お風呂の追い焚きと保温はどっちが安い?【2026年】追い焚き1回17.0円・保温1時間9.5円で、2時間空くなら切るほうが安い

湯気の立つ日本の浴槽と給湯リモコン

資源エネルギー庁の公表値から計算すると、200Lの浴槽を追い焚きするガス代は1回あたり約17.0円、湯温を保ち続ける自動保温は1時間あたり約9.5円です。どちらも同じ「逃げた熱を足す」作業なので、桁違いの差は出ません。

ただし保温は湯温を高いまま維持するぶん熱が逃げやすく、同じ2時間でも保温は約19.0円、いったん切って追い焚きすると約17.0円で、保温のほうが約12%割高になります。間隔が4時間なら差は約7.5円、6時間なら約15.7円まで開きます。

一方で「ぬるくなったから入れ直す」は約191円で、追い焚きの11.3倍です。この記事では国の公表値を割り戻して給湯器の熱効率80.0%を復元し、追い焚き・保温・足し湯・入れ直しを同じ物差しで並べます。

この記事の要点

  • 国の公表値は「2時間の放置で4.5℃下がった200Lの湯を1日1回追い焚きすると年間ガス38.20立方メートル・約6,190円」。1回に直すと0.1047立方メートル・約17.0円
  • この公表値を熱量に割り戻すと給湯器の熱効率は80.0%。従来型ガス給湯器の熱効率として公表されている80%とぴたりと一致する
  • 自動保温は湯温を保つため熱の逃げ方が最大のまま。1時間あたり約9.5円で、2時間なら約19.0円と追い焚きより約12%高い
  • 間隔が短いほど差は小さい。1時間なら差は約0.5円で誤差の範囲、2時間で約2.0円、4時間で約7.5円、6時間で約15.7円
  • 入れ直しは約191円で追い焚きの11.3倍。捨てる水の水道代52円だけで、追い焚き13.8℃ぶんが買える
  • エコジョーズ(熱効率95%)なら同じ作業のガス代は約16%安い。追い焚き1回14.3円、保温1時間8.0円
目次

出発点は国の公表値|2時間で4.5℃下がる湯を1日1回追い焚きすると年6,190円

資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、風呂給湯器の省エネ行動として「入浴は間隔をあけずに」を挙げ、条件と効果をセットで公表しています。条件は「2時間の放置により4.5℃低下した湯(200L)を追い焚きする場合(1回/日)」、効果は「年間でガス38.20立方メートルの省エネ、原油換算44.31L、二酸化炭素削減量85.7kg、約6,190円の節約」です。

この数字は同サイトの金額換算係数で検算できます。ガスは162円/立方メートル、原油換算は1.16L/立方メートル、二酸化炭素排出係数は2.244kg/立方メートルです。

図1|公表値の検算(資源エネルギー庁 省エネポータルサイト)

項目 計算 計算結果 公表値
節約額38.20×162円6,188円約6,190円
原油換算38.20×1.16L44.31L44.31L
二酸化炭素削減量38.20×2.244kg85.72kg85.7kg
追い焚き1回あたり38.20÷365日0.1047立方メートル(記載なし)
追い焚き1回のガス代0.1047×162円16.95円(記載なし)

3項目とも公表値と一致するため、以降の計算はこの係数をそのまま使います。

ここまでは公表値の言い換えです。ここから先が、公表されていない部分を割り戻して復元する作業になります。

公表値を割り戻すと給湯器の熱効率80.0%が出てくる

200Lの水を4.5℃上げるのに必要な熱量は、水の比熱4.186キロジュール毎キログラム毎ケルビンを使って計算できます。200×4.186×4.5=3,767キロジュール、つまり1回あたり3.767メガジュールです。365回ぶんでは1,375.1メガジュールになります。

一方、国が使っているガスは45メガジュール毎立方メートルに換算した都市ガスです。38.20立方メートルは1,719.0メガジュールにあたります。湯に入った熱量を投入した熱量で割ると、1,375.1÷1,719.0=0.7999、つまり熱効率80.0%です。

