プロパンガスの「無償貸与」は料金にいくら乗っているか【2026年】設備20万円を10年で回収すると月10立方メートルで166.7円

プロパンガスの無償貸与が料金に乗せる額は月10立方メートルあたり166.7円であることを示すアイキャッチ

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この記事はガス代の見直しシリーズの一部です。全体像とシミュレーターはガス代を下げる完全ガイド【2026年】にまとめています。

無償貸与の給湯器代は、従量単価に埋め込まれて回収されます。設備20万円を10年で回収するなら、月10立方メートルの家で1立方メートルあたり166.7円、関東平均723.6円の23.0%にあたります(2026年8月31日調査の公表価格で試算)。

情報基準日: 2026-09-08

無償貸与は「タダ」ではなく、費用の回収先が本体価格からガス料金へ移っているだけです。
回収額は使用量で割られるため、ガスを使わない家ほど1立方メートルあたりの負担が重くなります。
2025年4月2日に三部料金制が徹底されましたが、設備費の計上禁止が及ぶのは新規契約だけで、既存契約は「3つに分けて通知する」義務にとどまります。

この記事の要点

  • 法令は無償貸与の費用を「消費設備の貸与等に係る費用」と呼び、請求時に3つへ整理して算定根拠を通知することを義務づけている(施行規則第16条第15号の7)
  • 回収額は「設備費 ÷ 償還年数 ÷ 12か月 ÷ 月間使用量」で1立方メートルあたりに直せる。20万円・10年なら月5立方メートルで333.3円、月20立方メートルで83.3円
  • 2026年8月31日調査の公表価格から逆算した従量単価は全国766.2円、関東723.6円、北海道914.8円で、地域差は最大191.2円
  • 使用量が増えるほど実効単価は下がる。全国平均は5〜10立方メートルの帯で766.2円、20〜50立方メートルの帯で674.9円
  • 請求書の「設備料金」欄が0円でも、貸与設備がある家では基本料金か従量料金のどちらかに回収分が入っている可能性がある

この記事の比較基準|公式単価のみ・アフィリエイト順位なし・情報基準日

  • 価格は石油情報センターの価格調査と各社の公表価格だけを使っています。LPガスは公共料金ではなく販売店ごとの自由料金のため、同じ地域でも契約によって差が出ます。
  • 請求額は輸入価格(CP)の変動と設備費の上乗せ分で動きます。本文の数値は特記がない限り、記載の調査月の平均価格にもとづく計算です。
  • 紹介する順序や掲載の有無を広告の成果報酬で変えていません。提携のあるサービスを案内する場合は記事の冒頭にPR表記を置いています。
  • 年額の差は前提の使用量と計算式を本文に明記し、契約内容によって結果が変わるため「最安」と断定する表現は使いません。情報基準日: 2026-09-16
目次

無償貸与とは何か|法令は「消費設備の貸与等に係る費用」と呼んでいる

プロパンガスの契約で「給湯器は無償で取り付けます」「コンロは無料です」と案内されることがあります。これは業界で無償貸与(無償配管・無償貸与契約)と呼ばれる商慣行で、販売事業者が設備を所有したまま消費者に使わせ、その費用をガス料金で回収する方式です。

この費用は法令上きちんと名前が付いています。液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則(以下「施行規則」)第16条第15号の7は、消費者へ費用を請求するときに、①使用量にかかわらず生ずる費用、②使用量に応じて生ずる費用、③消費設備の貸与等に係る費用の3つへ整理し、その算定根拠を通知することを求めています。無償貸与の設備費は③にあたります。

さらに施行規則第13条は、契約時に交付する書面(法第14条書面)へ書くべき事項として、第5号「液化石油ガスの価格の算定方法、算定の基礎となる項目及び算定の基礎となる項目についての内容の説明」、第6号「供給設備及び消費設備の所有関係」、第7号「設置、変更、修繕及び撤去に要する費用の負担の方法」、第8号「販売事業者が所有する消費設備を利用する場合に一般消費者等が支払うべき費用の額及び徴収方法」を挙げています。つまり、いくら負担しているかは本来、契約書に書いてあるはずのものです。

加えて施行規則第16条第11号は、販売事業者が所有する消費設備を使わせる場合、供給開始時までに「その設備が販売事業者の所有であること」を消費者へ確認することを義務づけています。給湯器が誰のものかを知らないまま使っている状態は、法令が想定していない状態です。

