫の「強から中」は周囲温度22℃での測定値ですし、エアコンの数値は2.2kW機で1日9時間の使用が前提です。前提を書かずに金額だけを引用している記事は、条件が合わない家では当たりません。

設備層|照明と給湯は、運用の合計に1台で迫る

同じ省エネポータルサイトには、機器を替えたときの削減額も載っています。こちらは1台あたりの数字なので、台数を掛けると運用層をあっさり超えます。

  • 54Wの白熱電球を7.5Wの電球形LEDランプに交換(年2,000時間使用) 年93.00kWh・約2,883円/灯
  • 68Wの蛍光灯器具を34WのLED照明器具に交換(年2,000時間使用) 年68.00kWh・約2,108円/台
  • 葉菜の下ごしらえをガスコンロから電子レンジへ 年約940円

居間・台所・廊下・洗面所・寝室2部屋の6台を蛍光灯器具からLED照明器具に替えると、それだけで年12,648円です。運用12項目の合計15,360円の82%に、器具を替えるだけで届きます。しかも我慢はいっさい要りません。

給湯はさらに大きい層です。省エネポータルサイトは潜熱回収型給湯器(エコジョーズ・エコフィール)について「給湯器の熱効率を従来型給湯器の約80%から約95%までアップ」と説明しています。同じ湯量を沸かすのに必要な燃料は80÷95で0.842倍、つまり15.8%減るという計算になります。給湯は家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める用途なので、率が小さく見えても金額は大きくなります。

設備層の強みは、国の補助金が付くことです。給湯省エネ2026事業の補助額は図3のとおりで、エコキュートなら基本額と性能加算を合わせて1台10万円になります。

設置する給湯器基本額性能加算1台あたり最大
ヒートポンプ給湯機(エコキュート)7万円3万円10万円
ハイブリッド給湯機10万円2万円12万円
家庭用燃料電池(エネファーム)17万円なし17万円
電気蓄熱暖房機の撤去(加算)4万円/台2台まで8万円
電気温水器の撤去(加算)2万円/台補助を受ける台数まで—
図3 給湯省エネ2026事業の補助額(公式サイトで2026年9月4日確認)。戸建住宅はいずれか2台まで。エコキュートの撤去は加算の対象外。交付申請は遅くとも2026年12月31日、予約は遅くとも11月16日まで。

注意したいのは期限です。撤去加算は予算36億円に達し次第終了する予定と公式に書かれており、交付申請の予約の締切(遅くとも2026年11月16日)は交付申請の締切より1か月半早く設定されています。設備層は「いつでもできる」層ではありません。

建物層|窓は「効果額」ではなく熱損失の実額で測る

断熱の記事にはよく「年◯万円下がる」という数字が出てきますが、その多くは根拠が示されていません。ここでは公表値だけで計算します。使うのは省エネポータルサイトの暖房の算出条件(外気温6℃・室温20℃・1日9時間・暖房期間169日)です。1日9時間×169日で年1,521時間、室内外の温度差は14Kになります。

窓から逃げる熱は「熱貫流率×面積×温度差×時間」で出ます。ただしここで出るのは逃げた熱の量であって、電気代ではありません。エアコン暖房はヒートポンプなので、熱1kWhを運ぶのに必要な電気はその4分の1程度です。実効COPを4.0として割り戻し、31円/kWhを掛けると次の表になります。

窓の熱貫流率(Uw)逃げる熱暖房に使う電気年間の電気代
6.0(アルミサッシ+単板ガラスの目安)204.4kWh51.1kWh1,584円
4.5153.3kWh38.3kWh1,188円
3.0102.2kWh25.6kWh792円
1.5(先進的窓リノベ2026のS区分の上限)51.1kWh12.8kWh396円
図4 腰高窓1か所(1.6平方メートル)から逃げる熱と暖房費(当サイト試算)。条件は外気6℃・室温20℃・1日9時間・169日(省エネポータルサイトの算出根拠)、実効COP4.0、31円/kWh。改修前のUw値は仮に置いた値で、実際の値は製品と工法で変わります。

つまり、アルミサッシ+単板ガラスの腰高窓を内窓でS区分(Uw1.5以下)にしても、暖房費の削減は1か所あたり年1,188円です。2か所で2,376円。運用層の1位である電気ポットの3,330円にも届きません。

ところが補助金の額は逆です。先進的窓リノベ2026事業の内窓設置は、戸建住宅でS区分・中サイズ(1.6平方メートル以上2.8平方メートル未満)なら1か所34,000円、P区分(Uw1.1以下)なら58,000円が出ます。しかも同事業は1申請あたりの合計補助額が5万円以上の工事が対象なので、S区分の中サイズは1か所34,000円では申請できず、2か所そろえて68,000円にする必要があります。

2か所で年2,376円の削減に対し、補助が68,000円。補助額だけを年間削減額で割ると28.6年分になります。窓の工事は暖房費だけでは回収できません。窓で回収するのは補助金と、結露や窓際の寒さといった数字にならない部分だと考えるほうが正確です。この記事はそこを隠さずに書きます。

3層を同じ表に並べると、順番が決まる

層代表的な手年間の削減額初期費用使える補助
運用国が公表する12項目すべて15,360円0円なし
設備照明器具6台をLEDへ12,648円器具代のみなし
設備給湯器を高効率型へ給湯分の15.8%数十万円最大10万円/台
建物内窓2か所(Uw6.0から1.5へ)2,376円見積もり次第68,000円
図5 3層を同じ物差しで並べた比較(当サイト作成)。給湯器の工事費と内窓の工事費は製品と現場で大きく変わるため、金額は書かず見積もりで確認する前提としています。