図2|公表値から熱効率を復元する4ステップ

国が公表しているのは左端と右端だけ。あいだの2つは割り算で出せる 湯200L・4.5℃ (公表されている条件) 湯に入った熱量 年1,375.1メガジュール 投入した熱量 年1,719.0メガジュール 熱効率 80.0% 左から2つ目は水の比熱から、3つ目は公表ガス量38.20立方メートル×45メガジュールから求めた。 復元した80.0%は、従来型ガス給湯器の熱効率として公表されている80%と一致する つまり国の節約額は、エコジョーズではなく従来型の給湯器を前提にした値だと分かる。 エコジョーズを使っている家庭では、公表の6,190円より節約額は小さくなる。

従来型のガス給湯器の熱効率は約80%、排気の熱を再利用するエコジョーズは95%というのが、東京ガスやリンナイが公表している数字です。国の公表値から出てきた80.0%はこの従来型の値とぴたりと重なります。国の節約額はエコジョーズ前提ではない、という前提の確認がここでできました。

追い焚き1回17.0円・保温1時間9.5円|次の入浴までの間隔で決まる

自動保温は、逃げた熱をその都度足して湯温を一定に保つ機能です。追い焚きとの違いは、湯温が下がるかどうかだけです。湯が冷めるにつれて室温との差が縮まり、熱の逃げ方も遅くなるので、放置してから追い焚きするほうが総量では少なくて済みます。

どのくらい少なくて済むかは、公表条件の「2時間で4.5℃低下」から逆算できます。浴室の室温を20℃と置くと、湯温42℃との差は22℃で、2時間後は37.5℃なので差は17.5℃です。この減り方を指数関数であてはめると時定数は8.74時間となり、42℃を保ち続けたときの熱の逃げ方は1時間あたり2.517℃ぶんと出ます。

2.517℃ぶんを補うガス代は、1回17.0円が4.5℃ぶんであることから比例計算で9.48円。これが自動保温の1時間あたりの目安です。

図3|次の入浴までの間隔別・保温と追い焚きのガス代(200L・室温20℃・熱効率80%・162円/立方メートル)

次の入浴までの間隔 保温を続ける 切って追い焚き 判断
30分4.7円4.6円0.1円差はない。どちらでもよい
1時間9.5円9.0円0.5円誤差の範囲
2時間19.0円17.0円2.0円切るほうが安い(約12%)
4時間37.9円30.4円7.5円切るほうが安い(約25%)
6時間56.9円41.2円15.7円切るほうが安い(約38%)

保温は湯温42℃を保つ前提、追い焚きは間隔ぶん放置してから42℃へ戻す前提。国の公表条件から筆者が計算しました。

1日1回・間隔2時間で年間730円、間隔4時間なら年間2,738円の差です。金額としては大きくありませんが、「保温を切ると損」という思い込みだけは事実と逆になります。切って冷ませば、そのぶん熱の逃げ方も遅くなるからです。

入れ直しは追い焚きの11.3倍|捨てる水の水道代だけで13.8℃ぶんが買える

「ぬるくなったから抜いて入れ直す」は、冷めた分ではなく水温から42℃までの全量を沸かす作業です。リンナイが給湯器の号数の目安に使っている冬の給水温度5℃で計算すると、200Lを37℃上げるのに必要な熱量は30.98メガジュール。熱効率80%なら38.72メガジュール、ガス0.8605立方メートルで139.4円です。

さらに水道代がかかります。省エネポータルサイトの換算では水道は260円/立方メートル(水道料金136円+下水道使用料124円)なので、200Lで52.0円。合わせて191.4円、追い焚き1回の11.3倍です。

言い換えると、入れ直しで捨てる水の水道代52円だけで、追い焚き13.8℃ぶんが買えます。42℃の湯が28℃まで下がっていても、入れ直すより追い焚きのほうが安いという意味です。温度がどこまで下がっても入れ直しが得になる分岐点は存在しません。入れ直す理由があるとすれば、衛生面や気分の問題であって金額ではありません。

高温の湯を足す「足し湯」はどうでしょうか。60℃の湯で3.767メガジュールを運ぶには16.4Lが必要です。ガス代は追い焚きと同じ16.95円ですが、水道代が4.3円上乗せされて21.2円。追い焚きの1.25倍です。しかも浴槽が満水なら足したぶんの湯があふれ、その湯が持っていた熱も一緒に捨てることになります。

図4|4.5℃ぶんの湯を戻す方法別の費用(200L・熱効率80%)