いくら乗っているのか|設備費と償還年数と使用量から逆算する

無償貸与の上乗せ額を公表している事業者はほとんどありません。ただし、回収の仕組み自体は単純なので、前提を置けば1立方メートルあたりの金額へ直せます。式は次のとおりです。

上乗せ単価(円/立方メートル)= 設備費 ÷ 償還年数 ÷ 12か月 ÷ 月間使用量

図1 無償貸与の設備費が従量単価に乗る額(償還10年で試算・単位は円/立方メートル)
設備費月5立方m月10立方m月20立方m月30立方m
10万円166.783.341.727.8
20万円333.3166.783.355.6
30万円500.0250.0125.083.3

出典と取得日: 当サイトが「設備費÷償還年数÷12か月÷月間使用量」で算出(2026-09-08)。償還年数は事業者が公表していないため10年を仮定した数値であり、実際の契約とは異なります。

ここで重要なのは、割り算の分母が使用量だという点です。設備費20万円を10年で回収する場合、事業者が回収したい金額は月1,666.7円で一定です。これを月5立方メートルしか使わない家で割ると1立方メートルあたり333.3円、月20立方メートル使う家で割ると83.3円になります。同じ設備を借りていても、ガスを使わない家ほど1立方メートルあたりの負担は重くなります。

この333.3円という金額は、後述する関東の平均従量単価723.6円の46.1%にあたります。単身世帯や在宅時間の短い世帯が「プロパンは高い」と感じやすいのは、単価そのものが高いだけでなく、固定的な回収分が少ない使用量に押し付けられているためだと説明できます。

なお、施行規則第16条第15号の8は、消費設備の貸与等に係る費用として請求してよいのは「消費設備に係る配管及び液化石油ガス器具等の設置等に係る費用」だけだと定めています。エアコンやインターホン、Wi-Fi機器のような、ガスの消費と関係のない設備の費用をガス料金に乗せることは認められていません。

公表価格から見える「少量世帯ほど重い」構造

石油情報センターは、基本料金と消費税を含んだ月あたりの支払額を、5・10・20・50立方メートルの4点で地域別に公表しています。4点あるので、そこから従量単価と基本料金相当を逆算できます。5立方メートルと10立方メートルの差を5で割れば最初の帯の従量単価、5立方メートルの支払額からその5倍を引けば基本料金相当です。

図2 公表価格から逆算した従量単価と基本料金相当(2026年8月31日調査・税込)
地域5立方mの支払額10立方mの支払額従量単価(円/立方m)基本料金相当(円)
北海道7,08911,663914.82,515
東北6,45810,770862.42,146
関東5,6209,238723.62,002
中部5,9639,728753.02,198
近畿5,8259,455726.02,195
中国6,31910,299796.02,339
四国5,8089,447727.82,169
九州及び沖縄5,9609,736755.22,184
全国5,9919,822766.22,160

出典と取得日: 石油情報センター「一般小売価格 LP(プロパン)ガス 速報(毎月調査)」2026年8月31日調査(取得日 2026-09-08)。従量単価と基本料金相当は当サイトが公表額から算出した推計値です。

地域別の従量単価(円/立方メートル・2026年8月31日調査から逆算)北海道914.8東北862.4中国796.0全国766.2九州及び沖縄755.2中部753.0四国727.8近畿726.0関東723.6石油情報センターの公表額(5立方メートルと10立方メートル)の差を5で割って算出。取得日 2026-09-08。
図3 従量単価の地域差は最大191.2円(北海道914.8円と関東723.6円の差)
図4 使用量の帯ごとの実効従量単価(円/立方メートル・2026年8月31日調査)
地域5〜10立方m10〜20立方m20〜50立方m最初の帯との差
北海道914.8858.2829.0-85.8
東北862.4822.7761.5-100.9
関東723.6704.8663.8-59.8
中部753.0720.1652.5-100.5
近畿726.0688.3638.9-87.1
中国796.0753.3689.1-106.9
四国727.8683.1633.3-94.5
九州及び沖縄755.2700.8634.9-120.3
全国766.2729.6674.9-91.3

