冷蔵庫の設定温度は「中」でいい【2026年】強→中で年1,910円・国の公表値で検証

扉を開けた家庭用冷蔵庫と庫内上部の温度調節パネル。冷蔵庫の設定温度をテーマにしたアイキャッチ画像

冷蔵庫の温度設定を「強」から「中」に戻すと、年間で電気61.72kWh、約1,910円の節約になります(資源エネルギー庁 省エネポータルサイト)。

ただしこの数字は「周囲温度22℃」で測った値です。真夏の台所でそのまま起きる節約額ではありません。

メーカーの公式見解は「基本は中のまま、周囲が涼しい時期だけ弱」。夏に弱へ落とすのは冷え不足の原因になります。

この記事でわかること

  • 設定温度の変更で下がる金額は年約1,910円(国の公表値・31円/kWhで換算)
  • その測定条件は周囲温度22℃。夏の台所には条件がそろわない
  • 効果の大きい順は「置き方 → 設定温度 → 詰め込み方」で、我慢系は最下位
  • 下げすぎの境界線は冷蔵室10℃以下・冷凍室マイナス15℃以下
  • 5つの省エネ行動を全部やった場合の合計は年約5,180円
目次

「強」から「中」で年1,910円。国が公表している唯一の設定温度データ

冷蔵庫の設定温度と電気代の関係について、公的機関が具体的な数値を出しているのは資源エネルギー庁の「省エネポータルサイト」だけです。ここには冷蔵庫に関する5つの省エネ行動と、それぞれの年間削減量が載っています。

設定温度については、「設定温度を『強』から『中』にした場合(周囲温度22℃)、年間で電気61.72kWhの省エネ、約1,910円の節約」と明記されています。円換算に使われている単価は31円/kWhで、これは全国家庭電気製品公正取引協議会の新電力料金目安単価(税込)です。61.72kWh×31円=1,913円なので、公表額と計算が一致します。

同じページに載っている5つの行動を、削減額の大きい順に並べ替えたのが次の表です。

省エネ行動年間削減量年間削減額
(31円/kWh)
手間
設定温度を「強」から「中」へ61.72kWh約1,910円一度だけ
壁から適切な間隔をあけて設置45.08kWh約1,400円一度だけ
ものを詰め込みすぎない43.84kWh約1,360円毎日
無駄な開閉をしない10.40kWh約320円毎日
開けている時間を短く6.10kWh約190円毎日
5つすべての合計167.14kWh約5,180円
出典:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト/無理のない省エネ節約(キッチン)」の公表値をもとに削減額の大きい順に並べ替え。単価31円/kWhは同サイトの金額換算係数。

冷蔵庫の省エネ行動別・年間削減額(円/年)

設定温度 強→中 1,910円 壁から間隔をあける 1,400円 詰め込みすぎない 1,360円 無駄な開閉をしない 320円 開けている時間を短く 190円 0円 1,000円 2,000円

濃い色=一度やれば効果が続く行動、薄い色=毎日の心がけが必要な行動。出典:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」。

設定温度の変更が単独で最大です。しかも一度ダイヤルを回すだけで、あとは何もしなくても効き続けます。次に大きい「壁から間隔をあける」も同じく一度きりの作業です。一方で「開閉を我慢する」系は、毎日気をつけて合わせて年510円ほど。労力に対する見返りは小さいと言わざるをえません。

その1,910円は「周囲温度22℃」で測った値

ここが多くの記事で省かれている条件です。省エネポータルサイトの原文には「設定温度を『強』から『中』にした場合(周囲温度22℃)」と、はっきり測定条件が書かれています。22℃は春や秋の室温であって、真夏の台所ではありません。

冷蔵庫は庫外との温度差が大きいほど、庫内を保つために多くの電力を使います。周囲温度が30℃を超える夏場は、そもそも消費電力の絶対量が22℃のときより増えます。「強から中に変えれば夏でも毎月160円下がる」といった読み替えは、条件を無視した使い方です。

この数字の正しい読み方

1,910円は「年間を通して『強』に入れっぱなしにしていた人が『中』に戻したときの、周囲温度22℃条件での年間差額」です。もともと工場出荷時の「中」で使っている人が、これ以上ダイヤル操作で減らせる額ではありません。まずは自宅の設定が「強」になっていないかを確かめるのが出発点です。