この表から2つのことが読み取れます。ひとつは年間の削減額は運用がいちばん大きく、建物がいちばん小さいこと。もうひとつは補助金は建物と設備にしか出ず、その額は年間削減額と桁が合っていないことです。窓の68,000円は年2,376円の28.6年分、エコキュートの10万円も光熱費の何年分にもなります。

手をつける順番と、その理由

順番のチェックリスト

  1. 運用を上限まで取り切る。費用0円で年15,360円まで。ここを飛ばして設備の話をすると、設備の効果が正しく測れなくなる。
  2. 照明を替える。補助金はないが器具代だけで年12,648円(6台)。我慢が要らないので運用と違って戻りにくい。
  3. 給湯器の更新時期を確認する。設計上の標準使用期間を過ぎている、または部品保有期間が切れているなら、壊れる前に補助金のある年度内に動く。
  4. 窓は「寒い部屋があるか」で判断する。暖房費だけでは回収しない。補助金と、結露や窓際の体感が主な見返りになる。
  5. 契約プランは最後にもう一度見直す。設備を替えると使う時間帯が変わり、最適なプランも変わることがある。

電気代のメディアの多くは、この順番の1番と5番だけを扱います。理由は単純で、2番から4番は工事が必要で、記事の書き手が売っているものではないからです。ただ、運用の上限が年15,360円だと分かっている以上、そこから先に進みたい人は設備と建物を見るしかありません。

注意

この記事の金額は、国の公表値と公表条件をそのまま使った計算値です。実際の削減額は住宅の性能・地域・機器・使い方で変わります。とくに図4の改修前の熱貫流率は仮に置いた値なので、自宅の窓の値はサッシの種類とガラスの構成で確認してください。工事費は製品と現場で大きく変わるため、必ず2社以上の見積もりで比べてください。

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出典:各社公式サイト(2026年10月21日確認)

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よくある質問

よく聞かれること先に結論
どこから下げるのが速いか費用0円の運用層からです。国が公表する12項目をすべて実行しても年15,360円が上限で、そこまでは初期費用なしで取り切れます。
運用を取り切ったあとは照明の交換が次点で、補助金はありませんが器具代だけで6台あたり年12,648円。給湯器は標準使用期間を過ぎているなら、壊れる前に補助金のある年度内に動きます。
窓はどう判断するか暖房費だけでは回収しません。「寒い部屋があるか」で決め、補助金と結露・窓際の体感の改善を見返りとして評価します。

資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」の省エネ効果と金額換算係数(電気31円/kWh)から算出。2026年9月4日確認。

運用12項目の合計15,360円は、どの家でも当てはまりますか。

当てはまりません。12項目それぞれに測定条件が付いており、たとえば冷蔵庫の「強から中」は周囲温度22℃、エアコンは2.2kW機で1日9時間の使用が前提です。電気ポットを使っていない家なら1位の3,330円はそのまま消えます。この合計は「国の条件どおりに全部やった場合の上限」と考えてください。

断熱リフォームは電気代で元が取れますか。

暖房費だけで見ると、腰高窓を内窓でUw1.5以下にしたときの削減は1か所あたり年1,188円で、工事費を回収するのは現実的ではありません。窓の工事を判断する材料は、補助金(先進的窓リノベ2026事業の内窓は戸建S区分の中サイズで34,000円/か所)と、結露や窓際の寒さの改善です。冷房期の効果も加わりますが、それを足しても回収年数は大きく変わりません。

結局いちばん効くのはどれですか。

1年で見れば運用、10年で見れば設備、家の寿命で見れば建物です。運用は0円ですぐ効きますが上限があります。設備は補助金の期限があるので、給湯器の寿命が近い家は年度内の判断が有利です。建物は削減額こそ小さいものの、一度直せば効果が消えず、住み心地が変わります。順番はこの記事のチェックリストのとおりです。

運用12項目の年15,360円は、どの資料の数字ですか。

資源エネルギー庁の省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」に載る各行動の省エネ効果を、同サイトの金額換算係数(電気31円/kWh、ガス162円/立方メートル)で円に直し、12項目を合計した値です。暖房期間169日・冷房期間112日という前提も同サイトの条件をそのまま使っています。

補助金はどの層で使えますか。

設備層と建物層です。給湯器は給湯省エネ2026事業、窓は先進的窓リノベ2026事業が対象になります。運用層には補助金がありません。裏を返すと、補助金を当てにできない運用層は費用0円で始められるぶん、着手の判断が要らない層だということです。

照明と給湯を先に替えて、運用は後回しでもいいですか。

順番を入れ替えると、設備の効果が測れなくなります。運用で下がった分と設備で下がった分が同じ請求書に混ざるためです。運用は費用0円で数週間あれば取り切れるので、先に上限まで動かしてから設備を検討するほうが、判断材料がそろいます。

出典・参考

  • 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」空調・キッチン・照明の各ページおよび省エネ効果の算出根拠(2026年9月4日確認)
  • 同サイト 金額換算係数(電気31円/kWh・ガス162円/立方メートル)、暖房期間169日・冷房期間112日、CO2排出係数0.488kg/kWh
  • 給湯省エネ2026事業 公式サイト「事業概要」補助額と上限(2026年9月4日確認)
  • 先進的窓リノベ2026事業 公式サイト「事業概要」「対象工事の詳細(内窓設置)」性能区分・サイズ区分・補助額(2026年9月4日確認)

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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