出典と取得日: 石油情報センター「一般小売価格 LP(プロパン)ガス 速報(毎月調査)」2026年8月31日調査(取得日 2026-09-08)。各帯の実効単価は隣り合う公表額の差を使用量差で割って当サイトが算出しました。

どの地域でも、使用量が増えるほど実効単価は下がります。全国平均では5〜10立方メートルの帯が766.2円、20〜50立方メートルの帯が674.9円で、差は91.3円です。逓減の理由は公表されていませんが、設備費や保安点検費のように使用量と無関係に発生する費用を従量料金で回収していれば、こうした形になります。図1で見た「少量世帯ほど1立方メートルあたりの負担が重い」という計算と、公表価格の形は矛盾しません。

ただし、この表は地域平均であって、無償貸与の有無で分けた統計ではありません。逓減のうちどれだけが設備費の回収によるものかは、公表データからは切り分けられません。ここで言えるのは「使用量が少ない家ほど、固定的な費用を厚く負担する形になっている」という構造までです。

いまの従量単価が地域平均より高いなら、比較して確かめる価値があります

図2の従量単価は地域の平均です。自分の請求書の単価がここより高い場合、設備費の回収分が乗っている可能性があります。エネピは、プロパンガスの料金を地域の複数社で比較できる無料のサービスです。相談したうえで切り替えない選択もできます。

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2025年4月の三部料金制で何が変わり、何が変わらなかったか

経済産業省は令和6年経済産業省令第32号でこの商慣行に手を入れ、2024年7月2日と2025年4月2日の2回に分けて施行しました。2025年4月2日に施行されたのが、いわゆる三部料金制の徹底です。ここで大事なのは、3つのルールで適用範囲が違うことです。

図5 三部料金制の徹底で導入されたルールと適用範囲
ルール施行日適用される契約
請求時に基本料金・従量料金・設備料金の3つに分けて通知する2025年4月2日新規契約と既存契約の両方
ガス消費と関係のない設備(電気エアコン・インターホン・Wi-Fi機器等)の費用をガス料金として請求しない2025年4月2日本日以降に締結される新規契約のみ
賃貸住宅向けで、ガス器具等の消費設備費用をガス料金として請求しない2025年4月2日本日以降に締結される新規契約のみ
不動産・建設関係者等への過大な利益供与の禁止、賃貸の入居希望者への料金表等の事前提示2024年7月2日—

出典と取得日: 経済産業省「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールを施行しました」(2025年4月2日)、同「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令を施行しました」(2024年7月2日)。取得日 2026-09-08。

つまり、2025年4月2日より前から続いている契約では、設備費をガス料金に乗せること自体は禁止されていません。既存契約に及ぶのは1つ目の「3つに分けて通知する」義務だけです。持ち家で長く同じ事業者と契約している家では、請求書の見え方が変わっただけで、料金の中身は変わっていない可能性があります。

賃貸住宅については、施行規則第16条第15号の9が「建築物の所有者が本来負担すべき消費設備の貸与等に係る費用を、入居者へ請求しないこと」と定めています。大家が負担すべき設備費を入居者のガス代へ付け替える形は、新規契約では認められません。賃貸の切り替えについては賃貸でプロパンガスを切り替えられるかで手順を整理しています。

自分の請求書で確かめる4つのステップ

確認の手順

  1. 設備料金の欄を見る。2025年4月2日以降、請求時は基本料金・従量料金・設備料金の3つに分けて通知されます。設備料金が0円なのに給湯器が借り物なら、回収分は基本料金か従量料金に入っています。
  2. 従量単価を出す。請求書の従量料金を使用量で割ります。図2の自分の地域の値と比べ、差額に月間使用量を掛ければ年間の差が出ます。
  3. 契約書の所有関係を見る。施行規則第13条第6号により、供給設備と消費設備の所有関係は書面に書かれています。給湯器・コンロ・配管のどれが事業者のものかを確認します。
  4. 算定根拠の通知を求める。施行規則第16条第15号の7は、費用を3つに整理して算定根拠を通知することを事業者に義務づけています。書面が手元になければ、販売事業者へ交付を求められます。

解約するときの扱いも法令に書かれています。施行規則第16条第16号は、消費者から解約の申し出があり要求があった場合、事業者は所有する供給設備を遅滞なく撤去することを定めています。同第17号は、事業者が所有する消費設備の配管について、消費者が別段の意思表示をする場合などを除き、適正な対価で消費者へ所有権を移転することを求めています。その精算額の計算方法は、第13条第9号により契約書に書かれているはずのものです。

