24時間換気を止めると電気代はいくら下がるか【2026年】ファン分は年1,548〜3,802円、止めるより熱交換換気のほうが年14,137円得

24時間換気の電気代を解説する記事のアイキャッチ

情報基準日: 2026-09-09

延床120平方メートルの家で24時間換気を止めて減るのは、ファンの電気代だけなら年1,548〜3,802円(31円/kWh換算)。冬の暖房費まで含めても年2万円前後で、止めるより熱交換換気に替えたほうが年14,137円得になります。

結論は3行です。
1. 24時間換気のファンそのものの電気代は小さい。第3種(パイプファン3台)で年1,548円、第1種の熱交換型でも年3,802円。
2. 大きいのは換気で逃げる熱のほうで、冬だけで年20,489円ぶんの暖房費に相当する。だから「止める」より「熱を回収する」が正解。
3. そもそも住宅の居室には1時間あたり0.5回の換気が建築基準法施行令で義務づけられている。止めることは前提にできない。

この記事の要点

  • 建築基準法施行令第20条の8は、住宅等の居室の必要有効換気量をVr=nAh(nは0.5)と定めている
  • 延床120平方メートル・天井高2.4メートルなら気積288立方メートル、必要換気量は1時間あたり144立方メートル
  • 第3種換気の常時換気用パイプファンは1台1.7〜2.7ワット。3台でも年間49.9キロワットアワー、1,548円
  • 換気で逃げる熱は冬だけで660.9キロワットアワー相当。エアコン暖房(COP4.0)の電気代に直すと年20,489円
  • 熱交換率80%の第1種換気にすると、この熱損失が年4,098円まで下がる。ファン電気代の増加を差し引いても年14,137円の改善
目次

24時間換気は「0.5回/h」が法律で決まっている

建築基準法施行令第20条の8は、シックハウス対策として居室に換気設備を設けることを求めています。機械換気設備の必要有効換気量は次の式です。

Vr = n × A × h

Vr=必要有効換気量(1時間につき立方メートル)/ n=住宅等の居室は0.5、その他の居室は0.3 / A=居室の床面積 / h=天井の高さ

つまり住宅の場合、部屋の空気の量(気積)の半分を1時間で入れ替える能力が要ります。延床120平方メートル・平均天井高2.4メートルなら気積は288立方メートル。必要有効換気量は1時間あたり144立方メートルです。この基準は2003年7月に施行され、それ以降に建てられた家にはすべて換気設備が付いています。

ファンの電気代は年いくらか

住宅の24時間換気は、給気を自然給気口に任せて排気だけファンで行う第3種と、給気も排気もファンで行い熱を回収する第1種(熱交換型)が主流です。メーカーが公表している常時換気用の消費電力から、年間の電気代を計算しました。

方式 消費電力 年間消費電力量 年間の電気代 1か月あたり
第3種(パイプファン1台)1.9W16.6kWh516円43円
第3種(3台・延床120平方メートル想定)5.7W49.9kWh1,548円129円
第1種 熱交換型(DCモーター・弱運転1台)14W122.6kWh3,802円317円
第1種 熱交換型(強運転1台)24W210.2kWh6,517円543円

24時間365日の連続運転、電力量料金の目安単価31円/kWhで当サイトが計算。消費電力はパナソニックの常時換気用パイプファン(1.7〜2.7W/50・60Hz)および住宅用熱交換気ユニット(弱14W・強21〜24W/50・60Hz)の公表仕様の代表値(2026-09-09取得)。機種・風量設定で変わります。

ここだけを見ると、止めても月43〜543円しか変わりません。エアコンや冷蔵庫と比べれば桁が違う小ささです。

本当に大きいのは「逃げる熱」のほう

24時間換気のコストとしてもっと大きいのは、暖めた空気を捨てて冷たい外気を入れることによる暖房負荷です。空気の容積比熱を0.34ワットアワー毎立方メートル毎ケルビンとして計算します。

項目計算
換気量144立方メートル毎時0.5回/h×気積288立方メートル
室内外の温度差15ケルビン室温20℃・外気5℃
換気で失う熱734.4ワット144×0.34×15
暖房期間の熱量2,643.8kWh0.7344kW×24時間×150日
エアコン暖房の消費電力量660.9kWh2,643.8÷COP4.0
年間の暖房電気代20,489円660.9kWh×31円

当サイトによる試算。換気量は建築基準法施行令第20条の8の式(n=0.5)による。地域・断熱等級・暖房の使い方で大きく変わるため、桁感をつかむための目安です。冷房期は温度差が小さく、影響はこの数分の1にとどまります。

ファンの1,548円に対して、熱のほうは20,489円。24時間換気のコストの93%は電気代ではなく暖房費ということになります。ここが「止めれば安くなる」という直感とのズレの正体です。

止めるのではなく、熱を回収するほうが得

第1種の熱交換型換気は、排気の熱を給気に移して回収します。熱交換率80%の機種なら、上の20,489円のうち80%を取り戻せる計算です。ファンの電気代は増えますが、差し引きでは大きくプラスになります。

24時間換気の年間コスト(延床120平方メートル・冬150日の試算) 第3種(そのまま)22,037円 第1種 熱交換80%7,900円 止めた場合(参考)0円(ただし法令の基準を満たさない) ファンの電気代 換気で逃げる熱の暖房費 第3種22,037円−第1種7,900円=年14,137円の差。横軸は0円起点。