あわせて、省エネポータルサイトの数値はいずれも一般財団法人省エネルギーセンターの実測値をもとにしたもので、原典は「省エネ性能カタログ2015年夏版」と「家庭の省エネ大事典2012年版」です。機種・住宅・地域によって差が出る前提の目安値であることも、同サイトに明記されています。

メーカーの答えは「基本は中、寒い時期だけ弱」

では常に「弱」にしておけばいいのか。ここはメーカーの公式サポート情報がはっきり答えています。日立の冷蔵庫サポートページには、次の趣旨が書かれています。

工場出荷時は冷蔵室・冷凍室ともに「標準(中)」に設定されており、これが食材を冷やすのに一番適した温度である。基本的には「標準(中)」のまま使い、周辺の温度が低いときに「弱め(弱)」にすると節電効果が得られる。周囲の温度が高い時期に「弱」にしてドア開閉を短時間で繰り返すと、庫内の温度が下がりきらず食品の保存に影響が出る可能性がある——という内容です。

つまり、節電のために設定をいじるタイミングは「夏」ではなく「冬」です。省エネポータルの1,910円が周囲温度22℃で測られているのも、この考え方と矛盾しません。季節ごとの目安をまとめると次のようになります。

季節別・設定温度の考え方

夏(周囲25℃以上)
「中」を基本にする。冷えが弱いと感じたときだけ「強」へ。ここで「弱」にすると庫内温度が上がりやすい。

春・秋(周囲20℃前後)
「中」のまま。省エネポータルの測定条件(22℃)に近いのはこの時期。

冬(周囲15℃以下)
「弱」に落とす好機。庫内の食品がぬるいと感じたら「中」に戻す。省エネモード機能があれば併用できる。

なお日立は、節電モードについても「夏場など外気温が高いときは節電モードを解除してください」と注意書きを添えています。冷やす力を弱める仕組みである以上、夏に無理をさせない設計思想は共通しています。

下げすぎの境界線は冷蔵室10℃以下・冷凍室マイナス15℃以下

節電のために設定を弱めるとき、どこまでなら許されるのか。家庭用冷蔵庫に法的な温度規制はありませんが、食品衛生の実務基準が目安として使えます。

厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、要冷蔵の食肉類などは10℃以下、冷凍で保存するものはマイナス15℃以下で管理することとされています。これは集団給食施設向けの基準ですが、家庭でも「これを超えたら安全側とは言えない」という線引きに使えます。

一方、各メーカーが公表している冷蔵室の設定温度の目安はおおむね2〜6℃です。つまり「中」で運転できていれば10℃までにはかなりの余裕があり、冬に「弱」へ落として2〜3℃上がっても基準内に収まる計算になります。逆に言えば、余裕を食いつぶすのは設定温度そのものより、詰め込みすぎ・熱いものの投入・ドアの開けっ放しといった運用側の要因です。

区画メーカー公表の目安温度衛生上の管理基準余裕
冷蔵室約2〜6℃10℃以下約4〜8℃
チルド室約0〜2℃10℃以下大きい
野菜室約3〜8℃—(乾燥・低温障害に注意)
冷凍室約マイナス18℃マイナス15℃以下約3℃
メーカー公表の目安温度は各社サポート情報の公開値の範囲。衛生上の管理基準は厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」の保存温度。冷凍室のマイナス18℃はJIS C 9801の試験条件でも用いられる温度。

冷凍室は余裕が約3℃しかない点に注意してください。アイスがやわらかい、冷凍食品に霜がつく、といった変化は温度が上がったサインです。気づいたら設定を戻します。

効果順にやるなら「置き方 → 設定温度 → 詰め込み方」

先ほどの表を、実行のしやすさも含めて順番に組み直すと、次の流れになります。上の2つを片づければ、この記事で扱う削減額のうち約3,310円分を、あとは何もせずに確保できます。

やる順番と、そこで確保できる年間削減額

STEP 1 放熱スペースを確保する(今日1回だけ) 上と両側が壁に接していないか確認。片側だけ壁に接する状態にすると年約1,400円。 STEP 2 設定が「強」になっていないか見る(今日1回だけ) 「強」なら「中」へ。周囲温度22℃条件で年約1,910円。ここまでの合計 約3,310円。 STEP 3 庫内を半分の量に近づける(買い方を変える) 冷蔵室はすき間をあけて冷気の通り道をつくる。年約1,360円。冷凍室は逆に詰めた方が有利。 STEP 4 開閉の回数と時間を減らす(毎日の心がけ) 合わせて年約510円。効果は小さいので、上の3つを終えてから取り組めば十分。