「無償貸与の残債があるから解約できない」という説明を受けた場合は、その金額の計算方法が契約書のどこに書かれているかを確認してください。書面に記載がない請求は、法令が求める説明を欠いています。

よくある質問

よく聞かれること先に結論
無償貸与の費用はいくら乗っているか設備20万円を10年で回収する仮定なら、月10立方メートルの家で1立方メートルあたり166.7円です。関東平均723.6円の23.0%にあたります(2026年8月31日調査の公表価格で試算)。
使う量や契約時期で変わるか使う量が少ないほど重くなります。月5立方メートルなら333.3円、月20立方メートルなら83.3円です。設備費の計上禁止は2025年4月2日以降の新規契約だけが対象です。
では何をすれば確かめられるか請求書の「設備料金」欄を見ます。給湯器などが事業者の持ち物なら、施行規則第16条第15号の7にもとづく算定根拠の通知を求め、上乗せの有無を確かめます。

無償貸与の上乗せ額は請求書のどこを見れば分かりますか

2025年4月2日以降、請求時は基本料金・従量料金・設備料金の3つに分けて通知されます。設備料金の欄が上乗せ額にあたりますが、この欄が0円でも回収が終わっているとは限りません。既存契約では設備費を基本料金や従量料金に含めること自体は禁止されていないため、給湯器などが事業者の所有である場合は、施行規則第16条第15号の7が定める算定根拠の通知を求めて確認してください。

設備20万円を10年で回収という前提はどこから来ていますか

公的な統計はありません。事業者が設備費や償還年数を公表していないため、当サイトが計算例として置いた仮定です。図1は設備費10万円・20万円・30万円の3通りを並べているので、契約書に金額の記載がある場合はそれを式に入れ直してください。式は「設備費÷償還年数÷12か月÷月間使用量」で、償還年数を15年にすれば上乗せ単価は3分の2になります。

エアコンやWi-Fi機器の費用がガス料金に入っていることはありますか

2025年4月2日以降に締結する新規契約では禁止されています。経済産業省は施行の告知で、電気エアコンやインターホン、Wi-Fi機器等、ガス消費と関係のない設備費用をLPガス料金として請求することを禁止すると明記しました。ただしこの禁止は既存契約には適用されないため、それ以前からの契約では残っている可能性があります。懸念がある場合は、資源エネルギー庁のLPガス商慣行通報フォームで情報提供を受け付けています。

ガスをあまり使わない家ほど負担が重いのはなぜですか

設備の回収額は、毎月決まった額を使用量で割って単価に乗せる形になるからです。設備20万円・10年回収なら、月の回収額は約1,667円です。月5立方メートルの家では1立方メートルあたり333.3円、月20立方メートルの家では83.3円になります。一人暮らしなど使用量が少ない世帯ほど、単価への上乗せが目立ちます。

プロパンガスの従量単価は地域でどれくらい違いますか

石油情報センターの2026年8月31日調査をもとに、当サイトが逆算しました。従量単価は全国766.2円、関東723.6円、北海道914.8円です。地域の差は最大191.2円です。同じ使用量でも住む地域で請求額が変わるため、上乗せ額は地域の平均と並べて判断します。

2025年4月の三部料金制で、既存の契約は何が変わりましたか

既存契約で変わったのは、請求時に基本料金・従量料金・設備料金の3つに分けて通知する義務です。設備費をガス料金に含めること自体の禁止は、2025年4月2日以降の新規契約に限られます。古い契約のままの家は、設備料金の欄だけで判断しないようにします。

出典

  • e-Gov法令検索「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」第13条・第16条(取得日 2026-09-08)
  • 経済産業省「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールを施行しました」2025年4月2日(取得日 2026-09-08)
  • 経済産業省「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令を施行しました」2024年7月2日(取得日 2026-09-08)
  • 資源エネルギー庁「LPガスの取引適正化について」最終更新2026年9月2日(取得日 2026-09-08)
  • 石油情報センター「一般小売価格 LP(プロパン)ガス 速報(毎月調査)」2026年8月31日調査(取得日 2026-09-08)

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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