同じ「ぬるくなった湯を42℃に戻す」を4つの方法で比べた1回あたりの費用 追い焚き 17.0円 保温2時間 19.0円 足し湯(60℃) 21.2円(うち水道4.3円) 入れ直し 191.4円(ガス139.4円+水道52.0円) 給水温度5℃・湯温42℃・ガス162円/立方メートル・水道260円/立方メートルで筆者が計算。バーは191.4円を506pxとした比例表示。

エコジョーズなら約16%安い|自分のガス単価に置き換える式

ここまでの金額は熱効率80%の従来型給湯器が前提です。エコジョーズの熱効率95%で引き直すと、同じ熱量を作るのに必要なガスは80÷95=0.842倍になります。追い焚き1回は14.3円、保温1時間は8.0円です。

図5|給湯器の熱効率別の費用(162円/立方メートル換算)

項目 従来型(80%) エコジョーズ(95%)
追い焚き1回(4.5℃)17.0円14.3円2.7円
自動保温1時間9.5円8.0円1.5円
入れ直し1回191.4円169.4円22.0円
1日1回の追い焚き・年間6,188円5,211円977円

入れ直しの差は水道代52.0円を除いたガス分だけで計算しています。

162円/立方メートルは国が換算に使っている単価で、平成29年版ガス事業便覧の平成28年度実績を45メガジュールに換算したものです。現在の都市ガスの単価はこれより高いのがふつうなので、実額は上振れします。自分の請求書の単価に置き換えるときは、表の金額に「自分の単価÷162」を掛けてください。単価が200円なら1.23倍、240円なら1.48倍になります。

この計算の前提と限界

  • 浴室の室温を20℃と置いています。室温が低いほど熱は速く逃げるので、保温と追い焚きの差は表よりさらに開きます
  • 国は「2時間で4.5℃低下」の条件でふたの有無を明記していません。省エネレッスンの本文には「必ずフタをしましょう」とあります
  • プロパンガスは1立方メートルあたりの発熱量が都市ガスの2倍以上あるため、この表の立方メートルの数値はそのまま使えません。金額は請求書の単価で引き直してください
  • エコキュートは電気で沸かすため計算の仕組みが異なります。ここで扱っているのは都市ガスの給湯器です
  • 浴槽の湯量は200Lを前提にしています。300Lなら金額はおおむね1.5倍になります

よくある質問

追い焚きと保温はどちらが安いですか?

次の入浴までの間隔によります。1時間以内なら差は0.5円以下でほとんど変わりません。2時間なら保温19.0円に対し切って追い焚き17.0円で、追い焚きが約12%安くなります。4時間で7.5円、6時間で15.7円と、間隔が空くほど追い焚きが有利になります。湯が冷めると室温との差が縮まり、熱の逃げ方が遅くなるためです。

追い焚きと入れ直しはどちらが安いですか?

追い焚きです。給水温度5℃から42℃まで200Lを沸かす入れ直しは、ガス139.4円と水道52.0円で合計191.4円になり、追い焚き1回17.0円の11.3倍です。捨てる水の水道代52円だけで追い焚き13.8℃ぶんに相当するため、湯温がどこまで下がっても金額で入れ直しが得になることはありません。

追い焚き1回のガス代はいくらですか?

資源エネルギー庁の公表値から計算すると、200Lの湯を4.5℃上げる追い焚きはガス0.1047立方メートル、162円/立方メートルの換算で約17.0円です。エコジョーズなら約14.3円になります。実際の金額は契約しているガスの単価で変わるので、17.0円に「自分の単価÷162」を掛けて読み替えてください。

出典・参考

  • 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約 風呂・トイレ」(2時間の放置により4.5℃低下した湯200Lを1日1回追い焚きする場合、年間ガス38.20立方メートル・原油換算44.31L・二酸化炭素削減量85.7kg・約6,190円の節約)2026年9月2日確認
  • 同「省エネ効果の算出根拠」(ガス162円/立方メートルを45メガジュールに換算、水道260円/立方メートル、原油換算1.16L/立方メートル、二酸化炭素排出係数2.244kg/立方メートル)2026年9月2日確認
  • 東京ガス「エコジョーズとは」「エコジョーズのメリットと注意点」(従来型の熱効率約80%に対しエコジョーズは95%)2026年9月2日確認
  • リンナイ「エコジョーズのしくみ」(排気の熱を再利用して給湯熱効率95%)2026年9月2日確認
  • リンナイ 給湯器の号数の目安(冬の給水温度5℃を前提とした能力の考え方)2026年9月2日確認

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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