ただし熱交換換気への更新は、機器と工事で数十万円かかります。年14,137円の改善で割り戻すと回収に20年以上。いま付いている第3種を熱交換に替えるために工事をする、という判断にはなりにくいのが正直なところです。新築や大規模リフォームで方式を決めるとき、あるいは既設の熱交換ユニットが寿命を迎えたときに、この差を思い出してください。

自分の家がどの方式かを3分で見分ける

電気代も対処法も方式で変わります。次のチェックで判別できます。

見えるもの 方式 やること
各部屋の壁に丸い給気口(内側にフィルター)があり、トイレ・洗面所の天井に小さな換気扇第3種(排気だけ機械)給気口フィルターを年2回洗う。給気口は閉じない
廊下や洗面所の天井に30〜60センチ角の点検口と本体、各部屋の天井に吹出グリル第1種 ダクト式(熱交換型が多い)本体フィルターと熱交換素子を年1〜2回清掃。素子は10年前後で交換部品あり
外壁に面した部屋の壁に、給気と排気が一体になった横長の本体壁掛け熱交換型(第1種)前面パネルを開けてフィルター清掃。運転を弱に固定していないか確認
給気口がなく、換気扇のスイッチにも常時運転の表示がない2003年より前の建物の可能性断熱リフォームをするなら換気計画も一緒に相談する

分電盤や換気扇のスイッチに「常時換気」「24時間換気」の表示があるのが一般的です。スイッチを切らないよう、カバーが付いていることもあります。

第3種か第1種かで、上の表の年間コストは22,037円と7,900円に分かれます。まず自分がどちら側にいるかを確かめてから、フィルターの清掃や機器の更新を検討してください。

それでも止めてはいけない3つの理由

  1. 法令上の基準を満たさなくなる。換気設備の設置と能力は建築基準法施行令第20条の8で求められています。運転を止めれば、設備はあっても基準の状態ではありません。
  2. 結露とカビが増える。4人家族が1日に室内へ出す水蒸気は数リットル規模です。換気を止めるとこの水分が行き場を失い、窓や壁の内部で結露します。断熱をした家ほど気密が高く、影響が出るのが早くなります。
  3. 二酸化炭素とホルムアルデヒドがたまる。建築基準法の0.5回/hはもともとシックハウス対策の基準です。密閉した寝室では二酸化炭素濃度が数時間で建築物衛生法の管理基準(1,000ppm)を超えます。

「寒いから止めたい」という動機は理解できますが、止めて浮くのは月129〜317円です。結露で内窓や壁紙をやり直すことになれば、その何十倍もかかります。

止める代わりにできる3つ

  • 給気口のフィルターを年2回洗う。目詰まりすると設計風量が出ず、必要な換気ができないまま電気だけ使う状態になります。掃除機で吸って中性洗剤で洗い、完全に乾かしてから戻します。
  • 給気口を「閉じない」。寒いからと給気口を全閉にすると、排気ファンが負圧を作り、玄関ドアが重くなったり、レンジフードの排気が出なくなったりします。寒さ対策は給気口を閉じることではなく、給気口の位置を人が長くいない場所へ移すか、放射で暖める(床暖房・パネルヒーター)ほうへ振ります。
  • レンジフードを回すときは同時給気を確保する。強運転のレンジフードは1時間あたり数百立方メートルを排気します。24時間換気の給気口だけでは足りず、家全体が負圧になります。同時給気型のフードか、調理中だけ近くの窓を数センチ開けるのが現実的です。

寒さの原因が換気そのものではなく、窓まわりのすきま風であることも多くあります。どこから空気が入っているかを先に切り分けてください。

よくある質問

24時間換気を止めると電気代は月いくら下がりますか

ファンの電気代だけなら月43〜543円です。第3種のパイプファン1台で月43円、3台で月129円、第1種の熱交換型で月317〜543円(31円/kWh・24時間運転で計算)。冬の暖房費まで含めれば月1,400円前後の効果になりますが、結露と空気質のリスクを負うことになります。

旅行で家を空けるときも回したままにすべきですか

回したままにしてください。人がいない期間こそ、建材から出る化学物質と、家具や押し入れにこもる湿気を排出する意味があります。数日間止めた程度で電気代に差は出ません(3台運転で1日約4円)。

2003年より前に建った家にも24時間換気は必要ですか

法令上の設置義務は2003年7月以降の建築確認からです。それ以前の家には設備がないことが多く、遡って設置を求められることはありません。ただし断熱リフォームで気密を高めた場合は、換気の計画も併せて見直したほうが安全です。窓のリフォーム後に結露が増えたという相談は、換気が追いついていないことが原因の場合があります。

出典

  • e-Gov法令検索「建築基準法施行令」第20条の8(必要有効換気量Vr=nAh、住宅等の居室はn=0.5)2026-09-09取得
  • パナソニック 常時換気用パイプファンおよび住宅用熱交換気ユニットの公表仕様(消費電力・有効換気量)2026-09-09取得
  • 電力量料金の目安単価31円/kWh(公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価に基づく当サイトの採用値)

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この記事を書いた人

省エネ住宅ナビ編集部です。国・自治体の公式情報をもとに、補助金・太陽光・蓄電池・エコキュート・リフォームの「いくらかかる?いくら戻る?」を中立の立場で整理しています。数値・期限は必ず一次情報で確認し、情報基準日を明示する編集方針です。

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