STEP 3で注意したいのは、冷蔵室と冷凍室で正解が逆になることです。冷蔵室は冷気を循環させて冷やすためすき間が要りますが、冷凍室は凍った食品自体が蓄冷材の役割を果たすため、多めに詰めた方が冷気を保ちやすくなります。日立もこの違いをサポート情報で案内しています。

また、背面や側面のダクトにホコリがたまると放熱が悪くなり消費電力が増えます。STEP 1と同じタイミングで一度掃除しておくと無駄がありません。

自分の家でいくら下がるかを確かめる

ここまでの金額はすべて国が公表する目安値です。自宅の冷蔵庫で実際にいくら変わるかは、次の2つの方法で確かめられます。

方法1:年間消費電力量から逆算する。冷蔵庫の扉の内側や背面に貼られた仕様ラベル、または取扱説明書に「年間消費電力量(kWh/年)」が記載されています。この値に自分の契約単価を掛ければ、その冷蔵庫の年間電気代の目安が出ます。たとえば年間消費電力量300kWhの機種なら、31円/kWhで年9,300円。この9,300円に対して設定温度の1,910円がどれだけの割合かを見れば、手をつける価値があるかどうか判断できます。契約単価は検針票の請求額を使用量(kWh)で割れば求められます。

方法2:電力計で実測する。コンセントとの間に挟むタイプの電力計を使い、設定を変える前後で1週間ずつ測ります。冷蔵庫は庫内温度が安定するまで時間がかかるため、設定変更の直後ではなく、丸1日以上おいてから計測を始めます。周囲温度が同じ条件でないと比較になりませんから、季節をまたがない短い期間で行うのが前提です。

どちらの方法でも、年間消費電力量が大きい古い機種ほど、設定温度を見直したときの絶対額が大きくなります。2010年前後の機種と最新機種では年間消費電力量に2倍以上の開きがある場合もあり、そこまで差が開いていれば設定の調整より買い替えの検討が現実的です。この判断については、冷蔵庫の買い替え目安をまとめた記事で扱っています。

よくある質問

Q. 夏は「強」にした方がいいですか?

A. 基本は「中」のままで構いません。工場出荷時の「中」が食材を冷やすのに適した設定だとメーカーが公表しており、夏でもまずは「中」で様子を見ます。庫内の食品がぬるい、アイスがやわらかいなど冷え不足のサインが出たときだけ「強」へ上げます。最初から「強」で通年運転すると、周囲温度22℃条件で年約1,910円の差が積み上がります。

Q. 設定を「弱」にすると食品は傷みませんか?

A. 周囲が涼しい時期であれば大きな問題は起きにくいと考えられます。メーカー公表の冷蔵室の目安温度は約2〜6℃で、厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」の10℃以下という基準までは余裕があるためです。ただし周囲温度が高い時期に「弱」でドア開閉を繰り返すと庫内が下がりきらない可能性があるとメーカーが注意喚起しています。冷凍室はマイナス18℃前後からマイナス15℃までの余裕が約3℃しかないため、より慎重に判断してください。

Q. 節電のために冷蔵庫のコンセントを抜くのは有効ですか?

A. すすめられません。冷蔵庫は24時間運転を前提に設計された機器で、電源を切れば庫内温度がすぐに上昇して食品衛生上の管理基準を外れます。再稼働時には庫内を冷やし直すために大きな電力を使うため、節電効果も見込めません。長期不在で庫内を空にする場合を除き、電源は入れたままにします。

出典

  • 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト/無理のない省エネ節約 キッチン」(冷蔵庫の省エネ行動と省エネ効果。設定温度61.72kWh・約1,910円ほか)
  • 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト/無理のない省エネ節約 省エネ効果の算出根拠」(電気の金額換算係数31円/kWh。令和4年7月 全国家庭電気製品公正取引協議会 新電力料金目安単価・税込)
  • 日立グローバルライフソリューションズ「冷蔵庫の消費電力をおさえて省エネになる使いかたを知りたいです。」(標準(中)を基本とし、周辺温度が低いときに弱め(弱)にする旨)
  • 厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(要冷蔵10℃以下、冷凍マイナス15℃以下の保存温度)

※本文中の削減額は、資源エネルギー庁が公表する削減電力量に同庁の金額換算係数31円/kWhを掛けたものです。契約中の電力料金単価・機種・住宅・地域によって実際の金額は変わります。(数値確認日:2026年8月20日)

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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